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更新日:2024年1月1日
「駆け出しデザイナーが地域の魅力発信に奮闘」
天竜地域中心部から車を使って40分ほどで、山本さんが活動の拠点とする道の駅「くんま水車の里」に到着。清流で知られる阿多古川のせせらぎが聞こえ、ゆったりとした山の時間を感じられる場所です。
「実家は静岡市清水区。中学まで住んでいた家は庭に池があり、お風呂もまきを使う古民家でした。弟と庭で虫を捕まえたり、ままごとをしたり、自然が好きな子ども時代でした。
専門学校生のとき、バラエティ番組で地域おこし協力隊の存在を知り、幼い頃に過ごした古民家の思い出も重なって、自然豊かな山里で暮らしたいという気持ちが日に日に高まりました」
通っていたデザイン系の専門学校を卒業してからとも悩みましたが、母親のすすめもあって山いき隊に応募。20歳のとき浜松の山里で、山いき隊として活動していくことを決意します。
担当したエリアは天竜区熊地区。やる気はあるものの、何をしたらよいか分からず戸惑っていた山本さんを助けたのは、専門学校で学んだデザインのスキルでした。熊では毎年2月に、しし鍋のふるまいや、そば打ち体験、特産品の販売などをする「大寒謝祭」を開催。地元だけでなく、浜松市内外から多くの人が集まる人気イベントで、そのポスターを作ってほしいという依頼が飛び込んできました。
「学生のときに作った市街地のイベントポスターとは違って、年配の方でも読みやすいように文字が大きく、分かりやすいデザインが求められました。とはいえ、市街地からも人を呼びたいのでオシャレさは残したい。悩みながら制作したのを覚えています」
他にも、道の駅の名物「大盛りそば熊二郎」の完食認定シール、五平餅の販促用ポストカードを制作。さらに、全国高等学校選抜ボート大会の記念Tシャツなど、熊地区以外からもデザインの依頼が来るようになりました。
「デザインしたら終わりではなく、自分が手がけたものの反応を間近で見ることができ、学校とは違うたくさんのことを学べました」
江戸時代から続く、地元の伝統芸能「神澤おくない」。一度は途絶えたものの、地元の中学生が古老から指導を受け、舞の練習をしており、2005年に復活。山本さんも笛や舞を習い、神澤おくないに参加するようになりました。神沢地域の人たちとの関係も深まり、念願だった一軒家を借りることができました。「ちょっと家に来てみますか」と言う山本さんの後を追って杉林の山道をしばらく行くと、ぱっと視界が開け、神沢の集落が現れました。
「静かで、気持ちのいい場所ですよ」と、うれしそうに話す山本さん。それまでのアパート暮らしとは違い、休日を返上して近所づきあいをすることもあるけれど、それも込みで田舎暮らしを楽しんでいると言います。山を背にした山本さんの家の前には畑があり、家主さんと一緒に植えた夏野菜が大きく育っていました。
「デザインだけでなく、畑仕事など、たくさんのことを学べた3年間でした。夢の田舎暮らしが実現し、とても幸せです。任期後も地域の手伝いをしながら、この場所に住み続けたいと思います」
山いき隊として活動することで、夢を一歩一歩着実にかなえている山本さん。ただ、以前とちょっと違うのは、自分のためだけでなく、「地域のため」という新しい夢が加わったことです。
9時00分 | デザイン制作・水車の里 |
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12時00分 | 昼食・自宅 |
13時00分 | イベント準備 |
16時00分 | 神澤おくない練習・学校訪問 |
18時00分 | 畑の手入れ・自宅 |
1995年生まれ、静岡市清水区出身。デザインの専門学校を中退。2015年10月山いき隊に着任。デザインスキルを生かし、チラシやポスター、パッケージを手がける。
(2018年9月隊員任期終了)
「道の駅くんま水車の里」のお母さんたちと、店の売上げを確認。
デザインを手がけた大寒謝祭のポスター。大胆なビジュアルは好評だった。
くんま大寒謝祭の手伝い。地域外の人との交流も重要な活動。
神澤おくない参加。このことで自分らしい活動の幅も広がった。
自宅前の畑で野菜作りを始める。念願の田舎暮らしがスタート。
実家は市街地にあるので、車の音やサイレントいった人工の音が多くて騒がしい場所でした。熊は鳥の声や川のせせらぎなど、自然の音が聞こえて心地いいですね。暑い夏の日には川で涼むのがお気に入りです。熊の五平餅は、お米も味噌も手づくり。厚さがあって、味が濃くおすすめですよ。
道の駅くんま水車の里
大栗安の棚田
熊の五平餅
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