緊急情報
ここから本文です。
更新日:2024年1月1日
「キャンプ場を再生させ、地域ににぎわいを作る」
ある夏の日、キャンプ場の真ん中にそびえる大きな山桜。川の水で満たされたプールからは子供たちの笑い声が聞こえ、親たちが自然の中でのんびりくつろいでいます。その様子をうれしそうに見守る川道さんがいました。
山いき隊の活動スタイルとして、まずは地域に入って自分のできることを探す隊員と、活動目的を持ってやってくる隊員がいます。龍山地域で活動する川道さんは後者のタイプ。オーストラリアなどで海外生活を送った後、富士宮市にある自然学校でアウトドアの指導員として活躍。4年ほど前、山いき隊として活動する元同僚と会うために、初めて龍山を訪れます。雄大な自然と、気さくな山の人たちとの出会い。さらに運営を休止していた浜松市営キャンプ場・龍山青少年旅行村が、川道さんの人生を変えることになります。
「ずっとキャンプ場かゲストハウスをしたいと思っていました。自分の納得いく暮らしと、遊びが重なるような生活が理想で、龍山ならその夢が叶うと直感しました」
山いき隊に着任すると同時に、キャンプ場再生のチャレンジが始まりました。
カフェを併設したキャンプ場は「龍山秘密村」と名付けられ、着任して3週間後には開村式というハードスケジュールが川道さんを出迎えます。
1年目はキャンプ場を期間限定で運営し、親子向けや季節のイベントなどを開催。秘密村の運営と並行して、地元のイベントやお茶刈りの手伝い、秋になると有害鳥獣の捕獲なども行いました。2年目以降はキャンプ場を本格運営。さらに、子供たちが森の中で学ぶ「こどもひみつむら」をスタートさせます。毎月、県内外からたくさんの親子が訪れ、すぐに予約でいっぱいになる人気プログラムです。多くの人の協力もあり、2年目だけでおよそ4000人が訪れるキャンプ場に成長しました。
50年ほど前、龍山では林業や炭鉱、ダムの開発などで1万3000人ほどがいました。でも今はわずか600人ほどに激減。
「昔のにぎわいを知っている年配の方は、秘密村にたくさんの人が遊びに来ることを心から喜んでいるようです」と川道さんは顔をほころばせます。
キャンプ場の運営を3年以内に軌道にのせるという目標も、地域の人たちの協力で無事に達成。生活基盤が整ったことで、これからは龍山全域のために力を尽くしたいと、力強く話す川道さん。
「龍山は山奥で険しく、かつては助け合わないと生きていけなかった厳しい場所。だから人々は協力しあい、山で生きる知恵を身につけてきました。狩猟のこと、釣りのこと、生命に対する考え方など、まだまだ山の人たちから学ぶことは多いですね」
秘密村ができたことで、地元を離れた若い人たちが頻繁に遊びに帰って来るようになりました。さらに地元に残った若い人たちにとっても秘密村の存在はよい刺激になっているようです。地元の人をはじめ、龍山を出ていった若い世代、キャンプ場に遊びに来る親子など、多くの人たちから言われる感謝の言葉が、川道さんの原動力になっています。
9時00分 | キャンプ場片付け |
---|---|
12時00分 |
昼食・キャンプ場 |
13時00分 | 山の整備 |
16時00分 | キャンプ場補修 |
18時00分 | 帰宅 |
1978年生まれ、千葉県市原市出身。大学卒業後、商社に就職。退職後、3年間の海外生活を経て、富士宮市の自然学校でアウトドア指導員として従事。2016年4月山いき隊に着任、同年5月より秘密村村長。
山いき隊OGの大貫さんと秘密村を切り盛り。
親子向けや子供向けのイベントも充実。
秘密村のコンセプトである、自然を楽しみながら、人が交流する様子を表したロゴマーク。
キャンプ場にはカフェを併設。無農薬で作られたコーヒー、龍山の紅茶を使ったシフォンケーキなど、オーガニックで季節を感じるメニューが並ぶ。
自然の中で感性や好奇心を育み、生きる知恵などを遊びながら学ぶ「こどもひみつむら」。
険しい山肌に家々が並び、まるで山岳民族みたいな風景に目を奪われます。手入れが行き届いた天竜美林、千本桜が彩る秋葉ダム、水と紅葉が心を癒してくれる白倉峡など、豊かな自然が魅力です。6月になると瀬尻のぶか凧あげが行われ、10mを超える凧がうなりをあげて舞いあがる様子は必見です。
秋葉ダムと千本桜
白倉峡
ぶか凧あげ
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください