緊急情報
ここから本文です。
更新日:2024年1月1日
「山暮らしで見つけた自分らしい働き方」
「このまま卒業して、就職してもいいのかな。」もっと自分にあった仕事があるかも。誰もが一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。小川さんもそんな一人でした。大学進学で浜松市から東京へ。卒業後も続けていたアルバイト先で、友人が地域おこし協力隊として活動していたことを知ります。ネットで検索すると浜松市でも募集が行われていて、SNSで情報発信ができる人、地域の人と仲良くできる人と書かれていました。
「これって自分のことじゃんって(笑)。子供キャンプのボランティア経験も役に立つかもしれないし。田舎暮らしをしたいという強い動機があった訳ではないけれど、なんとなく働くことに後ろ向きだった自分を突き動かす、この気持ちを大事にしたかったんです」
その年の10月、小川さんは山いき隊として活動を始めます。
まずは畑仕事や地域イベント、お菓子の加工場などの手伝いをしながら、佐久間地域の様子をブログで積極的に発信しました。写真や絵文字を交えた文章から、小川さんが佐久間の暮らしや地元の人たちとの交流を楽しんでいる様子が伝わってきます。
海から50キロメートルほど離れた佐久間ですが、2年ほど前からアワビの養殖に取り組んでいて、小川さんもアワビの生育チェックを任されていました。
「ある日、アワビの殻を見ていたら、アクセサリーにしたらかわいいかも、と気づいちゃって。全くの素人でしたが、殻を割って形を整えたり、枠に敷き詰めたりして、ピアスやイヤリング、ストラップなどを制作しました」
地元や東京のイベントで販売したところ、あっという間に完売。そこで終わらないのが小川さん。販売して得た収益を元に、ペンキやハケなどを購入。ペンキがはげた公園のブランコやすべり台などを、子供たちと一緒に塗り直すイベントを企画します。ピンクやオレンジ、赤、青、緑、さらに色を混ぜて、自由にペンキを塗っていきます。イベントが終わる頃、子供たちはその小さな公園を「ペンキぐちゃぐちゃ公園」と呼び始めるようになります。誰かの公園が、自分たちの公園になった瞬間でした。
「子供向けのイベントを企画したのは、子供たちにもっと地元を楽しんでもらいたいから。楽しい思い出があれば、大きくなったとき地元を大事にしてくれるかもしれないですし」と小川さんは話します。
3年の任期も残りわずか。天竜地域の山いき隊隊員と協力して、お互いの地域の子供たち同士が交流しながら、それぞれの活動エリアのものを使って工作するイベントを企画。さらに、アワビの殻のアクセサリーづくりは地元の人たちのお小遣い稼ぎにしたいとの思惑があり、一人でも制作できるようレクチャーする予定とのことです。
「普通に就職していたら出会えなかった人たちが、一番の財産です。山いき隊のように自分のやり方で仕事を任せてもらえていたかも分からないですし」
ときに悩みながら、ときに肩の力を抜きながら、自分らしく行動したことが、地域に小さなキッカケをつくりだしました。大切なのは、自分の気持ちに正直になって、迷わず行動する、小さな勇気なのかもしれません。
9時00分 | アワビ養殖場見回り |
---|---|
12時00分 |
昼食・自宅 |
13時00分 | アクセサリーづくり |
15時00分 | 子供たちと企画会議 |
18時00分 | 帰宅 |
1993年生まれ、浜松市中区出身。大学で社会心理学を学ぶかたわら、放送サークルでラジオ番組を制作。2015年10月、山いき隊に着任。アワビの殻を使ったビジネスモデルは、ビジネスコンテストで審査員特別賞を受賞。
(2018年9月隊員任期終了)
地域で陸上養殖しているアワビを身近に感じられるよう、貝殻でアクセサリーを製作。
殻をハンマーで砕き、電動工具で削り出す。仕上げにマニキュアで光沢をつけて完成。
子供たちとペンキを塗り直したすべり台。自由な発想で可愛いすべり台になった。
ペンキ塗りの合間のひととき。
地域を回って、いろいろな人と会って、いろいろなことを聞く。ブログで情報発信。
アワビの養殖も順調で、アワビカレーの他、のしあわびや乾燥アワビにもチャレンジしています。2018年度中には三遠南信自動車道が佐久間まで開通(一部区間)し、市外や愛知県、長野県からのアクセスが向上。キャンプ場や川遊びなども人気なので、気軽に遊びに来てください。
佐久間ダム
地元のお母さん手作り「ごまちゃん」
大千瀬川
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください