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更新日:2019年1月28日

浜松市ユニバーサル農業研究会インタビュー「一般社団法人ノーマポート・高草志郎」

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一般社団法人ノーマポート 高草志郎

プロフィール

 神奈川県横浜市に事務所を構える一般社団法人ノーマポートの代表。2011年から伊藤忠テクノソリューションズ(株)の特例子会社(株)ひなりの代表取締役社長を5年間務め、特に浜松において農福連携モデルに取り組んだ経験を活かし、関東圏を中心に企業の障がい者雇用や農福連携をサポートする。(平成29年2月)

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(PDF版:2,048KB)

 

障がい者雇用をめぐる企業の現状

 一般社団法人ノーマポートは、企業の障がい者雇用拡大のための農業分野への職域開拓支援、企業内のサポーターのスキルアップ研修などの業務を行っています。私自身、伊藤忠テクノソリューションズ(株)の特例子会社(株)ひなりの社長という立場で昨年まで携わってきた経験から退職後ノーマポートを立ち上げ、障がい者雇用を進めようとする中小企業のご相談に乗ったり、福祉事業所などに農福連携モデルを紹介したり、また障がい者の就労支援などをさせていただいています。

 障がい者雇用においては、「障害者の雇用の促進等に関する法律」で「法定雇用率」というものが定められていて、現在民間企業においては2.0%となっています。これは、従業員50名以上を雇用する民間企業に対して障がい者を雇用する義務が法律で定められているもので、平成20年に1.8%、平成25年に現在の2.0%に改定されました。法定雇用率は5年ごとに見直されることになっているので、平成30年の4月には増率改定されることが決まっており、これに向けて障がい者雇用をさらに進めているというのが各企業の状況です。

 こうした法律に基づいて、企業は障がい者雇用に取り組んでいますが、とりわけ、大手企業にとっては雇用する従業員が多いことから、さらに雇用率を上昇させるということは決して容易ではありません。企業では総務関連事務やデータ入力、清掃・印刷業務などを中心に障がい者の業務を作り出していますが、多くの企業では、すでに飽和状態にあるこうした業務にさらに障がい者を配置するのは難しい状況にあります。今後、法定雇用率が上がっていくことがはっきりしている中、雇用する障がい者の職域開拓というのが差し迫った共通の課題となっており、こうした中で、全国の企業から現在大きな注目を浴びているのが農業という分野なのです。

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現在、障がい者の職域開拓として大きな注目を浴びている農業。自身の経験をもとに、農業参入を目指す企業のサポートを行っている。

 

農作業受託という新しい農業参入モデル

 このように障がい者の職域開拓という視点から農業に参画している企業があります。自ら植物工場などの施設を整備し、障がい者が農作業を行う形で直接農業経営を行う事例もありますが、やはり企業としては投資や採算性などリスク分析が最も重要なことです。多くの企業にとって、農業というこれまで関わりの少なかった新しい分野に踏み込むことには大きなハードルがあるのが現状です。

 こうした中、平成22年に浜松事務所を開設したひなりのモデルは、農作業を業務委託契約によって請け負うという新しい農業参入の形です。5年間、社長という立場で取り組ませていただきましたが、企業にとっての職域開拓とともに、農家さんにとって必要な人手を補う事のできる良いモデルケースとなっていると思います。

 農作業受託という形は、企業が行うことで大きなメリットがあります。農家さんにとって大切な商品を取り扱うものであり、商品管理や衛生管理、作業品質の確保ということはしっかりと責任をもって行います。また、障がい者の視点からみると、適切な労務管理のもとで働くことができますし、育成プログラムの中でしっかりと成長を実現していくことができます。障がいのある方には作業ができないという印象を持たれることが多いのですが、決してそんなことはありません。もちろん障がいスタッフ(以下、スタッフ)の障がい特性によって作業内容に向き不向きはあります。ひとつのことに集中して取り組める人、多様な仕事を起用にこなす人など色々なスタッフがいて、適切に教えることができればしっかりとできるようになります。中には健常者より仕事が早いスタッフに成長している姿も見ているので、障がい者の仕事として農業は十分やっていけると言えます。特に、農業には心身両面でのプラスの効果もあり、知的障がいや精神障がいを持った人には農業が非常に合っていると実感しています。

 

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障がい者の職域開拓のため農業参入を目指す企業への講演のほか、障がい者スタッフの管理者(援助者)の育成に関する企業内研修なども行っている。

 

農業分野で果たせるもう一つの社会貢献

 農作業受託をスタートした頃は、苦労したこともありました。特に農業は人手の必要な時期とそうでない時期がはっきりしていますが、スタッフを雇用している立場としては年間を通じた仕事を作らなければなりません。農家さんをまわって作業を委託してもらうための営業をするのですが、そこで大きな壁となったのはやはり障がい者スタッフに対する第一印象でした。障がいのある方に農作業は難しいだろうという意見がほとんどで、私たちはちゃんとできるということが分かっているのですが、農家さんはなかなかそうは思ってくれません。ですから、最初はとにかく試しにやらせてみてくださいとトライアルの形で仕事を請け、農家さんに納得していただいて契約するというふうに請負先を広げていきました。

 そういう中であった大きな変化は、農家さんのほうで委託する作業を新たに提案してくれるようになってきたことです。最初は収穫作業だけだったものが、色々な作業ができるということが分かったことで、作業する野菜の種類を増やしてくれたり、定植や葉かき・芽かき(余分な葉や芽を摘み取る作業)、肥料まきなどもお願いしたいと作業の切り出しをしてくれるようになりました。また、私たちを当てにして頂き農園の規模を大きく拡大する農家さんも出てきました。こうしたことは、農業参入に取り組んできた私たちにとって本当に嬉しいことでした。障がい者雇用自体が社会貢献と言われていますが、農業分野で取り組むことで今困っている農家さんたちを手助けすることができ、農業の発展に貢献するというもう一つの大きな社会貢献も果たすことができるのです。

 

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ユニバーサル農業研究会における調査事業においてもアドバイザーとしてたずさわり、農福連携の推進に取り組んでいる。

 

多様性の時代の中で企業が果たす大きな役割

 農福連携において、農業者にとっても農業経営における様々な変化やメリットの声が生まれてきました。お互いの連携の中で農業をしっかりと掘り下げていけば、障がい者が担える作業というのはまだまだたくさんあるだろうというのは率直に感じているところで、障がい者の職域開拓を進めていく企業にとって農業分野への可能性は一層広がっていくと思います。浜松市のユニバーサル農業においては、以前より農業と福祉の連携に企業が参加することで三者のそれぞれの課題を解決する取り組みになるという考えがあったわけですが、ひなりが参加したことで農福企業連携の一つのモデルが確立されたと思います。農業にとっては人手不足の解消、福祉にとっては就労の機会の拡大、企業にとっては障がい者に適した職域に確保ということです。

 企業にとってCSR(社会貢献)や法定雇用率を達成するというコンプライアンス遵守(法令順守)は当然のことですが、障がい者が会社の中で働くことで社員の意識が変わるということも大事なことだと言えます。ひなりでの経験のひとつですが、特例子会社ができ障がい者が親会社で働くようになった当初、健常者の社員との間にはまだ意識的な壁があったように思います。それが、社内清掃の業務などを通して関わりが生まれ、感謝の言葉や会話が交わされるようになり、お互いが身近で自然な存在へと変化していきました。こうしたことは、社会全体に広がっていく現象だと思います。

 ノーマポートの「ノーマ」は「ノーマライゼーション」を指し、障がいのある方がいること、ともに暮らしていることが普通のことだという意味の言葉です。そして、ポートは「港」。自分自身もそうですが障がい者にとって、また全ての新しく取り組もうという人にとっての船出という思いでつけた名前です。これから先、企業が福祉や農業といった様々な分野と関わり、その役割を果たすことで、社会にとって大きな力となっていくと思います。これから迎える多様性の時代、様々な立場の人がともに生き生きと暮らせる社会のために、私もできる限り多くの人と関わりを持ちながらお役に立てればと思っています。

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自身の経験を活かし、企業と福祉・農業をつなぐ役割として、これからの社会に貢献できる活動を続ける。

 

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