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更新日:2017年9月21日

ヤギ放牧による除草実験について(結果報告)

実験目的

農地など未舗装地の維持管理に必要な作業として、草刈りがあります。

草刈が不充分だと、やぶ化が進行し、野生鳥獣の隠れ場所を増やすことによって獣害の拡大や近隣農地への病害発生、ごみ不法投棄の誘発、火事の危険性増大に加え、景観面でもマイナス要因となります。

また、一般的に草刈りは草刈機や除草剤を用いますが、特に急傾斜地では人的・金銭的負担が大きくなる上、事故の危険性も高まります。一方、草刈機や除草剤に変わる手法として、ヤギ等の家畜放牧による除草が存在します。放牧除草は、安全性や環境への負荷軽減などのメリットが存在するとされます。

そこで、実際に農地において実験を行い、1.除草能力、2.費用対効果、3.野生動物の出没に与える影響、4.潜在的需要、5.市民農園との親和性及びその他事業実施による影響等を確認・検証しました。

実験方法

  • 引佐金指農園及び佐浜市民ふれあい農園において、空き区画となっている部分を実験工区として設定し、ヤギの放牧除草実験を行いました。
  • 実験工区は電気柵及びネット柵の2重柵で囲み、中に給水用のバット、鉱塩、ヤギ小屋(単管パイプ、パレット、防水シート等で構成)を用意しました。
  • 自生する草以外に、濃厚飼料(原料:トウモロコシ、小麦粉等)を1日1回給餌し、水も1日1回入れ替えました。
    実験期間中、ヤギの健康状態を確認するため、獣医による往診を受けました。
  • 引佐金指農園においては野生動物(イノシシ)の出没が報告されているため、実験期間中センサーカメラを設置し、野生動物の出没状況を確認しました。
  • 実験工区訪問者を対象としたアンケートを実施しました。

引佐金指農園(北区引佐町金指777ほか)

平坦地、急傾斜地合わせて約160平方メートル。植生はドクダミ、ツユクサ、エノコログサ、ミント等。急傾斜地はマキ、シイなどの雑木、笹等。

引佐金指農園空撮写真

実験期間

平成29年6月23日から7月3日(10日間)

ヤギ投入頭数

2頭(いずれも成獣メス。親子)

 

 

 

 

佐浜市民ふれあい農園(西区佐浜町3053-1ほか)

平坦地約160平方メートル。植生はセイタカアワダチソウ、エノコログサ、メヒシバ等。

佐浜市民ふれあい農園空撮写真実験期間

 平成29年7月18日~7月26日(9日間)

ヤギ投入頭数

 3頭
(成獣メス1頭、幼獣オス・メス各1頭。親子)

 

 

 

 

実験費用:2ヵ所合せて391,000円

協力:NPO法人 ソラノワ(島田市)

富士山静岡空港において「おもてなし」の視点による周囲部の景観形成を図るため、ヤギの放牧を実施。今回の実験にあたり、ヤギの放牧ノウハウの全面的なご協力をいただきました。

実験結果及び考察

除草能力

引佐金指市民農園

序盤はドクダミ、ミントを食べませんでしたが、実験の終わりごろにはミント以外、急傾斜地の木の葉を含め、実験工区内の植物のほとんどを食べつくしました(ただし茎は残る)。なお、例年8月に実施している草刈の委託において、処分した草の重量は昨年970kgに対し、本年度は700kgと270kg軽減されました。

引佐金指市民農園実験準備中1 引佐金指市民農園実験準備中2

写真:6月12日 除草実験準備中

傾斜地の草を摂食中写真

写真:6月26日 傾斜地の草を摂食中

除草実験終盤写真1 除草実験終盤写真2

写真左:6月30日 除草実験終盤(傾斜地) 写真右:7月2日 除草実験終盤(平坦地)

佐浜市民ふれあい農園

実験期間内に食べつくすまではいきませんでしたが、一面草に覆われていた圃場の一部は地面が露出し、草の量は明確に減少しました。


除草実験序盤1 除草実験序盤2

除草実験序盤3

写真:7月17日 除草実験序盤

除草実験終盤1 除草実験終盤2

写真:7月26日 除草実験終盤

除草実験後1 除草実験後2

写真:7月28日 除草実験後(柵撤収時)

費用対効果

費用対効果の比較にあたり、本実験の結果や他公共事業における設定値、ヒアリング等から以下のとおり試算条件を設定しました。なお、本実験では、ヤギの脱柵を完全に防ぐため、2重柵とし、柵資材をレンタルで用意していますが、柵や小屋資材は購入するものと想定し、ロープで繋ぎ飼い(繋牧)を行うケースも加えて比較しました。

除草スピード

ヤギ:10平方メートル/日(平坦地、急傾斜地問わず)
人:草刈機(平坦地)100平方メートル/時、(急傾斜地)20平方メートル/時

柵延長40m(100平方メートル)あたり

資材費用

繋牧10,000円、
放牧(電気柵)26,800円、
放牧(ワイヤーメッシュ柵)41,480円
ヤギレンタル費用 試算面積を1か月以内に除草可能な頭数と日数を設定。
一日当たりのレンタル費用は350円と設定。
人による除草費用(100平方メートルあたり) 平坦地:7,500円、急傾斜地:40,000円と設定。

 

試算結果グラフ

試算結果グラフ

人が急傾斜地を刈る場合が最も費用が高く、ヤギ繋牧と人が平坦地を刈る場合がほぼ同程度で、最も費用が安くなる結果となりました。

野生鳥獣の出没に与える影響

実験期間中の出没はありませんでした。実験時期の変更やより長い期間検証を行うことで、効果の程度をより正確に測ることができると考えられます。

ヤギ等の潜在的需要に関する影響

アンケートによる調査では、14件の有効回答が有りました。

ヤギによる除草をしてみたいが9件、そう思わないが3件、わからないが2件であり、潜在的な需要は一定以上あるものと考えられます。また、分からない、そう思わないと回答した理由としては、「効果の程が不明(食べる草の種類)」、「柵等の設置にお金がかかりそう」、「高齢のため世話が難しそう」などであり、その他にも「飼うマナーが心配」「動物愛護や家畜防疫の配慮が必要」など、ヤギによる除草を実施するに当たっての課題が明確となりました。

その他、「かわいい」「子供が喜ぶ」「癒される」など、除草以外に癒し効果や人を集める効果が期待される結果となりました。

市民農園との親和性

農作業中に抜いた草や、野菜くず等の処分がその場でできることから、親和性が高いと考えられます。
市民農園近辺で営農されている農家の方からも、実験については好意的なご意見をいただきました。

その他事業実施による影響

実験開始時、新聞、テレビの複数のマスメディアから取材を受け、実験について取り上げていただきました。実験箇所は、目立つ場所ではありませんが、その影響もあってヤギを見に多くの方が訪れました(特に親子連れ)。集客効果も高いと言えます。

課題等

ヤギの入手及び飼養方法

浜松市内におけるヤギの飼育届出頭数は平成28年度において44頭であり、放牧除草を行おうと思ったとき、ヤギの入手に困難が予想されます。また、飼育事例が少ないために体調管理等の飼養方法についての情報が不足しています。

導入時の柵設置等費用

今実験では完全な脱柵を防ぐために、2重に柵を設置しました。同様の柵を設置する場合、初期費用が高くなります。土地形状や条件によっては繋牧など安価で済む方法もありますが、普及にはより安価な資材など、初期費用を抑える必要があります。

まとめ

ヤギの体調管理等には短時間ではあるものの、日々の観察や水やりなどが必要であり、飼育管理を行う者が除草実施地の近くに住んでいる、あるいは通勤等の行き帰りに見ることができるなどの要件が揃うことが条件となります。しかしながら、本実験で分かったようにヤギの除草能力は高く、特に急傾斜地においては高い効果が望めることがわかりました。今後、管理技術が蓄積・洗練されることで、放牧除草が普及していく可能性を感じました。

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浜松市役所産業部農業振興課

〒430-8652 浜松市中区元城町103-2

電話番号:053-457-2332

ファクス番号:050-3737-9278

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