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更新日:2019年3月11日

第8章 環境保全対応方策

8-1 対応方策の手順

農村環境において、環境と調和した各種の農業農村整備事業を効果的に進めるためには、事業の概略が定まる前のできる限り早い時期から環境への配慮に対する検討を行うことが重要です。そのため、事業の透明性を確保しながら、継続的、効率的に進めることが重要であり、関係者の主体的な取組も必要になります。
環境保全方策としては、地域の環境特性を把握する調査を行い、対応方策を検討・実施し、維持管理を継続的に行うこととします。また、対応方策の効果を検証するために、定期的なモニタリングを実施します。モニタリングの結果を受け、問題がある場合には、必要に応じて既存計画の見直し等を行う順応的管理も重要です。
また、特に地域特性を把握する調査については、環境保全方策を効果的に推進して行く上で極めて重要なものとなります。そのため、既存の資料収集整理や現地調査結果から、刻々と変化する社会環境やそれに伴う自然環境の変化等を把握します。さらに整理された調査結果は、関係者間で共有して、計画策定、実施に有効に活用していくことが重要です。
「8-1 対応方策の手順」、「8-2 計画推進のための方策」では、環境との調和に配慮した農業農村整備事業の進め方について、具体的な進行過程、推進体制を示します。当面、農業農村整備事業のうち以下の事業に適用していきます。
○貴重種の生息が確認された地点など「特に環境保全に配慮すべき事業」
○環境への影響が大きい「大規模な農業農村整備事業(受益面積10ha以上の事業)」
なお、上記以外の事業については、「8-3 環境への影響が少ないと考えられる事業への対応」によることとします。

第1段階
<調査段階>

【1】個別地区の点検調査、把握

→各種資料、現地調査、聞き取り等による情報収集

  • 自然環境や社会環境の動向把握
  • 原風景(歴史性、景観構成)、貴重な自然環境の把握
  • 保全対象地と周辺環境の連続性を把握
  • 環境保全活動の実態把握(既存活動組織の有無)

 

第2段階
<評価段階>

【2】自然環境の評価と問題点の把握

→点検調査をベースとした評価

  • 有識者を交えて調査結果を評価
  • 保全すべき環境や向上すべき環境を抽出

第3段階
<構想策定段階>

【3】保全構想の検討

→評価を踏まえたコンセプトの設定

  • 計画策定にあたっての課題の抽出
  • 対策の必要性、程度について有識者を交えての意見交換
  • コンセプトの設定(何の保存を目的とするか、何を創出していくか)
  • 関係機関との協議・調整を既存関係計画や各種指針、条例との整合

第4段階
<計画策定段階>

【4】地域の農村環境を保全する計画の検討

→保全方針の策定及びイメージプランの作成

  • ミティゲーションの5原則を基本とした対策
  • 具体的な対策の検討
  • 保全管理体制の決定
  • 必要に応じて調査、モデルケースの実践を行い、対策効果を確認、推測

順応的管理の流れ(第6段階から第4段階へ戻る矢印)

第5段階
<実行・評価段階>

【5】地域の農村環境を保全する計画の実行・評価

→計画に基づき、対策を実行し、内容を評価する。

  • 実行途上での対策の進捗、計画との相違、組織体制等に関する問題点等を把握し、対策を評価、総括

第6段階
<改善段階>

【6】地域の農村環境を保全する計画の見直し

  • 取り組みの評価、総括に基づく見直し(第4段階の手順へ戻る)

出典:静岡県農村環境対策指針

(1)対応方策手順での留意事項

環境保全の方策は、地域の自然環境、社会環境に即し、計画的に実施していくことが重要です。各段階での留意点を整理します。

1)第1段階(調査段階)

調査では、現地踏査及び文献調査、聞き取り調査等を中心に、補足的に生物調査、アンケート調査等を実施し、地域環境の概況の把握や生物に関する情報等を整理します。地域住民の参加による「生き物調査」を企画・実施し、事業に対する理解や地域住民の身近な自然を知る機会を創出する等の工夫も必要です。なお、とりまとめでは、魚類、両生類、昆虫類などの分類や、希少生物、生息・生育状況、外来生物の区分、地域住民の意向等を図や表にわかりやすくまとめるなど工夫します。

2)第2段階(評価段階)

評価では、調査結果を踏まえ、注目すべき生物や保全対象の選定に活用するため、事業整備の内容等を参考に、想定される影響を整理します。

3)第3段階(構想策定段階)

構想策定では、特に、環境保全目標を設定し、地域が目指す将来の地域環境の姿及びその実現に向けた基本的な考えを共有することが重要です。環境保全目標は、農家を含む地域住民等にとって、身近で親しみやすく、わかりやすいこと、実現性や生態系への影響について、有識者の指導・助言を参考にすること、地域のメリットとなる具体的なイメージを引き出す工夫をすることが重要です。

4)第4段階(計画策定段階)

計画策定では、環境保全目標に基づき、環境との調和に配慮する対策を選定していきます。この場合には、ミティゲーション(環境への影響の緩和手段)5原則により実施することを原則とします。ミティゲーション5原則は、米国国家環境政策法(NEPA)における環境配慮の考え方で、回避・最小化・修正・軽減/消失・代償として示されています。ミティゲーション5原則を適用するにあたっては、農業生産性の向上等の事業目的確保への影響や費用、維持管理等の観点から、実施の可能性を順次検討し、最も適当なものを選定することが重要です。

表 ミティゲーション5原則

-

配慮方法の例

ミティゲーションの5原則

回避

行為の全体又は、一部を実行しないことにより、影響を回避すること

湧水池の保全

湧水等の環境条件が良く、繁殖も行われているような生態系拠点は、現況のまま保全する。

最小化

行為の実施の程度又は、規模を制限することにより、影響を最小化すること

生態系に配慮した用水路

水辺の生物の生息が可能な自然石及び自然水を利用した護岸とし、影響を最小化する。

修正

影響を受けた環境そのものを修正、復興又は回避することにより影響を修正すること

魚道の設置

落差工により、水路のネットワークが分断されている状況を魚道の設置により修正する。

影響の軽減/除去

行為期間中、環境を保護及び維持することにより、時間を経て生じる影響を軽減又は除去すること

一時的移動

環境の保全が困難な場合、一時的に生物を捕獲、移動し、影響を軽減する。

代償

代償となる資源や環境を置換または供給することにより、影響を代償すること

代償施設の設置

多様な生物が生息・生育する湿地等を工事区域外に設置し、同じ環境を確保する。

5)第5段階(実行・評価段階)

実行・評価段階では、常に、生物への影響が軽減されるよう、各時点での環境配慮対策を講じるように努めます。特に、実行段階では、施工時期への配慮、段階的な施工、施工関係者への徹底等の配慮が必要です。

配慮事項

内容

施工時期の工夫

  • 保全対象生物の生活史に応じて、影響の小さい時期を設定することが必要です。
  • 施工時期の工夫が困難な場合は、施工方法や施工範囲などの工夫により影響の軽減を図る配慮を検討します。

生態系に配慮した段階的な施工

  • 一度に広い範囲を施工した場合、緑地や水域が一時的に減少し、生物が死滅することが危惧されます。
  • 工事前の生物の移動・移植を行い、遺伝子レベルの多様性の保全に留意します。
  • 生物の避難場所を残すなど、生態系への影響に配慮した施工範囲を検討し、徐々に施工していく方法を検討します。

環境配慮対策の施工関係者への徹底

  • 従来の設計図書のみでは、環境配慮対策の考え方は施工担当者に伝わりにくく、認識不足によって予期しない施工結果となることが懸念されます。
  • 配慮対策の箇所やその内容などを共通の認識とするため、十分な調整を行うとともに施工者側からの提案も含めた施工計画を作成し、事業にあたります。

6)第6段階(改善段階)

改善段階では、環境配慮対策を行った施設等が、農業生産面での機能を発揮することはもとより、ネットワークにおける機能を十分に発揮するように、モニタリングを行いながら、維持管理していくことが必要です。環境配慮対策の効果を確認するためには、工事前の調査結果を基に、モニタリングを実施します。さらに、生態系は常に変化していることから、環境配慮対策を講じても必ずしも十分な効果が得られない場合があります。したがって、モニタリング結果により得られた情報を収集し、必要に応じて施設の補修や修正を行う順応的管理を実施していくことが重要です。

 

 

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