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更新日:2022年3月29日
農業農村整備事業の推進に当たっては、6-1から6-5に示した考え方を踏まえ、『安全性』『経済性』『維持管理方法』など多方面の検討のもと、地域の条件に応じた柔軟な対応を基本として、環境との調和に配慮した事業を推進します。ここでは、「区画整理(ほ場整備)」「用排水路整備」「農道整備」「ため池整備」「集落環境整備」の各事業について、環境配慮の視点と方針を整理します。
区画整理は、農道、用排水路等の整備、暗渠排水、土層改良等の土地利用の秩序化を一体的に実施するなど、土地基盤の総合的な事業を行うものです。この事業は、広大な面的広がりをもって実施されるため、地域における自然環境や景観に大きな影響を与えるものです。
そこで、整備においては、地形改変に留意し、樹木、樹林等の緑地や良好な水辺空間を極力保全、再生するなどの自然環境の保全、創出を図るとともに、歴史、文化的な地域資源の保全、活用を積極的に行うことが重要です。
そのため、区画整理にあたっては、「多様な生息・生育空間の確保」「地形の保全」「水路と水田の連続性確保」「緑の保全と再生」「畑地における下流河川への土砂流出防止」に配慮することが重要です。
環境配慮の視点 |
方針 |
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多様な生息・生育空間の確保 |
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地形の保全 |
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水路と水田の連続性確保 |
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緑の保全と再生 |
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畑地における下流河川への土砂流出防止 |
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【水田での取り組み】
既存の水田でも、市民参加等の手軽に対応可能な方法です。(出典:生態系保全の手引き~生きものの豊かな農村を目指して~滋賀県世代をつなぐ農村まるごと保全地域協議会)
名称 |
水田魚道の設置(間伐材の利用等) |
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地形条件 |
特になし |
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効果 |
水路と田んぼを結ぶことで、ドジョウやフナ、ナマズ等の魚類に産卵の場が提供でき、稚魚の生育の場も提供できる。 |
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留意事項 |
水路内の構造物は通水阻害となるので、大雨時期の流量等を考慮するなど注意が必要である。管理者との調整が必要である。 |
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維持管理 |
木材は腐敗が進むことから、定期的な補修が必要となる。 |
名称 |
水田魚道の設置(コルゲート管等) |
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地形条件 |
特になし |
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効果 |
水路と田んぼを結ぶことによって、ドジョウなどの魚類に産卵の場を提供でき、稚魚の生育の場も提供できる。 |
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留意事項 |
コルゲート管(ポリエチレン波状管)はある程度自由にまげることができ、既設の一筆排水枡に取り付けることも可能である。水路内の構造物は通水阻害となるので、大雨時期の流量等を考慮するなど注意が必要である。管理者との調整が必要である。 |
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維持管理 |
特になし |
名称 |
水田内の避難場所(どんぶち等) |
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地形条件 |
特になし |
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効果 |
水田の一画に生き物の退避場所を設けたり、水田の縁に溝を掘ることで、中干しなどで落水した時の生き物の避難場所となる。 |
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留意事項 |
耕作者の同意を得る。 |
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維持管理 |
溝が埋まった場合の溝堀りや畦が崩れないよう管理する必要がある。 |
名称 |
冬水田んぼ(冬期湛水)の実施 |
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地形条件 |
特になし |
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効果 |
冬期に田んぼに水を張ることで、冬場、浅い水面をエサ場として利用するカモやシギ・チドリなどの鳥類や、水生生物に越冬場所を提供できる。 |
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留意事項 |
冬場(非かんがい期)の水の確保が必要となる。周囲の田んぼへ水漏れのないよう注意する。 |
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維持管理 |
周囲の田んぼへ影響を与えないよう、畦の草刈りや、水張りの管理をする必要がある。 |
用排水路は、古くから水田を主体とした農業生産において、用水の導水路及び余剰水の排水路として重要な役割を担ってきました。また、洗い場や防火など地域の生活に密着した生活用水としての機能も持ち合わせています。さらに、水田と一体となって豊かな二次的自然環境を形成し、メダカやドジョウ、ヤリタナゴなどの魚類をはじめ、多様な生き物の生息・生育空間としての機能ももっています。そのため、単に農業用水利施設としてだけでなく、生物多様性の保全や農村コミュニティの再生の場としての利用に留意していくことが必要です。
そのため、用排水路整備にあたっては、「構造物としての基本的条件確保」「生物の生息、生育空間の確保」「周辺環境との連続性の確保」「環境に配慮した資材の採用」「その他の多面的機能(親水性や景観等)」に配慮することが重要です。
環境配慮の視点 |
方針 |
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生物の生息、生育環境の確保 |
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生物の生息、生育環境の確保 |
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周辺環境との連続性確保 |
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周辺環境との連続性確保 |
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周辺環境との連続性確保 |
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環境に配慮した資材の採用 |
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その他多面的機能 |
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その他多面的機能 |
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【水路での取り組み】
既存の水路でも、市民参加等の手軽に対応可能な方法です。(出典:生態系保全の手引き~生きものの豊かな農村を目指して~滋賀県世代をつなぐ農村まるごと保全地域協議会)
名称 |
水路底を掘り下げ、瀬・深みを設ける工法 |
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地形条件 |
平坦地、傾斜地(比較的勾配があり、流速の速い水路に有効) |
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効果 |
魚類など水生動物の休息の場となる。 |
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留意事項 |
※水路内の構造物は通水阻害となるので、大雨時期の流量等を考慮するなど、十分に注意すること。管理者との調整が必要である。 |
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維持管理 |
泥上げやゴミ拾いが必要になる。 |
名称 |
乱杭、置き石、浮き石の設置 |
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地形条件 |
平坦地(勾配が緩やかな場所で有効) |
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効果 |
杭や石の周りに多様な流れができることで、休憩所・エサ場所を提供することができる。 |
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留意事項 |
多様な流速を創り出すために、一律の間隔にならないようランダムに設置する。置き石は水流で移動しないよう大きめのもの(粒径100mm~)にする。 |
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維持管理 |
乱杭部分などにゴミが溜まることから、定期的なゴミ拾いが必要である。 |
名称 |
水制工 |
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地形条件 |
平坦地(勾配が緩やかな場所で有効) |
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効果 |
流速に変化を与え、魚類等の休息の場となる。 |
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留意事項 |
水制工部分にゴミが溜まりやすい。 |
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維持管理 |
定期的なゴミ拾い。 |
名称 |
木工沈床など(井桁沈床工) |
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地形条件 |
平坦地 |
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効果 |
間伐材を格子状に組み、その中に割石、栗石、玉石などを詰めて水底に沈める。水中での木枠の中の隙間は、小型の甲殻類、稚魚、昆虫類のすみかとなり、魚類にとっては産卵場所、休憩場所となるほか、付着性の藻類がエサとなる。 |
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留意事項 |
沈床工部分にゴミが溜まりやすい。 |
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維持管理 |
木枠は腐敗が進むことから、定期的な補修が必要となる。 |
名称 |
魚巣ブロック(置き石、U字溝の利用) |
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地形条件 |
平坦地、傾斜地 |
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効果 |
魚類などの避難場所や休憩場所となる。 |
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留意事項 |
あくまでも休憩場所であるので、周辺の河床がコンクリート等でエサの存在、産卵場所の確保等がされていないと、期待し効果を上げることは困難である。 |
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維持管理 |
定期的なゴミ拾い |
名称 |
水路からの脱出施設(間伐材の利用等) |
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地形条件 |
平坦地、傾斜地 |
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効果 |
水路に転落したカエルなどの脱出施設となる。 |
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留意事項 |
流末の収集枡、合流枡などにも設置するとよい。 |
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維持管理 |
木材は腐敗が進むことから、定期的な補修が必要となる。 |
名称 |
セキ板、枕木による水深確保 |
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地形条件 |
平坦地、傾斜地 |
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効果 |
水路内に深みをつくることで、魚類など水生動物の休息場所を確保する。また、左右の高さを変えた枕木を設置し、流れに変化を与える。 |
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留意事項 |
ゴミが溜まりやすい。 |
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維持管理 |
木材は腐敗が進むことから、定期的な補修が必要となる。 |
名称 |
上下流の連続性確保(階段魚道) |
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地形条件 |
落差の多い傾斜地で有効 |
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効果 |
上下流の落差を小さくすることで、魚類の移動を確保できる。 |
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留意事項 |
魚類は、サギなどの外敵から身を守るために、「ひかげ」に隠れる性質があるので、魚道も、陰になりやすい側に設置するとよい。対象となる魚の種類に応じて、魚道の幅や堰板の間隔、深さを工夫するとよい。 |
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維持管理 |
木材は腐敗が進むことから、定期的な補修が必要となる。 |
はいあがりネット
出典:農村環境整備センター
農道は、農業生産活動や社会生活活動などに供するための道路として、安全性や快適性、効率性などの基本的機能を有し、地域の産業、文化、経済活動に大きな役割を担っています。反面、農道周辺の生物の生息・生育環境に影響を与えています。
農道は、それ自体が生物の生息・生育空間となることは少なく、沿線の土地利用も必ずしも一様でなく水田や樹林地、集落などと変化する特徴を持っています。また、道路は動物の移動を妨げたり、車両の通行によるロード・キルの要因となることもありますが、一方で、法面や並木などの線的な緑地は、分断されたビオトープを連絡させる生息場所間の移動経路(エコロジカルコリドー)としての役割も担っています。
そのため、農道の整備にあたっては、沿線環境への影響の軽減を主目的として、「影響範囲の縮小化」「生物の移動経路の確保」「周辺環境要素との連続性の確保」などの環境保全対策を複合的に検討し、自然環境や農村景観の保全・改善・復元に配慮します。
環境配慮の視点 |
方針 |
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影響範囲の縮小化 |
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生物の移動経路の確保 |
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周辺環境要素との連続性確保 |
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周辺環境要素との連続性確保 |
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生物の生息場所の保護 |
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なお、計画策定には、事業内容、特性に応じ、ミティゲーション5原則*を活用し、動植物に配慮した路線選定や橋梁・高架橋・トンネル・擁壁などの設置、切土・盛土の縮小化など改変範囲の最小化に努めるとともに、動物の移動ルート確保や法面緑化、新たな生息・生育空間の創出、雨水の地下浸透への配慮など環境に与える影響への軽減策を講ずる必要があります。
【農道設計の検討(例)】
■小動物が脱出できる構造の側溝
■動物の移動のためのパイプカルバート
出典:『環境との調和に配慮した事業実施のための調査計画・設計の手引き』農林水産省
ため池は、長年にわたる稲作と人との関わりの中で形成されてきた歴史のある施設で、主としてかんがい用水に恵まれない地域を中心として整備された人工的な水域です。また、利水という本来の機能に加え、防災機能や生態系の保全、親水、良好な景観など多面的な役割を担っています。
ため池の水は、かんがい期の放水や翌年のための貯水など営農活動に利用され、水位が年間周期で大きく変動するという特徴を持っています。この水位変動や草刈、水抜き、浚渫などの人為的活動に対応した様々な植物、水生昆虫、魚類、両生類、鳥類などが生息・生育し、良好な二次的自然空間が形成されています。しかし、市内のため池の多くは、開発などによる緑地環境や水辺環境の減少により、ため池が周辺の環境要素から孤立し、多くの生物相の生息・生育環境としての機能が失われつつあります。そのため、ため池だけでなく樹林地や水路・河川、農地などとの有機的なネットワークを考慮した整備が必要になってきています。
ため池の整備(補修含む)の実施にあたっては、「生物の生息・生育環境の確保」「生態系を乱す外来種への対策」「周辺環境要素との連続性確保」「水質の保全」「その他多面的機能」から複合的に検討を行うことにより、自然環境の維持と親水空間の改善を進めます。
配慮事項の視点 |
内容 |
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生物の生息・生育環境の確保 |
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生態系を乱す外来種への対策 |
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周辺環境要素との連続性の確保 |
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水質の保全 |
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その他多面的機能 |
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その他多面的機能 |
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【ため池での取り組み】
既存のため池でも、市民参加等の手軽に対応可能な方法です。(出典:生態系保全の手引き~生きものの豊かな農村を目指して~滋賀県世代をつなぐ農村まるごと保全地域協議会)
名称 |
置き石、浮き石の設置 |
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地形条件 |
特になし |
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効果 |
置き石や浮き石を配置することで、生きものの生息空間(魚類等の産卵場所や避難場所)を確保することができる。 |
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留意事項 |
置き石や浮き石に現地での発生材を利用する。 |
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維持管理 |
ため池の水抜きを実施した際に、点検や補修をする必要がある。 |
名称 |
捨て石による緩傾斜護岸 |
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地形条件 |
特になし |
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効果 |
既設護岸の前面に捨て石で緩傾斜をつくり、ヨシ等の植生により、生きものの生息空間(魚類等の産卵場所や避難場所)を確保することができる。 |
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留意事項 |
緩傾斜護岸の範囲・傾斜角は、貯水量を考慮する。 |
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維持管理 |
ため池の水抜きを実施した際に、点検や補修をする必要がある。 |
名称 |
浚渫土を利用した緩傾斜護岸 |
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---|---|---|
地形条件 |
特になし |
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効果 |
既設護岸部の前面に浚渫土などの土で緩傾斜をつくり、置き石や乱杭等で土留めし、植栽することで、生きものの生息空間(魚類等の産卵場所や避難場所)を確保することができる。 |
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留意事項 |
緩傾斜護岸の範囲・傾斜角は、貯水量を考慮する。 |
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維持管理 |
木材は腐敗が進むことから、ため池の水抜きを実施した際に、点検や補修をする必要がある。 |
名称 |
木柵護岸工 |
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地形条件 |
山間部、丘陵地にある谷池 |
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効果 |
木杭と木柵の護岸工法であり、木柵の間にヨシなどを植生することにより、生きものの生息空間を保護することができる。また、木材を用いるため、景観にも配慮できる。 |
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留意事項 |
木杭や丸太に現地での発生材等を用いる。 |
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維持管理 |
木枠は腐敗が進むことから、ため池の水抜きを実施した際に、点検や補修をする必要がある。 |
名称 |
井桁沈床工 |
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---|---|---|
地形条件 |
特になし |
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効果 |
間伐材を格子状に組み、その中に割石、栗石、玉石などを詰めて水底に沈める。 |
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留意事項 |
中詰めの石に現地での発生材を利用する。 |
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維持管理 |
木枠は腐敗が進むことから、ため池の水抜きを実施した際に、点検や補修をする必要がある。 |
名称 |
魚巣ブロック(U字溝、置石) |
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地形条件 |
特になし |
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効果 |
魚類などの避難場所や休憩場所となる。 |
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留意事項 |
置き石や浮き石に現地での発生材を利用する。 |
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維持管理 |
泥に埋まってしまわないように、ため池の水抜きを実施した際に、点検する必要がある。 |
農村集落では、農地を基本に、浜松の気候・風土を背景とした生垣・防風林、神社仏閣などから構成された、うるおいとやすらぎに満ちた地域独自の空間が形成されてきました。集落環境整備は、集落道や農村公園をはじめ、集落排水、防災・安全施設、集落共同施設などの生活と密着した施設の整備を行うものです。
農村環境の整備にあたっては、「地域資源の活用」「ネットワーク化」「周辺景観との調和」などの配慮を多方面から検討し、うるおいとやすらぎのある集落環境の創出を進めます。
配慮事項の視点 |
内容 |
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地域資源の活用 |
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ネットワーク化 |
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周辺景観との調和 |
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周辺景観との調和 |
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【景観への配慮(例)】
■水田と民家のマキ囲い,社寺林から構成される農村景観(積志地区)
農村地域の様々な要素がのどかな農村景観を構成しています。
■三方原台地の赤土の畑と防風林が織り成す風景(三方原地区)
三方原の防風林は地域のシンボルであり,周辺農地を含めて農村景観を形成しています。
農村環境の総合的な整備を通じて、農村地域の生活利便性、快適性を高め、地域住民のみならず、新たな定住者を惹きつけられる魅力的な地域のイメージ形成を目指すことが重要です。
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