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更新日:2019年3月15日

第6章 全体計画

基本方針を踏まえ、本市全域に関わる広域的な環境保全・整備に係る全体計画を以下に示します。農業農村整備事業を進めるに当たっては、各種関連施策と連携して進めていきます。なお、具体的な計画対象地域は、第7章地域別計画で示します。

6-1 生物多様性の保全

(1) 生物の生息・生育場所の保全と創出

本市は、ヤリタナゴをはじめとする淡水魚のレッドリスト種が県内他地域と比較して多く見られるなど、県内でも貴重な生物が豊富に生育・生息している地域です。また、これらの生物の多くは農村地域に依存しており、生活史を通じて様々な環境を利用しています。そのため、これらの生物を保全するためには、生物が生息・生育するための良好な環境と移動経路から構成される生物のネットワークが確保されていることが重要です。
特に、動物が生息するための環境は、植物とは異なり、産卵・ふ化・成長・越冬等の生活史の段階ごとに利用する生息環境が異なり、これらの要素が一つでも欠けると生息が困難になります。したがって、まず、配慮すべき特定の保全対象種(シンボル種)を地域の環境特性や事業内容から設定し、その生活史を理解した上で、水田などの農地、水路、ため池、二次林である雑木林や防風林など多様な生息環境の保全を図ります。さらに、改善・復元するためには、既存施設を活用しながら環境配慮の工夫を加えたり、施設整備にあたっては近自然化に配慮したり、外来種対策を実施するなどの方策を行います。特に貴重種については、その供給源を保全・創出します。

【浜松市と他地域の淡水魚レッドリスト種の種数比較】
浜松市と他地域の淡水魚レッドリスト種の種数比較
資料:まもりたい静岡県の野生生物-県版レッドデータブック-(平成16年3月)をもとに富士常葉大学附属環境防災研究所作成

【茶花を育む茶草草地】
茶畑のまわりに、茶畑に敷くための茶草を刈るための草地があります。昔は、かやぶき屋根を作ったり、田畑の肥料にしたり、牛や馬の餌にするために、草地を利用していましたが、今では草を使わないので草地はどんどん減っています。しかし、茶畑では今でも草を使うので、昔と同じように草地が維持されています。こうした草地には、「秋の七草」として語られる草本類が多く見られます。中にはササユリやリンドウ、キキョウなど茶の湯の席に用いられる茶花が多く、「茶草」の利活用によって「茶花」が守り伝えられてきました。

茶花を育む茶草草地

参考:静岡県HP

(2) 生物の生息・生育場所のネットワークの形成

動物は、必要な生息環境を求めて適当な時期に移動しながら生息しており、移動経路が分断されると生息域の減少等の著しい影響を与えることになります。そのため、移動経路を確保することが重要であり、対象とする動物が利用する生息環境や地域条件を勘案し、生息空間のネットワークや生物の回廊(エコロジカルコリドー)を構築することが重要です。

浜松市における動物が利用する生息環境(例)

図6-1 浜松市における動物が利用する生息環境(例)

■水のネットワーク

水田は、魚類や昆虫類、両生類等にとって産卵場であると同時に稚魚の餌場としての役割を果たしています。多様な生物が耕起・田植え・落水といった水田特有の営農環境や水路を介した水のネットワークを活用して生活しています。
ため池は、止水域を好むトンボ類、魚類、両生類等の繁殖、成長等のための生育環境となっています。水深の浅い場所では、水際の状態と人為的な水位変動により、水辺移行帯が形成され、周辺の水田や樹林地と併せて多様な生物の生息・生育環境となっているとともに、移動経路の拠点となっています。
このように、様々な動物の生息環境への移動障害が生じないよう水田、水路、河川、ため池等の連続性と水量・水質の確保に配慮する必要があり、渇水期にも水溜りとなるような恒久的な水域を確保し、生物の供給源として機能させることが有効です。

■緑のネットワーク

雑木林や防風林、社寺林、公園、生垣、農道や水路沿いの緑地は、鳥類、昆虫類、両生類、ほ乳類等の動物の休息や繁殖等の生育環境として利用されるだけでなく、移動経路としての役割も果たしています。しかし、開発や整備などによって緑地の分断が進行しています。
今後は、「浜松市緑の基本計画」と連携しながら、貴重な緑を保全していくとともに、分断された緑地については、郷土種による樹種の選定や配置等を検討し、地域性と周辺環境に配慮した緑を創出することで連続性を確保し、緑のネットワーク化に努めます。農地周辺においては、畦畔沿いの草地や法面、樹林の連続性確保に努めます。
また、生物が耕作放棄地を生息・生育場所として、あるいは移動経路として利用できるよう冬水田んぼや避難場所に活用します(6-6事業別配慮方針を参照)。

緑地と水辺のネットワーク

図6-2 緑地と水辺のネットワーク
出典:環境エコアップマスタープラン 横浜市

【ヤリタナゴとマツカサガイの生息に必要な水のネットワーク】
本市に生息するヤリタナゴは、都田川本川や支川の下流域を主な生息場所としていますが、繁殖期になると産卵母貝であるマツカサガイのいる水路や小川に入り、マツカサガイのえらに十数粒の卵を産み付けます。

ヤリタナゴとマツカサガイの生息に必要な水のネットワーク

資料:富士常葉大学附属環境防災学部作成

(3) 生物多様性保全活動の促進

生物の生息・生育の場の創出や農地・農業水利施設等の適切な管理などによる生物多様性保全活動への主体的な取組を展開します。特に、次代を担う子どもたちが水田、水路、ため池、里山などで生物とふれあい、学ぶことで、環境に対する豊かな感性と知識を育てる取組を推進します。また、外来種や有害鳥獣は、地域固有の生物多様性への影響が考えられるため、専門家や研究者との協働を通じ、里地里山の整備・保全を検討していきます。

【ヒメボタル生息環境の保全】
浜松市都田地区で県が進めるほ場整備と都田川改修に合わせて、貴重なホタル生息地を、浜松市が計画している親水公園に表土ごと移植する作業が地域住民や、県立農業経営高校の生徒、県や市の職員により実施されました。参加者らは、ほ場整備により水田等になるヒメボタルの生息竹林から、枯れ葉や腐葉土を丁寧にかき集め、親水公園となる区域に運び込み、土を敷きならし、採取した下草を移植しました。

移植作業をする高校生

移植作業をする高校生
出典:静岡県HP

 

【久留女木地区の棚田(農地の保全活動)】
久留女木地区は、浜松市北区引佐町の北東部で、浜名湖へ流入する都田川上流部東側に位置しています。標高は250m程度で、60余の世帯からなる集落の東側に、棚田7.7haが広がっています。棚田の歴史は平安~室町時代に起源するといわれ、少量の水源と棚田特有の傾斜地という条件ながら、先人の高度な土木技術と努力によって支えられてきました。
「日本の棚田百選」、「静岡県棚田等十選」にも選定されており、静岡県の誇る歴史と文化を継承する大規模な棚田です。
久留女木の棚田は、日当たりの良い山間の斜面に位置し、観音山からの湧き水を利用して、耕作を行っています。ほとんどが手作業で、大変な仕事ですが、地域を特徴づける先祖からの財産であり、今でも、水田環境が維持されています。

久留女木地区の棚田(農地の保全活動)

出典:静岡県HP

 

 

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