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更新日:2019年3月11日

第5章 環境保全の基本方針(2)

5-2 環境保全の基本方針

農村における環境保全は、農の営みによる生物多様性の保全と創出を基本とし、この考えに基づき、農業生産の推進、里地里山の整備、草地の整備・保全・利用を実施していくことが重要です。そのため、基本理念を踏まえ、本計画の環境保全の基本方針として次の項目を設定します。

環境保全の基本方針

 

(1)方針1 生物多様性の保全

1)意義

生物多様性とは、自然界に存在する動物・植物の遺伝子、種、生態系などすべてを包括するもので、多くの生物がいること、同じ生物でも個性があること、そして、それらが様々な環境でかかわりあって生きていることなどを言います。この生物多様性は、現在、人間活動の影響等によって大きな危機に瀕しています。また農業は、自然界における多くの生物がかかわる循環機能を利用し、動物・植物を育みながら営まれており、生物多様性に立脚した産業とも言われています。そのため、わたしたちは、農業と生物多様性のかかわりを見つめ直し、農の営みを通じた生物多様性の保全を図っていくことが必要です。

2)環境特性

本市では、天竜の森林や天竜川、三方原台地、浜名湖、遠州灘といった多様な地形・水系に応じた植物相や動物相が展開しています。貴重な動植物の生息地も点在しています。農村地域では、水田や畑などの農地、水路、ため池、里山といった多様な要素が、農業の営みを通じて二次的自然環境をつくりだし、多くの生物を育んできました。しかし、農地の減少や農地・農業水利施設等の形態の変化、農薬・肥料の不適切な使用、高齢化・過疎化による管理不足、外来種の脅威等により、農村地域に生息・生育する生物の多様性が失われてきています。また、里山環境の変化により鳥獣被害も増加の傾向にあります。

3)基本方針

里地里山の生物多様性を保全するためには、生物が生息・生育するための良好な環境とそれらを繋ぐ移動経路、そして農の営みが確保されていることが重要です。そのため、本計画では、生物の生息・生育場所となる農地の保全とともに既存施設に環境配慮の工夫を加える取組を推進し、身近な動植物の生息・生育場所の保全・創出と生息空間のネットワークを形成します。これらを推進するため、生物多様性保全活動の促進を図ります。

具体的な取組

  • 生物の生息・生育場所の保全と創出
  • 生物の生息・生育場所のネットワークの形成
  • 生物多様性保全活動の促進

ヤリタナゴ(写真左)とマツカサガイ(写真右)

ヤリタナゴ(写真左)とマツカサガイ(写真右)

 

保全された都田川の旧河川(北区)

保全された都田川の旧河川(北区)

(2)方針2 良好な景観の保全と形成

1)意義

農村の景観は、その地域固有の風土を活かした農業活動により形成されてきており、良好な農村景観は、農業の健全な営みと農家をはじめとする地域住民が景観を適正に保全・形成していくという意識によって生まれます。そのため、わたしたちは、農村での景観を貴重な地域資源として意識し、農村地域の魅力や問題点に対し、共通の認識を持ち、持続的な保全と形成を図っていくことが重要です。

2)環境特性

本市には、山間地、扇状地、台地、川、湖、海があり、遠州地方特有の空っ風が吹きます。こうした自然条件が、地域の農村景観を形作る基礎となっています。地域に住む人たちが自然と共存しながら営んできた農業生産活動を通じて、農地や集落が形成され、浜松らしい農村の原風景が醸成されてきました。天竜や奥浜名湖の森林や天竜川及びその支川の清流、都田川、馬込川、浜名湖及びその支湖などの自然条件を背景に中山間地の斜面を利用した棚田や段々茶畑、三ヶ日のみかん山、三方原台地上の防風林と畑、三方原台地南端部の谷津田・ため池・樹林、民家や農地の周辺のマキ囲い(ホソバ垣)、浜北の植木畑、浜名湖周辺の花き園芸畑、遠州灘海岸沿いの防風林や砂地の畑などが重要な景観構成要素となっています。
しかし、近年の都市化、混住化の進行に伴い、土地利用の秩序が乱れ、こうした地域を特徴づける良好な農村景観が失われたり、農村地域の活力の低下によって農業の営み自体が継続できないために耕作放棄地の増加を引き起こすなど農村景観の悪化がみられます。

3)基本方針

農業農村整備事業の推進にあたっては、地形・植生・水辺等の自然景観や農業・集落が作り出す農村景観を地域の個性として保全するとともに、改善・復元を進めます。

具体的な取組

  • 自然景観の保全・育成・活用
  • 歴史的・文化的景観の保全・育成
  • 景観づくり活動の促進

遠州灘防風林と砂丘(南区)

遠州灘防風林と砂丘(南区)

 

大栗安の棚田(天竜区)

大栗安の棚田(天竜区)

(3)方針3 自然循環機能の維持・増進

1)意義

自然循環機能は、健全な土壌や水によって育まれた生物による物質を循環させる機能であり、元来、農村で機能していたものです。例えば、稲わらや家畜排せつ物を堆肥として農地に還元することや森林資源の木質バイオマスとしての活用などが挙げられます。こうした仕組みは、環境負荷が少なく、持続可能な社会には欠かせないものです。そのため、わたしたちは、環境負荷の少ない仕組みを構築し、未利用バイオマスや自然エネルギーの活用による自然循環機能の維持・増進を図っていくことが重要です。

2)環境特性

本市の日照時間は、全国的に見てもトップクラスの水準であり、遠州特有の空っ風を含め、これらの自然エネルギーの有効利用は今後検討すべき課題です。
また、有機物による土づくりや化学肥料・化学農薬の使用の低減など環境保全型農業への取組は、環境への意識の高い農家で行われていますが、十分とはいえない状況です。そのため、環境保全型農業などの持続性の高い農業生産方式の一層の導入が期待されます。
本市の農作物残さとしては、果樹剪定枝、稲わら、もみ殻などがあり、飼料化・肥料化などへの再利用を検討する必要があります。また、市域の約7割を占める森林は、間伐材などの木質バイオマスの供給源であり、木質ペレット等に加工するなどして利用することが可能です。
このように、農村地域には多くの未利用バイオマスが存在する一方で、農業活動のために物やエネルギーが消費されています。本市では花きや洋菜などの施設栽培が盛んに行われています。この施設栽培の加温用燃料は主に石油が使用されており、その燃焼によって排出される二酸化炭素は、温暖化をもたらすと言われる温室効果ガスの1つとなっています。施設栽培における脱石油化・省石油化は、温室効果ガス排出量の削減と燃油価格の高騰リスクに強い農業経営を実現するため、重要な課題です。そのため、天然ガスの利用やバイオマスの有効利用への期待が集まっています。

3)基本方針

温暖な気候に恵まれた自然条件を活かした自然循環機能の維持・推進を図ります。

具体的な取組

  • 自然エネルギーの利活用の促進
  • 境保全型農業の促進
  • バイオマスの利活用の促進

粉砕した剪定枝の堆肥化

粉砕した剪定枝の堆肥化

 

家畜ふん尿堆肥を利用して栽培した飼料用とうもろこし

家畜ふん尿堆肥を利用して栽培した飼料用とうもろこし

(4)方針4 歴史と伝統文化の継承と活用

1)意義

農村の伝統文化は、地域住民の過去からの「暮らし」の中で、周辺の環境を意味づけし、世代を通じて、伝え、受け継がれながら形成されてきたものです。伝統文化は、地域の暮らしを支える実践的な知恵を内在しており、各種の伝承技術、祭り、行事などは農村環境を形成する重要な要素として位置づけられます。そのため、わたしたちは、農村の歴史と伝統文化の価値を正しく認識し、伝承するとともに、農村地域の持続可能な社会のために活用していくことが重要です。

2)環境特性

本市では山の暮らし、海の暮らし、街道や都市の暮らし、また、豊かな自然環境の中で、多彩な伝統文化が育まれてきました。特に本市の農村地域には、地域の振興や精神的なつながりの中で、遠州大念仏や放歌踊、ひよんどり、田楽、農村歌舞伎といった各種の文化財や伝統技術、祭り・伝統行事などが多く継承されています。
しかし、中山間地での過疎化・少子高齢化の進行等による地域社会の構成員の減少、価値観の多様化などに伴い、保存していくための担い手が減少する傾向にあります。

3)基本方針

次代の担い手である子どもたちが、自分たちの住む地域に誇りや自信を持ち、今後も生き生きと農村地域での生活を楽しむことができることが重要です。地域固有の文化財や伝統文化を次代に継承していくとともに、新たな地域資源を発掘し、グリーン・ツーリズム等により地域の活性化に役立てていきます。

具体的な取組

  • 文化財や祭り、伝統的行事などの継承
  • 新たな地域資源の発掘と活用

寺野のひよんどり(北区)

寺野のひよんどり(北区)

 

新そばまつり(天竜区)

新そばまつり(天竜区)

(5)方針5 農村コミュニティの再生

1)意義

農村には、道路や水路の清掃作業、防災活動、祭りなどの季節行事の開催、冠婚葬祭時の相互扶助など、地域社会の維持のため、様々な組織があり、活発な活動が行われてきました。こうした組織的な活動は、地縁による人と人とのつながりや地域に根ざした文化を形成する基盤となります。そのため、わたしたちは、社会状況に応じて、自立的に地域運営ができる農村コミュ二ティを形成していくことが重要です。

2)環境特性

中山間の農業地域では、若年層の都市への流出等による過疎化や高齢化が進んでおり、住民の連帯感が希薄になりつつあります。一方、都市周辺の農業地域では、農業・農村環境への関心を持つ住民と旧住民との混住化がみられます。
地域住民による農地・農業用水等の資源の適切な保全管理、農村環境の保全を目指した農地・水・環境保全向上対策の活動が市内の約20地区で行われています。地域の農業者でない地元住民のほか、地域外の多様な人々を加えた農村の環境保全や都市との交流活動も定着しつつあります。

3)基本方針

農地・農業用水等の保全と管理については、農村コミュニティを維持していくことが必要です。そのため、わたしたちが将来にわたって良好な状態で地域内のコミュニティを継承できるよう農地・水・環境保全向上対策の活動組織等が中心となって、様々な取組を推進していきます。また、休耕田を体験型農園や市民農園として活用することにより、農業・農村に求められる多様なニーズに対応していきます。また、新たな農村コミュニティづくりとして、交流や定住の促進や集落リーダーの育成に努めます。

具体的な取組

  • 農地・農業用水等の資源保全
  • 新たな農村コミュニティづくり

耕作放棄地を活用した地域活動(南区恩地町)

耕作放棄地を活用した地域活動
(南区恩地町)

 

ワークショップによる農村公園計画(北区都田川親水公園)

ワークショップによる農村公園計画
(北区都田川親水公園)

 

 

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