更新日:2023年4月21日
大規模事故対策編 第4章 海上事故対策計画 第4節 災害応急対策計画(沿岸排出油等事故)
【総括部、消防局、健康福祉部(医療担当・保健所)、区本部】
- 海上災害が発生した場合は、市、防災関係機関等は、直ちに初動体制を確立して次の対策を行い、被害拡大防止や軽減を図る。
1 情報の収集・伝達
- 海上災害の発生及び被害の状況を収集し、把握できた内容を市の関係部局、県、防災関係機関と共有する。広報の必要がある場合には、市のホームページ等に掲載するなど広報活動を行う。
【情報連絡系統図】
2 応急体制
(1) 応急対策の流れ
事項 |
船長等の防除義務者 |
国 |
県 |
市 |
大規模な重油等の流出事故の発生 |
- 防除措置の実施
- 最寄りの海上保安本部の事務所、警察署等への通報
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- 海上保安本部から県等に情報連絡・海上保安本部による防除義務者に対する防除作業の指導
- 防除資機材の調達
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- 情報収集
- 突発的応急体制の準備
- 防除関係者への情報提供
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防除関係者は出動待機 |
発災海域における防除措置 |
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海上保安本部は、緊急に防除措置をとる必要がある場合、指定海上防災機関に指示、及び自ら応急的な防除措置を行うとともに、関係機関等に協力要請 |
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海上保安本部等からの要請に基づく防除措置の実施 |
(沿岸に漂着する可能性がある) |
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巡視船艇、航空機等による監視 |
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(沿岸に漂着する可能性大) |
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沿岸海域における防除対策 |
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海上保安本部の沿岸海域における防除作業 |
海上保安本部からの要請を受けた場合又は知事が必要と認めた場合の必要な対応 |
静岡県沿岸排出油等防除協議会会員等による沿岸海域での防除作業の協力 |
陸岸における回収作業 |
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- 海上保安本部は、県等からの要請に基づき、陸岸での防除作業の指導及び協力を実施
- 知事の派遣要請を受けた自衛隊の陸岸における回収作業や資機材の無償貸与又は譲与
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- 回収方針策定・沿岸市町の回収作業計画の総合調整
- 災害救援専門ボランティアの派遣調整
- ボランティアの紹介窓口設置
- 必要により、自衛隊への派遣要請
- 必要に応じ、国や他府県への資機材提供要請又は民間からの買上げ、斡旋
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- 回収作業計画の策定
- 回収作業
- ボランティアの受入窓口の設置
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回収後の処理 |
<産業廃棄物の場合>
船舶所有者は、県の指導を受け、収集、運搬、処分を実施 |
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<産業廃棄物の場合>
収集、運搬、処分について、実施船舶所有者を指導 |
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(2) 市の体制
(3) 防災関係機関の体制
県 |
- 防災対策の総合調整
- 情報収集、発信、広報
- 関係機関への支援要請
- 自衛隊への災害派遣要請
- 海上保安庁への支援要請
- 消防庁、他都県等への支援要請
- 医療機関等への協力要請
- 消防庁への緊急消防援助隊の出動要請
- その他関係機関への応援要請
- 二次災害等発生防止措置
- 消防庁への報告
- 広報に関する事項
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県警察 |
- 情報の収集・伝達
- 警察用航空機、警察用船舶及び陸上からの目視等による事故及び被害情報の収集
- 事故及び被害状況の関係機関への連絡
- 被災区域周辺の警戒及び交通規制等の実施
- 住民の避難誘導及び立入禁止区域の設定
- 防災関係機関の防除活動への支援
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清水(下田)海上保安部 |
- 情報の収集・伝達
- 事故関連情報の収集・整理及び会員等関係先への通報
- 巡視船艇等の現場への派遣
- 付近航行船舶等に対する措置
- 原因者等が実施する油等の防除活動及び事故船舶の船体措置に対する指導等
- 防除協力者等に対する指導等
- 海防法の規定に基づく権限等の発動
- 事故情報及び防除作業に関する広報等
- 医療救護活動(負傷者があった場合)
- 現場保存、証拠資料の収集、関係者の確保及び取り調べ、検視等の応急的な捜査活動
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静岡地方気象台 |
- 情報の収集・伝達
- 静岡県沿岸排出油等防除協議会総合調整本部への参画及び気象情報等の提供
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中部地方整備局 |
- 情報の収集・伝達
- 直轄河川区域における状況調査及び自衛措置
- 原因者が直轄河川において実施する防除活動に対する指導等
- 関係業界等との協定に基づく資材の斡旋等
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静岡県沿岸排出油等防除協議会 |
- 情報の収集・伝達
- 沿岸等における排出油等の情報収集
- 流出油の防除活動の調整
- 総合調整本部の設置・運営
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船舶運航者 |
- 情報の収集・伝達
- 各社の防災計画及び事故対応マニュアル等に基づき、直ちに社内に事故対策本部を設置
- 海上保安部等や防除関係機関に対する必要な支援の要請
- 事業者としての消火・捜索・救出・救助活動
- 二次被害の防止活動
- 危険物等を積載している場合は、被害防止対策の実施、海保、消防や警察への報告
- 被災乗員家族等への情報提供(※1)
- 被災乗員及び被災乗員家族に対する必要な手配
- 代行輸送者、牽引船等の手配
- 乗員の避難誘導
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関係団体
各港湾・漁港管理者 |
≪静岡県漁業協同組合連合会≫
- 関係先への事故情報の伝達
- 排出油等を発見した場合の関係機関に対する情報提供
- 漁業施設等に関する自衛指導
- 原因者との契約に基づく防除活動
- 静岡県沿岸排出油等防除協議会総合調整本部への参画及び情報提供
≪静岡県建設業協会≫
- 関係先への事故情報の伝達
- 排出油等を発見した場合の関係機関に対する情報提供
- 原因者との契約に基づく防除活動の実施
- 静岡県沿岸排出油等防除協議会総合調整本部への参画及び情報提供
≪石油連盟海水油濁処理協力機構静岡支部≫
- 関係先への事故情報の伝達
- 排出油等を発見した場合の関係機関に対する情報提供
- 静岡県沿岸排出油等防除協議会総合調整本部への参画及び情報提供
≪契約防災措置実施者≫
- 関係先への事故情報の伝達
- 原因者との契約に基づく防除活動
- 指定海上防災機関との委託契約に基づく防除措置
- 静岡県沿岸排出油等防除協議会長への情報提供
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各港湾・漁業関係者 |
- 関係先への事故情報の伝達
- 港湾、漁業区域内等における排出油等の状況調査
- 港湾・漁港区域内の自衛措置
- 原因者等が港湾・漁業区域内において実施する防除活動に対する指導等
- 静岡県沿岸排出油等防除協議会長への情報提供
- 海上保安本部長等からの要請に基づく防除措置
- 静岡県沿岸排出油等防除協議会への参画及び情報提供
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【特記事項】
≪情報の収集・伝達≫
情報の収集・伝達 |
- 油等流出事故が発生し、被害の発生又はその恐れがある場合は、市は海岸線のパトロールを実施し、その状況を海上保安部、静岡県及び関係機関に報告する。
- 事故発生状況や異臭等による沿岸地域への影響等について、市は広報活動を行う(※2)。
- 漁協は、海上の流出油の漂流状況や今後の漂流予測情報を定期的に入手し、漁業関係者等に伝達する。
- 漁協は、自発的にまたは市の要請に応じて、漁船による海域のパトロールを実施し、収集した情報を漁業関係者及び市に伝達する。
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流出油の防除措置 |
- 市は、漂着油により海岸等が汚染される場合は、原因者の要請により除去作業を実施する。また、必要に応じて回収油に保管場所を確保する。
- 県漁連は、事故原因者あるいは市等の要請に基づき、関係漁協に対して流出油の防除活動の実施を指示する。
- 県漁連は、関係漁協の防除活動に動員可能な漁船の規模別隻数及び人数を把握し、作業日程、作業海域の分担等作業計画を策定する。
- 各漁協は、防除作業に必要な用具類を原則として各漁協で調達する。
- 関係漁協が海上で回収した流出油は、漁協が仮置き場に陸揚げをし、事故原因者が一時保管場所に運搬する。
- 各漁協は、必要に応じて漁業関係施設の防除、漁場等の漂着油の除去及び地元海域での海上防除作業を実施する。
- 県及び県漁連は、必要に応じて県沖合で操業する大型の県外漁船に対して、漂着油防除活動に協力を要請する。
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警戒区域の設定、
現場警戒及び避難 |
市は、漂着した海岸において危険がある場合は、警戒区域及び立入制限を設定し、現場の警戒を行う。また、危険物資の拡散により健康等への影響がある地域に対し、避難指示を発令し、安全な地域の避難場所を開設する。 |
救助・救急活動 |
- 市は、現場において救助・救急活動を行い、救助した負傷者を医療機関に搬送する。
- 遭難船舶を認知した場合は、海上保安本部、警察、関係市町に連絡する。海上保安本部、警察、市は海岸等現場において必要な活動を実施する。
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漁業対策 |
≪漁業関係施設等の防除の基本方針≫
- 磯根漁場
可能な限り洋上で防除することとし、万一漂着した場合は、漂着油が認められない程度までの除去作業に努める。
- 定置網、養殖施設等
流出油の接近が確認された場合、安全海域への移動、安全水域への沈降、漁具等の一時的な撤去及びオイルフェンスによる囲い込み等により被害の回避に努める。
- 漁港施設
漁港施設のうち、物揚げ場、荷さばき場等は、流出油による汚染を防止し、常に清潔を保つよう努める。
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※ 災害復旧計画については、道路事故対策計画 第4節 災害復旧計画に準じる。
※1 乗員に被害が出た場合
※2 ホームページ等への掲載