更新日:2023年4月21日
地震・津波対策編 第2章 災害予防計画 第6節 津波災害予防対策の推進
【総括部、保健医療調整本部、廃棄物処理部、学校管理部】
- 南海トラフ地震等の発生時には、地震災害とともに津波による複合災害が懸念される。このような場合に市民が迅速かつ的確に避難するためには、津波の知識の普及、避難の対策等の平常時の予防対策が必要である。
- 本節に記載のない事項については、第5節地震災害予防対策の推進に準じる。
- 浜松市津波防災地域づくり推進計画(令和元年11月一部改訂)に基づき、各推進施策(アクション)を計画的に推進する。
1 津波防災地域づくり推進計画
計画の理念 |
- 本計画は、津波災害を対象とした計画であり、理念として「自助・共助と公助の連携により、津波災害から市民の生命・財産及び産業基盤を守り、安心して暮らすことができる魅力あるまちを目指す」を掲げる。
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推進計画区域 |
- 「第4次地震被害想定に基づく南海トラフ巨大地震(レベル2)の津波浸水想定区域」と「安政東海地震における推定津波浸水域」に該当する区域とする。
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土地利用 |
- 津波浸水想定を踏まえつつ、地域の土地利用状況や社会情勢の変化を考慮し、総合計画及び都市計画マスタープランで示す将来都市構造や土地利用の方針に反映させた上で、安心安全な市民生活の実現に向けた地域づくりを進める。
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目標と基本方針 |
- 津波防災地域づくりの3つの目標に対応した以下の9つの基本方針で構成し、推進施策を今後、30年間で実施する。
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2 津波に関する知識の啓発
市民に対する津波の知識の啓発 |
- 市は、津波発生時に、市民が的確な判断に基づき行動できるよう、津波についての正しい知識、防災対応について啓発する。
- 3月11日を含む10日間を津波対策推進旬間と定めるほか、11月5日を津波防災の日として、津波からの避難や突然地震が発生した場合の対応など、家庭での対策を中心に啓発活動を重点的に実施する。
- 自主防災組織の積極的な活用を図るとともに、地域コミュニティでの防災に関する教育の普及促進を図る。
- 市は、赤と白の格子模様の旗(津波フラッグ)による津波警報等の視覚的な伝達の実効性を高めるため、国等の関係機関と連携し、普及啓発を図る。
- 一般的な啓発
<啓発・知識の内容>
- 市の地形的特性
- 津波に関する基礎的な知識
- 過去の津波被害、災害史
- 津波警報等津波に関する情報発表時の行動指針
- 地域、事業所等における自主的な防災活動と連携の重要性
- 避難対策に関する知識
- 防災関係機関等が講ずる災害応急対策
- 津波危険予想地域に関する認識
- 避難行動要支援者に関する配慮
<手段・方法>
- パンフレット、インターネット、報道機関等を活用して知識の普及を図る。
- 津波知識の普及を図るため、自主防災組織等が主催する津波防災に関する研修会・講座等に積極的に参加するとともに、講演会等を開催する。
- 地域の災害図上訓練(DIG訓練)及び避難訓練を実施し、地震後の速やかな避難方法等を体得する。
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生徒等に対する教育 |
- 市及び市教育委員会は、学校等に対し、生徒等に対する津波防災教育の指針(※1)を示し、その実施を指導する。
- 市は県が、私立学校等に地震及び津波防災教育を実施する際に連携を図る。
- 学校等は、地域の特徴や過去の津波の教訓等について、市の防災担当課と連携し、継続的な防災教育に努める。
- 学校等は、生徒等に対して自らの安全を確保するための判断力や行動力の育成、生命の尊重や地域の安全のために貢献する心の育成、津波防災に関する知識・理解を深める学習等の指導を、教育活動の全体を通して実践する。
- 学校等における津波防災訓練の充実を図る。
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防災関係機関 |
- 東海旅客鉄道(株)、日本貨物鉄道(株)、西日本電信電話(株)、中日本高速道路(株)、中部電力パワーグリッド(株)、サーラエナジー (株)等の防災関係機関は、それぞれの業務に伴う津波防災対策、津波災害時の応急対策を進めるとともに、利用者が対応する事項等について広報を行う。
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3 危険予想地域における災害の予防
避難対象地区の指定 |
- 静岡県第4次地震被害想定(※2)等による津波災害の危険度から判断して、広範囲に災害が発生するおそれが大きく、人命に危険があり、避難対策を推進する必要がある地区、警戒宣言発令時に津波の浸水が予測される地域を、避難対象地区(※3)として指定する。この避難対象地区は、後述の津波危険予想地域や浜松市津波防災地域づくり推進計画の推進計画区域と同義である。
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災害予防措置 |
- 避難対象地区の実情に応じ、津波避難施設を設定し、平常時から避難に関する留意事項等を住民に周知する。
- 市は、浜松市津波防災地域づくり推進計画の推進計画区域において、津波避難施設の整備等の災害予防を講ずる。
<避難対象区域(津波危険予想地域、推進計画区域)(※4)>
- 市は、当該地域の住民、船舶等に対して津波の危険や津波注意報・警報、避難指示(緊急)の意義、避難方法等の周知に努める。
- 海面監視所の設置(※5)
津波来襲に備え、地震発生後直ちに海面の異常を観測することができるよう海面監視所を設置し、観測器の整備、緊急連絡用の防災無線機配備、突発地震にも即応可能な監視体制の維持強化の対策に努める。
- 津波警告標示板の設置
突発地震による津波来襲に備え、海岸線等における避難対策の万全を期する。
- 防災行政無線(同報系)の設置
突発地震等による津波来襲に備え、地域住民の安全確保を図る。
<津波避難ビルの指定(※6)>
- 市は、以下の基準に適合する建築物について、その所有者等の同意を得て津波避難ビルとして指定する。
- 構造は、鉄筋コンクリート(RC)又は鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)、階数は3階以上であること。(※7)
- 耐震性は、昭和56年6月に改正された建築基準法施行令のいわゆる新耐震設計基準に適合していること、又は耐震診断によって耐震安全性が確認されていること。
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4 被災者の救出活動対策
- 津波による被災者等に対する救出活動が迅速かつ的確に行えるよう、平常時から次の措置を行う。
市が実施すべき事項 |
- 自主防災組織、事業所など地域における相互扶助による避難活動についての意識啓発
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自主防災組織、事業所等が実施すべき事項 |
- 津波避難施設等の確認及び住民への周知
- 津波避難施設等までの避難経路の検討及び訓練の実施
- 地域における自主防災組織と事業所等との連携体制の確立と訓練の実施
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5 要配慮者の支援
- 要配慮者に対し、その要援護の内容、程度等に応じ、迅速で的確な支援を実施するため、自治会、自主防災組織等の地域コミュニティが主体となり連携して対応する。
6 生活の確保
- 南海トラフ地震臨時情報発表期間が長期化した場合及び津波が発生した場合の生活を確保するため、平常時から次の措置を行う。
- 食料及び生活必需品の確保
- 津波の避難対象地区においては、備蓄場所の再検討を行う。
- 医療救護
- 津波被害の発生が予測される地域においては、津波注意報の解除などの状況を見て活動を実施する
- 廃棄物処理活動
- 発災後の廃棄物(ごみ・し尿)の処理を適切に行うため、市は、津波による災害廃棄物が一時期かつ膨大に発生することを踏まえ、地域性を考慮して、災害時に発生する災害廃棄物の処理体制の整備及び仮置場・仮設処理施設の候補地を公有地等から選定する。
7 防疫対策
- 市は、感染症・伝染病のおそれが考えられる事項について対応策を事前に整備する。
※1 静岡県安全教育目標、浜松市学校(園)防災対策基準等。
※2 地震・津波対策編第1章第1節による。
※3 避難対象地区(津波危険予想地域)/資料編2-11
※4 避難対象地区(津波危険予想地域)/資料編2-11
※5 津波監視カメラ設置個所(3か所)南清掃事業所、西部清掃工場、今切団地
※6 緊急避難場所(津波避難場所)/資料編10-2
※7 「津波避難ビル等に係るガイドライン」(平成17年6月内閣府)、「避難計画策定指針」(平成21年3月24改定静岡県)に準拠。