更新日:2026年5月28日
定期監査(財務監査)・行政監査結果に関する報告(令和8年5月28日)
第1 監査の基準
この監査は、浜松市監査基準(令和2年浜松市監査委員告示第2号)に準拠して実施した。
第2 監査の対象
次のとおり(部課等の名称は、監査の期間の末日時点の名称)である。
| 対象とする部等 |
対象とする課等 |
|
1 健康福祉部
|
福祉総務課 |
障害保健福祉課 |
| 障害者更生相談所 |
高齢者福祉課 |
| 介護保険課 |
国保年金課 |
| 中央福祉事業所社会福祉課 |
中央福祉事業所生活福祉第一課 |
| 中央福祉事業所生活福祉第二課 |
中央福祉事業所保険年金課 |
| 中央福祉事業所長寿支援課 |
浜名福祉事業所社会福祉課 |
| 浜名福祉事業所長寿保険課 |
天竜福祉事業所社会福祉課 |
| 天竜福祉事業所長寿保険課 |
健康医療課 |
| 精神保健福祉センター |
看護専門学校 |
| 保健環境研究所 |
病院管理課 |
| 佐久間病院 |
健康増進課 |
| 中央健康づくりセンター |
浜名健康づくりセンター |
| 天竜健康づくりセンター |
保健所保健総務課 |
| 保健所動物愛護教育センター |
保健所生活衛生課 |
| 保健所浜北支所 |
- |
| 2 こども家庭部 |
こども若者政策課 |
子育て支援課 |
| 児童相談所 |
幼保支援課 |
| 幼保運営課 |
中央福祉事業所児童家庭課 |
| 浜名福祉事業所社会福祉課 |
天竜福祉事業所社会福祉課 |
| 3 ウエルネス推進事業本部 |
- |
|
第3 監査の期間
令和7年10月1日から令和8年2月20日まで
第4 監査の着眼点及び実施内容
事務の執行及び経営に係る事業の管理について、合規性、正確性、経済性、効率性及び有効性の観点から適正に行われているかを着眼点とし、検証した。
監査手続については、監査対象部局から提出された資料及び諸帳簿等関係書類を抽出調査するとともに、関係職員から説明を聴取し、関係法令等に基づき適正に執行されているかについて監査を行った。
第5 監査の結果等
1 監査の結果
上記のとおり監査した限り、重要な点において、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めていることが認められた。
2 監査の結果に基づく意見
地方自治法第199条第10項の規定に基づき、監査の結果に関する報告に添えて、意見を次のとおり提出する。
(1) 健康福祉部
ア 福祉総務課
生活保護業務におけるDXの推進について
【現状及び課題】
本市では生活保護業務におけるDXを推進しているなか、令和7年度には資産調査電子照会システムを導入した。積極的に活用している福祉事業所では資産調査に要する日数が大幅に短縮したが、活用状況は福祉事業所間で差異が生じている。
- 本市では、令和8年1月をもって国による地方公共団体情報システム標準化への対応が完了した。今後は、受給者の利便性向上や行政事務の効率化に向けて、DX推進に取り組んでいく方針である。
- 令和7年度から本市では資産照会システム「pipitLINQ(ピピットリンク)」を導入したが、中央福祉事業所では活用が進む一方で、浜名福祉事業所及び天竜福祉事業所では、その活用実績が0件となっていた。資産照会システムは、申請者の資産状況について、金融機関や生命保険会社に対し電子的に照会を行うシステムであり、最短で翌営業日に回答が届くなど、資産調査に要する日数の短縮化を図ることができる。また、郵送で照会する場合に比べ、同システムによる照会は、コストの縮減にもつながる。
- 生活保護法では、保護の申請から保護の開始又は申請却下の決定まで、原則14日以内と規定されているが、同法第24条第5項のただし書の規定を適用して例外的に30日以内で処理をしている事例も多い。令和6年度実績では、申請に対し14日以内に保護の開始を決定している割合が、天竜福祉事業所では77.8%、中央福祉事業所では65.2%であるのに対し、浜名福祉事業所では12.0%となっており、福祉事業所によって大きく差異がある。
- このほか、生活保護業務におけるDXの事例としては、タブレット端末を活用した家庭訪問、オンラインによる面談、生活保護業務に特化したAI支援サービスの活用、受給者情報を記載したケースファイルの電子化及び電子決裁の導入、各種申請のオンライン化等が挙げられる。東京都をはじめ、ケースファイルの電子化及び電子決裁まで実現する等、先進的に取り組んでいる自治体もある。
【意見】
- 福祉総務課は、資産照会システム(pipitLINQ)の活用を徹底することにより生活保護業務の迅速化を図るとともに、ケースファイルの電子化等DX推進により業務効率を上げることで生じた時間を訪問調査に活用するなど、生活保護業務全般の充実を図られたい。
イ 健康増進課
がん検診の受診率向上に向けた取組について
【現状及び課題】
市は、がん検診の受診率向上に向けて、受診勧奨や啓発等の取組を実施している。受診率の推移を見ると、子宮頸がん検診及び乳がん検診については上昇しているものの、その他のがん検診については、ほぼ横ばいの状態が続いている。
- 市は、市民の健康保持及び疾病の早期発見等を目的として、職場などでがん検診等を受けられない市民を対象とした住民検診を実施している。
・健康増進課及び中央・浜名・天竜の各健康づくりセンターは、がん検診受診率の目標値60%の達成に向けて、受診勧奨や啓発等の様々な取組を実施しているが、令和6年度の受診率の実績値は、目標値との間にかい離が見られる。
【浜松市がん検診(住民検診)受診率の推移】目標値:60%
(単位:%)
| 検診種別 |
令和元年度 |
令和2年度 |
令和3年度 |
令和4年度 |
令和5年度 |
令和6年度 |
| 結核・肺がん |
30.0 |
27.6 |
29.5 |
30.3 |
29.7 |
28.9 |
| 胃がん |
20.5 |
18.0 |
19.7 |
20.3 |
19.6 |
19.5 |
| 子宮頸がん |
35.8 |
36.9 |
39.1 |
41.4 |
41.3 |
42.1 |
| 乳がん |
37.7 |
36.9 |
37.3 |
42.3 |
42.0 |
42.4 |
| 大腸がん |
28.7 |
26.1 |
28.0 |
28.7 |
27.9 |
27.3 |
(注)目標値60%は、市が実施する住民検診の目標値として掲げているが、住民検診以外の職域検診や人間ドック等での受診も含めた全体の目標値でもある。このため、職域検診等も含めた全体の受診率を集計した国民生活基礎調査※の受診率と比較した場合には、目標値とのかい離幅は縮小する。
【参考】国民生活基礎調査に基づくがん検診受診率(令和4年度)
(単位:%)
| 検診種別 |
全国平均 |
浜松市 |
| 結核・肺がん |
49.7 |
52.3 |
| 胃がん |
41.9 |
42.3 |
| 子宮頸がん |
43.6 |
41.6 |
| 乳がん |
47.4 |
43.0 |
| 大腸がん |
45.9 |
47.7 |
※国民生活基礎調査:保健、医療、福祉、年金、所得等国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働省の所掌事務に関する政策の企画及び立案に必要な基礎資料を得ること等を目的に国が実施する調査。がん検診の受診状況は3年に一度調査が行われる。
- 健康増進課は、がん検診の受診率向上を図るため、令和4年度から子宮頸がん検診及び乳がん検診を対象にLINEを活用した受診勧奨業務を外部委託により開始した。令和6年度からは、受診勧奨の対象に結核・肺がん検診、胃がん検診及び大腸がん検診を加えるなど取組の強化を図っており、LINE登録者数の増など徐々に進展が見られる一方、受診率の向上に十分つながっていない。
- 受診者が受診した理由に加え、未受診者が受診しない理由についても具体的な調査・分析を行い、その結果を今後の事業実施に反映させていくことが重要であるが、これまで調査は行われていない。
【意見】
- 健康増進課は、健康づくりセンターとの連携の下、がん検診受診率の向上に向け、市民アンケート調査等を活用した未受診理由の把握に努めるとともに、これまでの取組の効果や受診状況を踏まえた分析を行うなど、一層効果的な取組を検討されたい。
- なお、指標の公表に際しては、住民検診の受診率のみならず、職域検診等の受診率も含めた国民生活基礎調査に基づく実績値を併記するなど、より分かりやすい情報提供に努められたい。
ウ 保健所 動物愛護教育センター
動物の愛護及び管理の推進について
【現状及び課題】
動物愛護教育センターは、令和6年4月の「浜松市動物の愛護及び管理に関する条例」(以下「条例」という。)施行により、犬又は猫の多頭飼養の届出を義務付けるとともに、多頭飼育が福祉的課題と深く関わることを踏まえ、福祉分野との連携強化を図っている。
- 動物愛護教育センターが行う犬の登録や動物取扱業の登録等の事務は保健所業務であることや、福祉分野との連携を強化することで適正飼養に係る課題に迅速に対応するため、令和6年4月に動物愛護教育センターを都市整備部(花みどり担当)から健康福祉部(保健所)へ移管した。
- 条例制定により、多頭飼養の把握が可能となった。条例では、多頭飼養届出の未提出・虚偽届出に対し罰則を規定しているが、これまでに適用した事例はない。また、近隣住民や関係機関からの情報により、未届出の多頭飼養を把握する場合もあり、このような場合には届出の指導をしている。
- 繁殖抑制のため、野良猫は1頭4,000円の不妊手術の助成制度があるものの、飼い猫は、飼い主の責務として繁殖抑制措置を行うべきこととされており、その不妊手術に係る助成制度はない。
- 譲渡困難な犬猫の引取りや不妊手術支援などにおいて、動物愛護に係るボランティア等の関係団体との連携が重要であるが、その情報や活動状況を十分に把握できていない。
- ボランティア等の負担軽減のため、令和7年度から市営住宅、公園等での野良猫の不妊手術実施に対し、1頭につき1,000円の協力報奨金を交付している。
【意見】
- 条例制定や組織改正等により、動物愛護の推進体制を構築し、施策が着実に前進している点は評価できる。
- 多頭飼養の実態を近隣住民や自治会等を通じて積極的に把握するとともに、届出後のフォローアップを効果的に行うため、福祉部局やボランティア団体等との連携を一層進められたい。
(2) こども家庭部
ア こども若者政策課
地域少子化対策事業について
【現状及び課題】
こども若者政策課は、人口減少の要因の1つと考えられる未婚化・晩婚化の解消を図り、若い世代が結婚・妊娠・出産に対して前向きに考えられる機運の醸成を図るため、少子化対策の一環として結婚支援事業に取り組んでいる。
- 地域少子化対策事業の長期成果指標として、2034年度での本市の合計特殊出生率1.51を掲げているなか、令和元年度から令和5年度までの婚姻件数、出産数、合計特殊出生率は減少傾向である。
【参考】浜松市の婚姻件数の推移
(単位:件)
| 項目 |
令和元年度 |
令和2年度 |
令和3年度 |
令和4年度 |
令和5年度 |
| 婚姻件数 |
3,660 |
3,193 |
3,098 |
3,178 |
2,928 |
- こども家庭部は、浜松市こども計画を推進するための作業部会を庁内に設置し、少子化対策事業を含むこども若者政策を全庁的に推進している。
- 結婚支援事業では都度参加者を募り婚活イベントを開催するほか、マリッジサポーターによる成婚までの伴走支援など独自の取組を実施しているが、婚活イベントにおける女性参加者の確保が課題となっている。
- また、県が主催するふじのくに結婚応援協議会に加盟し、県及び他市町と連携して広域的かつ総合的な結婚支援に取り組むとともに、協議会のもと婚活イベント等を開催する結婚支援拠点「ふじのくに出会いサポートセンター」への浜松市民の登録料を助成している。
- このほか、結婚を希望する若い世代の経済的負担の軽減を図るため、結婚した世帯を対象に、新生活に伴う費用を補助する結婚新生活支援事業や、中学、高校、大学、企業等を訪問し、未婚化・晩婚化及び初産年齢の高齢化がもたらす諸問題などについて学び、自らのライフデザインについて考える機会を提供する家族形成意識の醸成講座を開催している。
【意見】
- 結婚支援事業については、女性参加者の確保が課題であることから、女性が安心して参加できる土台づくりの一環として参加者の事前登録制の導入を進めるなど、事前登録制と本市の特色であるマリッジサポーターの活用による相乗効果で成婚率の向上を図られたい。
- 婚姻件数の減少傾向が続くなか、結婚から育児までのライフステージに対して幅広く支援が浸透するよう部局間の緊密な連携を主導するとともに、働き方などに対する理解に向け産業界等との連携を一層深められたい。
イ 児童相談所
児童入所施設等保護費負担金の債権管理について
【現状及び課題】
児童相談所は、児童養護施設等へ入所措置又は里親委託した児童の扶養義務者から負担能力に応じ費用の一部を児童入所施設等保護費負担金として徴収している。扶養義務者との信頼関係を築く必要があることから、他の債権のような画一的な徴収強化は難しく、収入率は他の債権に比べて低い。
【収入率の推移】
(単位:%)
| 区分 |
令和2年度 |
令和3年度 |
令和4年度 |
令和5年度 |
令和6年度 |
| 現年度分 |
67.0 |
72.3 |
67.7 |
63.2 |
63.5 |
| 滞納繰越分 |
13.8 |
13.1 |
6.5 |
3.8 |
5.1 |
【不納欠損額の推移】
(単位 件数:件、金額:円)
| 区分 |
令和2年度 |
令和3年度 |
令和4年度 |
令和5年度 |
令和6年度 |
| 収入未済 |
件数 |
2,088 |
2,091 |
2,216 |
2,327 |
2,323 |
| 金額 |
14,909,891 |
15,299,221 |
17,761,451 |
20,065,281 |
20,338,731 |
| 不納欠損 |
件数 |
198 |
244 |
204 |
280 |
354 |
| 金額 |
878,860 |
935,060 |
1,049,270 |
1,804,340 |
3,027,190 |
| 消滅時効分 |
件数 |
198 |
244 |
200 |
256 |
330 |
| 金額 |
878,860 |
935,060 |
1,042,450 |
1,775,300 |
2,998,150 |
| 滞納処分執行停止分※ |
件数 |
0 |
0 |
4 |
24 |
24 |
| 金額 |
0 |
0 |
6,820 |
29,040 |
29,040 |
(注) 滞納処分執行停止分に記載の金額は、全て執行停止期間中に時効により消滅したもの
- 収入率は、現年度分、滞納繰越分ともに近年低下傾向となっている。
- 不納欠損額は、近年増加している。これらについて、一部は滞納処分の執行停止を行っているものの、その全てが時効によるものである。
- 背景として、負担金に対する扶養義務者の理解が難しいことのほか、初期滞納者への個別催告等は行っているものの、債務者の資力の見極めや処理方針の決定に必要な財産調査を行うための体制や専門性が十分確保されていないことが考えられる。
- 現行の業務マニュアルは、資力の見極め方や徴収困難なケースについての処理方法など債権管理に必要なものが定められていない。
【意見】
- 児童相談所は、これまで行っていない財産調査の実施等により、徴収可能と判断した債権については、催告の強化や滞納処分の実施などにより、徴収を強化されたい。また、徴収困難と認められる債権については、管理が漫然と長期化することのないよう、滞納処分の執行停止を検討するなど、適切な債権管理に努められたい。
- 債権回収業務経験者の配置により、債権管理のノウハウの蓄積に努めるとともに、より実践的な業務マニュアルの整備に着手されたい。
(3) ウエルネス推進事業本部
浜松ウエルネスプロジェクトの推進状況について
【現状及び課題】
本市では、人生100年時代を見据え、新たな都市像として掲げたウエルネスシティ(予防・健幸都市)の実現に向け、「市民の健康増進(健康寿命の延伸)」、「地域企業の健康経営の促進」、「ヘルスケア産業の創出」の3つの目的で浜松ウエルネスプロジェクトを推進している。
- 浜松ウエルネスプロジェクトでは、3つの目的に対し「市民の健康寿命」、「法人市民税調定額(製造業)」、「1事業所あたりの粗付加価値額」をKGI(重要目標達成指標)として設定しているが、「法人市民税調定額(製造業)」及び「1事業所あたりの粗付加価値額」は社会全体の経済状況や景気などに左右されることから、「ヘルスケア産業の創出」に係る本プロジェクトによる実績、貢献度を評価することは難しい。
- 令和4年度から運用が開始された「健康管理アプリ(浜松健幸クラブ)」の利用登録者数は、令和4年度の7,137人に対し、令和6年度には20,248人に増加している。一方、実際のアプリ活用度を示すアクティブユーザー率は、令和4年度の86.2%に対し、令和6年度には48.7%に下降している。
【意見】
- ウエルネス推進事業本部は、「ヘルスケア産業の創出」について、官民連携の下、本市の産業活性化、税収増に寄与するよう産業創出につながる具体的な取組を推進するとともに成果や実績を適切に測ることのできる成果指標を検討されたい。
- 健康アプリ「はままつ健幸クラブ」について、民間事業者が提供する類似アプリとの差別化を図り、行政が行う意義及び必要性を明確にするとともに、更なる市民の積極的な利用を図られたい。
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