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更新日:2020年9月18日

令和元年度 浜松市公営企業会計決算審査意見1

第1 審査の基準

この監査は、浜松市監査基準(令和2年浜松市監査委員告示第2号)に準拠して実施した。

第2 審査の対象

  • 令和元年度浜松市病院事業会計決算
  • 令和元年度浜松市水道事業会計決算
  • 令和元年度浜松市下水道事業会計決算

上記の各事業会計決算に関する証書類、事業報告書、キャッシュ・フロー計算書、収益費用明細書、固定資産明細書及び企業債明細書
なお、病院事業は、浜松医療センター(以下「医療センター」という。)、浜松市リハビリテーション病院(以下「リハビリ病院」という。)及び浜松市国民健康保険佐久間病院(以下「佐久間病院」という。)の3病院を経営している。

第3 審査の期間

令和2年5月29日から同年8月3日まで

第4 審査の着眼点及び実施内容

元年度浜松市公営企業会計の各事業会計決算について、

  • 決算書とその附属書類が、地方公営企業法その他関係法令に基づいて作成されているか
  • 決算書類に記載された計数は正確であるか
  • 予算は適正に執行されているか
  • 各事業の経営成績及び財政状態を明瞭かつ適正に表示しているか

を検証した。
また、各事業が企業の経済性を発揮するとともに、公共の福祉を増進するように運営されているかについて、次の「審査の着眼点」のとおり審査における重要項目を設定し、審査した。

【審査の着眼点】

  • 固定資産や貯蔵品の管理及び記録は適正に行われているか
  • 未収金の管理及び回収は適正に行われているか
  • 引当金の計上は網羅的かつ正確に行われているか
  • 企業債の管理は適正に行われているか
  • 浜松市中期財政計画、事業ごとの各種計画等は適正に執行されているか

さらに、30年度決算審査における意見について、対応が講じられているかを確認した。
審査手続については、試査を基礎として行い、決算諸表と会計帳簿、預金残高証明書等の証拠書類と照合し、計数の確認のほか、関係職員から説明を聴取し、上記の検証項目と着眼点に基づく審査並びに経営成績及び財政状態の分析を行った。

第5 審査の結果

1 審査結果

各事業会計の決算書とその附属書類は法令に基づき作成されており、決算諸表の計数はいずれも正確で、予算執行状況、経営成績及び財政状態に係る表示については、おおむね適正であると認められた。

2 決算書を正確に理解するための留意事項

  • (1) 決算報告書は、消費税及び地方消費税相当額を含め収入、支出の総額が記載され、損益計算書等の財務諸表は、消費税及び地方消費税相当額を控除して作成されている。
  • (2) 職員の退職手当の支給に備えるため、年度末における退職手当の要支給額に相当する金額を退職給付引当金として計上しているが、病院事業のうち佐久間病院、水道事業及び下水道事業については会計基準変更時の差異が生じており、平均残余期間内の一定年数にわたり、均等額を費用処理している。
    元年度末における退職手当要支給額、退職給付引当金残高及びその差額は以下のとおりである。

元年度末における退職手当要支給額、退職給付引当金残高

(単位:千円)

区分

病院  

水道

下水道

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

退職手当要支給額 (A) 344,736 6,813 768 337,155 1,451,883 821,258
退職給付引当金残高 (B) 267,675 6,813 768 260,094 1,080,881 633,300
退職給付引当金不足額 (A)-(B) 77,060 0 0 77,060 371,002 187,958

3 決算の概要

(1) 経営成績

(単位:千円)

区分

病院  

水道

下水道

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

営業収益

4,304,497 273,364 3,375,742 655,390 10,413,228 11,786,720

営業費用

6,873,043 1,977,667 3,699,408 1,195,967 10,902,411 15,910,756

営業損益

△ 2,568,546 △ 1,704,303 △ 323,666 △ 540,576 △ 489,183 △ 4,124,035

営業外収益

3,404,449 2,439,241 418,596 546,612 1,341,455 9,137,431

営業外費用

407,960 280,170 76,907 50,882 423,227 2,761,529
経常損益 427,942 454,767 18,022 △ 44,847 429,044 2,251,866

特別利益

8,247 0 8,165 81 56,981 84,885

特別損失

15,261 5,701 7,551 2,009 6,244 7,620
当年度純損益 420,927 449,066 18,637 △ 46,775 479,781 2,329,131
当年度未処分利益剰余金
(△未処理欠損金)
3,609,378 3,783,535 △ 274,375 100,218 1,770,810 4,520,550

元年度の経営成績は、病院事業のうち佐久間病院は純損失を計上したものの、医療センター、リハビリ病院、水道事業及び下水道事業で純利益を計上している。

  • ア 病院事業全体では、25億6,854万円の営業損失が生じたものの、4億2,794万円の経常利益が生じている。
    経常損益を病院別にみると、佐久間病院で4,484万円の損失が生じているものの、医療センターで4億5,476万円、リハビリ病院で1,802万円の利益が生じている。
    損益全体では4億2,092万円の純利益が生じ、当年度未処分利益剰余金は36億937万円となっている。
  • イ 水道事業は、4億8,918万円の営業損失が生じたものの、4億2,904万円の経常利益が生じている。損益全体では4億7,978万円の純利益が生じ、当年度未処分利益剰余金は17億7,081万円となっている。
  • ウ 下水道事業は、41億2,403万円の営業損失が生じたものの、22億5,186万円の経常利益が生じている。損益全体では23億2,913万円の純利益が生じ、当年度未処分利益剰余金は45億2,055万円となっている。

経常損益の推移

経常損益の推移

ア 病院事業

  • (ア) 医療センター
    元年度は、主として医業外収益の指定管理者からの指定管理者負担金2億5,575万円の減により、経常利益が減少している。
  • (イ) リハビリ病院
    元年度は、主として医業収益の入院収益9,044万円の増により、前年度までの経常損失から経常利益を計上している。
  • (ウ) 佐久間病院
    元年度は、主として医業外収益の一般会計負担金4,517万円の減により、前年度までの経常利益から経常損失を計上している。
イ 水道事業

元年度は、主として営業収益の給水収益7,021万円の減及び営業費用の減価償却費6,741万円の増により、経常利益が減少している。

ウ 下水道事業

元年度は、主として営業収益の下水道使用料2億4,376万円が減したものの、営業外費用の企業債に対する支払利息2億9,605万円の減により、経常利益が増加している。

(2) 財政状態

(単位:千円)

区分

病院  

水道

下水道

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

固定資産

26,345,275 17,633,605 6,979,153 1,732,516 108,375,420 343,630,823

流動資産

4,082,285 2,611,870 899,329 571,085 15,047,229 8,079,231

(前年度資産合計)

(30,637,971) (20,278,473) (8,022,574) (2,336,923) (122,933,968) (358,147,467)
資産合計 30,427,561 20,245,476 7,878,482 2,303,602 123,422,650 351,710,055

固定負債

14,380,679 8,732,518 4,979,560 668,600 24,173,230 139,062,929

流動負債

2,316,109 1,634,439 512,706 168,963 5,529,860 16,524,557

繰延収益

1,298,779 606,348 123,274 569,157 20,768,165 143,488,365

(前年度負債計)

(19,000,664) (11,829,127) (5,778,269) (1,393,267) (50,462,546) (308,834,269)

負債計

17,995,569 10,973,306 5,615,540 1,406,721 50,471,256 299,075,852

資本金

3,639,993 2,966,080 56,685 617,227 68,049,205 46,390,814

資本剰余金

4,121,255 1,471,986 2,480,631 168,637 18,933 1,722,838

利益剰余金
(欠損金)

4,670,743 4,834,103 △ 274,375 111,015 4,883,254 4,520,550

(前年度資本計)

(11,637,307) (8,449,346) (2,244,304) (943,656) (72,471,421) (49,313,198)

資本計

12,431,992 9,272,169 2,262,942 896,880 72,951,394 52,634,203

(前年度負債資本合計)

(30,637,971) (20,278,473) (8,022,574) (2,336,923) (122,933,968) (358,147,467)
負債資本合計 30,427,561 20,245,476 7,878,482 2,303,602 123,422,650 351,710,055

ア 病院事業

資産の総額は304億2,756万円で、30年度に比べて、2億1,041万円(0.7%)減少している。
負債の総額は179億9,556万円で、30年度に比べて、10億509万円(5.3%)減少し、資本の総額は124億3,199万円で、30年度に比べて、7億9,468万円(6.8%)増加している。

イ 水道事業

資産の総額は1,234億2,265万円で、30年度に比べて、4億8,868万円(0.4%)増加している。
負債の総額は504億7,125万円で、30年度に比べて、870万円(0.1%)増加し、資本の総額は729億5,139万円で、30年度に比べて、4億7,997万円(0.7%)増加している。

ウ 下水道事業

資産の総額は3,517億1,005万円で、30年度に比べて、64億3,741万円(1.8%)減少している。
負債の総額は2,990億7,585万円で、30年度に比べて、97億5,841万円(3.2%)減少し、資本の総額は526億3,420万円で、30年度に比べて、33億2,100万円(6.7%)増加している。

資産・負債・資本の構成内訳

資産・負債・資本の構成内訳
資産・負債・資本の構成内訳
資産・負債・資本の構成内訳

資産・負債・資本の構成内訳
資産・負債・資本の構成内訳

(注) 表中の金額は、億円未満を四捨五入している。

(3) キャッシュ・フローの状況

(単位:千円) 

区分

病院  

水道

下水道

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

業務活動による
キャッシュ・フロー
1,971,303 1,748,616 178,281 44,405 4,889,519 7,982,719

当年度純損益

420,927 449,066 18,637 △ 46,775 479,781 2,329,131

減価償却費

1,331,008 992,935 265,159 72,912 4,738,122 12,687,240

長期前受金戻入額

△ 151,544 △ 27,883 △ 87,745 △ 35,916 △ 1,259,865 △ 6,142,834

その他

370,911 334,497 △ 17,769 54,184 931,481 △ 890,817
投資活動による
キャッシュ・フロー
△ 812,315 △ 848,811 45,635 △ 9,140 △ 4,835,202 △ 3,263,431

有形固定資産の
取得による支出

△ 964,120 △ 873,858 △ 44,527 △ 45,735 △ 5,529,280 △ 5,561,218

国庫補助金等
による収入

33,387 32,347 0 1,040 25,462 2,062,888

一般会計負担金等
による収入

128,308 0 90,163 38,145 380,623 0

その他

△ 9,890 △ 7,300 0 △ 2,590 287,991 234,898
財務活動による
キャッシュ・フロー
△ 1,386,475 △ 1,144,660 △ 200,024 △ 41,791 △ 281,402 △ 4,723,898

建設改良費等の財源に充てるための企業債による収入

0 0 0 0 1,674,200 6,746,700

建設改良費等の財源に充てるための企業債の償還による支出

△ 1,375,460 △ 1,144,660 △ 200,024 △ 30,776 △ 1,795,525 △ 12,560,660

その他

△ 11,014 0 0 △ 11,014 △ 160,077 1,090,062
資金増減額 △ 227,487 △ 244,855 23,892 △ 6,525 △ 227,085 △ 4,609
資金期首残高 3,016,240 2,269,097 256,674 490,467 14,104,337 5,598,246
資金期末残高 2,788,752 2,024,242 280,567 483,942 13,877,251 5,593,636

ア 病院事業

業務活動で19億7,130万円の資金を生み出しているものの、投資活動で8億1,231万円、財務活動で13億8,647万円の資金を費消している。この結果、元年度は2億2,748万円の資金が減少し、資金の期末残高は、27億8,875万円となっている。
資金の増減額を病院別にみると、リハビリ病院で2,389万円増加しているものの、医療センターで2億4,485万円、佐久間病院で652万円減少している。

イ 水道事業

業務活動で48億8,951万円の資金を生み出しているものの、投資活動で48億3,520万円、財務活動で2億8,140万円の資金を費消している。この結果、元年度は2億2,708万円の資金が減少し、資金の期末残高は、138億7,725万円となっている。

ウ 下水道事業

業務活動で79億8,271万円の資金を生み出しているものの、投資活動で32億6,343万円、財務活動で47億2,389万円の資金を費消している。この結果、元年度は460万円の資金が減少し、資金の期末残高は、55億9,363万円となっている。

(4) 企業債

(単位 金額:千円、比率:%)

区分

病院  

水道

下水道

合計

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

元年度承継額 - - - - - 174,630 174,630
借入額 321,300 293,800 27,500 0 1,674,200 6,746,700 8,742,200
償還額 1,375,174 1,144,660 200,024 30,489 1,793,042 12,560,660 15,728,877
未償還残高 15,371,900 9,806,118 5,194,188 371,593 24,638,670 150,970,514 190,981,085
支払利息及び
企業債取扱諸費
363,475 280,166 76,478 6,829 421,458 2,649,488 3,434,422
利子負担率 2.28 2.74 1.45 1.48 1.67 1.72 1.76
(注) 利子負担率=支払利息及び企業債取扱諸費/平均(企業債+借入金+リース債務)×100

企業債未償還残高は、3事業全体で1,909億8,108万円である。
事業別にみると、下水道事業が最も多く1,509億7,051万円、次いで水道事業246億3,867万円、病院事業のうち医療センター98億611万円となっている。
企業債未償還残高の削減に向けて企業債発行を抑制する取組を推進しており、3事業全体で企業債残高が減少している。

企業債未償還残高の推移

企業債未償還残高の推移

(5) 一般会計繰入金

(単位 金額:千円、比率:%)

区分

病院  

水道

下水道

合計

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

一般会計繰入金 2,689,538 1,698,220 406,990 584,328 566,511 6,051,209 9,307,259

収益的収入

2,575,889 1,698,220 329,387 548,282 170,917 5,060,777 7,807,584

収益に対する繰入率

33.4 62.6 8.7 45.6 1.4 24.1 19.3

資本的収入

113,649 0 77,603 36,046 395,593 990,432 1,499,675

(注) この表には、地方公営企業法第17条の2に基づく繰入金のほか、任意による繰入金を含む。
また、水道事業には「飲料水供給施設業務負担金」を、下水道事業には「合併処理浄化槽設置業務負担金」を含む。

一般会計から企業会計への繰入金は、3事業全体で93億725万円である。
事業別にみると、下水道事業が最も多く60億5,120万円、次いで病院事業のうち医療センター16億9,822万円、佐久間病院が5億8,432万円となっている。
収益的収入に対する繰入率は、病院事業のうち医療センターが最も高く62.6%、次いで病院事業のうち佐久間病院45.6%、下水道事業24.1%となっている。

一般会計繰入金の推移

一般会計繰入金の推移

4 審査意見

(1) 総括

人口減少、超高齢社会、局地的豪雨等の自然災害に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に広まり、社会を取り巻く環境が変化し「新しい生活様式」への対応が求められるなか、公営企業は、公共の福祉を増進するため、常に継続性、安定性を維持したサービスを市民に提供していくことが求められている。
病院事業においては、医療センター、リハビリ病院及び佐久間病院の3病院を運営しており、医療機能の充実や地域医療全体への貢献という公立病院が果たすべき役割を担っている。
医療センターは、入院患者の平均在院日数の短縮及び救急患者の積極的な受入などにより指定管理者の収益が増加した一方で、新病院に向けた人員の確保などにより費用も増加した。そのため、指定管理者からの指定管理者負担金が減少したことから、病院事業会計の純利益が減少した。今後、新病院整備により減価償却費などの負担増も見込まれることから、経営の効率化について改めて検討していく必要がある。
リハビリ病院は、一人当たりの入院診療単価が増加するとともに病院建替えに伴い購入した医療機器分の減価償却費の減少により、経常収支比率が100%を超えた。また、高密度、効率的かつ科学的なリハビリ治療を提供するための先進リハビリ医療機器を導入し、「生活を支えるリハビリテーション医療」の提供に努めている。当該機器を活用するとともに、引き続き、安定した経営に努められたい。
佐久間病院は、診療圏域の人口減少に伴い患者数が減少傾向にあるが、今後も公立病院としての役割を踏まえて、市民に寄り添った病院であり続けることが期待される。常勤医師の減少を近隣病院勤務医師の外来診療、宿日直応援などにより対応しているが、2年度は、静岡県派遣医師が1名減となっている。今後も国の医師偏在対策の効果を注視し、医療資源確保に資する取組を継続して進めていくことが求められる。
水道事業においては、水道料金などの収益減少及び減価償却費などの費用増加により、純利益が減少している。今後は、管路、施設等を更新する拡張費及び改良費などに充てる補てん後資金残高の大幅な減少も見込んでいることから、老朽管更新のための建設費確保に向け、将来の財務状況等を正確に試算し効率的な事業運営に努める必要がある。
下水道事業においては、30年4月から浜松市公共下水道終末処理場(西遠処理区)の運営を民間の活力や創意工夫を生かしたコンセッション方式により経営改善に努めているが、今後も市民への説明責任が果たせるよう、事業運営について必要な情報開示が求められる。また、中長期的な施設更新を踏まえた管路、施設等に関するストックマネジメントの取組について、今後策定するアセットマネジメント計画に盛り込み、更新費用の削減及び平準化に努める必要がある。
各企業は、これまで「新公立病院改革プラン」、「浜松市水道事業ビジョン」及び「浜松市下水道ビジョン」などに基づき、効率的な企業経営、資産の維持管理及び更新に係る費用の抑制、料金体系の適正化等による経営基盤の強化に取り組んでいるところである。これらを踏まえ今後も経営環境の変化を的確にとらえ、柔軟に対応するとともに、健全な経営及び安定したサービスの提供ができるよう企業経営に引き続き取り組まれたい。
なお、事業会計ごとに意見を述べる。

(2) 病院事業会計

健全な経営の推進について

【現状及び課題】

  • 感染症病床を6床有する医療センターでは、2月からの新型コロナウイルス感染症患者を受け入れており、そのことの影響があったと考えられ、3月以降、入院外来ともに患者数が減少している。
  • リハビリ病院及び佐久間病院においては、元年度の患者数への新型コロナウイルス感染症による影響は少なかったと考えられるが、2年度以降、患者数の減少傾向が見られている。
  • 新型コロナウイルス感染症への対応や医療センターの新病院整備事業に伴う経費増など、内外からの要因による影響が考えられることから、3病院は、それぞれ公立病院としての経営の継続性や安定の確保に向けて、引き続き一層の経営の効率化に努める必要がある。

【意見】

  • 3病院においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、患者の受診控えによる減収など経営への影響が懸念されるほか、感染拡大を見据えた医療提供体制の確保に備えることが重要となってくる。今後も国等の動向を注視するとともに、引き続き医療体制の強化、適正な債権管理、資産管理等に努めながら、より効率的、効果的な経営に取り組み、経営の安定を図られたい。

(3) 水道事業会計

経営分析について

【現状及び課題】

  • 有収率は、配水量に占める有収水量を示している。28年度には94.1%であったが、29年度に簡易水道事業を統合して以降低下し続け、元年度は90.5%となった。この4年で3.6ポイント減少しているが、その主な要因は漏水によるものであると考えられる。
  • 旧浜北市、旧天竜市、旧細江町、旧引佐町及び旧三ケ日町では、旧市町を単位とした区域よりも細分化した地区別の有収率を把握することで、漏水箇所の修繕に活用している。一方、旧浜松市、旧雄踏町及び旧舞阪町の区域は、一体として有収率を把握しているため、過去の漏水修繕履歴により漏水件数の多い地域から優先して漏水調査を行っているものの、効率的な漏水箇所の発見とその対策には至っていない。
  • 浜松市水道事業アセットマネジメント計画(30年2月)に基づき、6年度までは基幹管路の耐震化を重点的に実施していることから、老朽化した中口径管路及び小口径管路については個別の対応を行っており、大規模な管路更新は基幹管路の耐震化以後に実施すると想定される。
  • 供給単価(販売料金)の給水原価(水道水の製造経費)に対する割合である料金回収率は、元年度に給水原価(126.14円)が供給単価(125.85円)を上回る99.8%となっており、これは有収率の低下及び基幹管路の耐震化に伴う減価償却費の増加が、要因と考えられる。
  • 現状の水道事業中期財政計画(27年度~6年度)において、拡張費及び改良費などに充てる補てん後資金残高は、元年度末の実績では約105億円あるものの、6年度末には約15億円と大幅に減少する見込みであり、今後の老朽管更新のための資金不足が懸念される。

【意見】

  • 29年度の簡易水道事業の統合後、有収率が低下していることに加え、元年度には、給水原価が供給単価を上回ることとなった。また、水道事業中期財政計画(27年度~6年度)における実績と見込みによれば、基幹管路の耐震化を重点的に実施していることから、補てん後資金残高の大幅な減少が見込まれる。こうしたことから、今後も引き続き水道事業中期財政計画(27年度~6年度)及び浜松市水道事業アセットマネジメント計画(30年2月)を精査・検証するなかで、市民生活にとって重要なライフラインである水道事業を継続的に安定して運営するよう努められたい。

(4) 下水道事業会計

ア 近年の総合的な浸水対策について

【現状及び課題】

  • 浜松市下水道事業経営プラン2019及び浜松市下水道ビジョン2009-2024において、関連部署が連携した内水対策の推進(ハード対策)及び官民一体で取り組む浸水被害軽減対策の推進(ソフト対策)を掲げ、元年度の都市雨水対策達成率62.1%に対し、6年度の目標値を73%としている。
  • これまで都市部においては、内水対策は上下水道部、外水対策は土木部等により、各部署の個別計画に基づいた対策を行っている。
  • 被害に対する安全度の向上、総合的な雨水対策の実施に向け、関連部署(上下水道部、土木部、産業部、都市整備部及び危機管理監)で構成する浜松市都市雨水対策協議会において、関連部署が連携して事業を集中し浸水被害の早期軽減を図るため、元年度に浜松市総合雨水対策計画を策定した。
  • 雨水対策事業の着実な実施に向け、下水道事業と河川事業等が一体となった事業対策が必要である。

【意見】

  • 浜松市総合雨水対策計画では関連部署の連携を掲げている。浸水被害から市民の生命や財産を保護し、都市機能を確保するため、内水対策と外水対策をより総合的に進めながら、市として、土木部等と一体となり全庁的な事業対策に取り組まれたい。

イ 管きょ築造工事における安全対策と職員の技術力習得・継承について

【現状及び課題】

  • 元年度中に、管きょ築造工事において2件の事故が発生した。安全に対する取組として、浜松市上下水道部建設工事事故調査会、下水道工事安全管理委員会等で検討した再発防止策をもとに、職員の安全意識の徹底を図っている。
  • 経験豊かな職員の技術力を継承していくため、技術アドバイザー制度及び専門的技術の習得を目的とした教え合いリーダー制度を設け、資質向上を図っている。
  • 公共工事の品質を確保する上で、工事等の効率性、安全性、環境への影響等が重要な意義を有することから、限られた数の職員によって最大の効果を発揮できるよう、技術力が確実に継承できる組織体制が必要である。
  • 2年3月13日に、国土交通省水管理・国土保全局下水道部下水道企画課管理企画指導室長及び下水道事業課事業マネジメント推進室長より、安全管理の徹底を求める通知が発出されたものの、市下水道工事課発注の管きょ築造工事において、同年4月10日には受注者側の労働者の死亡事故が発生した。

【意見】

  • 市発注の公共工事において、事故が発生している。発注者側の責務として、発注から施工の各段階において、市として十分な安全対策及び技術管理体制が必要であると考える。このため、今後、職員の専門的技術の習得・継承及び委託施設等のモニタリング能力の向上に向けた組織体制づくりが一層確保されるよう努められたい。

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