緊急情報
ここから本文です。
更新日:2024年1月1日
現在、地球上には名前が知られているものだけで175万種、未知の種類を含めると3,000万種もの生きものが存在すると考えられています。
私たち人間を含めたそれらの生きものはすべてが関係し合い、網の目のようにつながりあった微妙なバランスの上で生きています。このようにいろいろな生きものがいること、それらの生きものが複雑に関わり合って、様々な環境に合わせて生活していることを「生物多様性」と言います。
「生物多様性」には3つのレベルがあります。「様々な自然環境があること」、「様々な種類の生きものがいること」、「同じ種類の中でも遺伝子の違いによる様々な個性をもった個体がいること」、これらにより、地球の豊かな環境が維持されてきました。
地球上に様々な生きものが存在すること自体が大切な財産です。また、生物多様性は、私たち人間にとって潜在的な利用の可能性を秘めています。だからこそ、私たちの世代だけでなく将来の世代のためにも、そして人間以外の様々な生きもののためにも、守り、残していかなければならないものなのです。
私たちの生活は様々な生物多様性の恵みに支えられています。
森や土壌の働きによって空気や水が供給され、衣食住には農作物や水産物、木材といった様々な自然の恵みが活用されています。また、このような直接的な恵みだけでなく、森や河川、里山などが安らぎの場やレジャーなどの楽しみの場として利用されるといった間接的な恵みも与えてくれます。
自然や生き物とふれあいの中から生まれる癒しや充足、そこから見出されるわたしたちの文化的・創造席な活動を促すサービス。
自然の恵みを受けて育まれた食料・木材・繊維・燃料などの原材料を供給するサービス。
自然環境とわたしたちの暮らしを守り、維持するためのサービス(水や大気の調整、自然災害の緩和、植物による温室効果ガス吸収など)。
上記3つのサービスを形づくり、維持するための土台となるサービス。植物が行う光合成による酸素の生成、風化や微生物の働きなどによる土壌形成、森林などによって支えられる水循環バランスなど。
浜松市の生物多様性が直面している危機は、以下の4つに整理できます。
人間が経済活動を行っていく上で避けて通れない開発による生息地などの減少や環境の悪化、また、めずらしい生きものの乱獲や盗掘などがあります。例えば、宅地化や圃場整備、水路の改修などによって、生息地が分断・減少し、数を減らしている動植物がいます。現在、限られた場所にしか生息しないギフチョウは、今は条例などにより守られていますが、過去の開発による生息地の消失や、愛好家による乱採集などで、市内にあった生息地は激減しました。
最近増加しているイノシシなどの野生動物による農作物被害は、人の自然への関わりが減ったことが、その原因の一つと考えられています。人が里山を利用していた頃、野生動物のすむ山と集落の間にあった里山林には身を隠せる場所がありませんでしたが、人の手が入らず藪が増えたことで、そういった場所に身を隠しながら、集落まで近付いて来ることができます。隠れ場所や食べ物を得て、個体数も増えていると考えられていて、例えばシカなどによる食害で森林内の植物の構成が変わることが懸念されています。
日本にいなかった外来生物や、自然界には存在しない化学物質などが、人間の活動とともに持ち込まれ、その場所の生態系を攪乱してしまいます。浜松の池や河川でもよく見られるミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)は、イシガメなどの在来のカメ類の餌や生息環境を奪ってしまうだけでなく、様々な生きものを食べてしまうため、在来種に対する影響が心配されています。また、殺虫剤や除草剤などが、野生動物にどの程度影響をもたらしているかは十分にはわかっていません。
地球温暖化のほか、強い台風の増加や干ばつなどの気候変動が、生物多様性に悪影響を及ぼす恐れがあります。全国的に有名な[三ケ日みかん]ですが、おいしいミカンの生産には「気候が温暖で、日照時間が長く、水はけの良い土壌であること」が条件で、これらを満たした浜松市で長年特産品となってきました。しかし、地球温暖化による気温の上昇で、品質の低下や今までの栽培技術が通用しない可能性があり、「三ヶ日みかん」は無くなってしまうかもしれないのです。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください