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更新日:2023年4月5日

浜松市保健環境研究所だより(第5号)

浜松市保健環境研究所だより
第5号「腸管出血性大腸菌食中毒について」

PDF版(PDF:290KB)

 目次

 腸管出血性大腸菌とは

大腸菌は、家畜やヒトの腸内に存在しています。ほとんどのものは無害ですが、このうちいくつかは、ヒトに下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、病原性大腸菌と呼ばれています。この病原性大腸菌の中で、ヒトに出血を伴う腸炎を起こす毒素(ベロ毒素又は志賀毒素)を産生するグループがあり、これを特に「腸管出血性大腸菌」と呼びます。
イラスト:男性獣医師 大腸菌グループ

腸管出血性大腸菌は、菌の特性によりさらにいくつかに分類されています。代表的なものは「腸管出血性大腸菌O157」で、そのほかに「O26」や「O111」などが知られています。 

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 腸管出血性大腸菌食中毒について

  • 腸管出血性大腸菌による食中毒の動向
    この数年の間で、腸管出血性大腸菌による食中毒事件が国内を始めとして世界的にも問題になっています。焼肉店などの飲食店や食肉販売業者が提供した食肉を、「生や加熱不十分」の状態で食べて発症した事例が多く、平成23年4月には牛肉の生食が原因で、複数の方が亡くなるという痛ましい事件が起こりました。
  • 腸管出血性大腸菌の特徴
  1. ウシの約10%が腸管内に保有している。
  2. わずか数十個で発症する。
  3. 潜伏期間(感染してから症状が出るまでの期間)が長い(3~8日程度)。
  4. 感染力が強く、ヒトからヒトへ感染(二次感染)する可能性がある。

イラスト:豚 イラスト:牛

  • 感染経路
    菌に汚染された飲食物や、感染者のふん便によって感染します。
  • 症状
    発熱や激しい腹痛、水様性下痢、血便、おう吐などが現れます。特に抵抗力の弱い子供や高齢者は症状が重くなりやすく、「溶血性尿毒症症候群(HUS)注1)」や「脳症注2)」などの合併症を引き起こし、死に至ることもあります。

注1)貧血と腎機能障害を特徴とした急性腎不全で、意識障害などが起こる症状。

注2)疾病や高熱などが原因で、意識障害が起こる症状。

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 食肉衛生検査所の取り組み 

イラスト:きれいな豚の搬入

食肉衛生検査所では、検査員(獣医師)が、と畜場や食鳥処理場に搬入されるウシ・ブタ・ニワトリなどの家畜を1頭1羽ごとに検査し、病気など悪いところを廃棄して、安全なお肉が提供されるよう業務を行っています。

しかし、腸管出血性大腸菌をはじめとする食中毒菌は、健康な家畜の腸内にも存在していることから、と畜場ではこれらの細菌による汚染を防ぐことが非常に重要です。

そこで、当所では、不適切な取扱いにより枝肉注3)が、消化管(胃や腸)内容物やふん便に汚染されることのないように、と畜場管理者(浜松市食肉地方卸売市場)に対する「衛生的な施設への改善指導」や、と畜作業従事者に対する「衛生的な取扱い指導」を行い、食肉の安全の確保に努めています。

注3)頭部、四肢の先端および内臓を取り除いた骨のついた状態の肉

では、現在浜松市と畜場で行っているウシの解体処理工程における衛生管理対策の一部をご紹介します。

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 1.と畜場での衛生管理

解体処理工程

対象者

対策の内容

生体(生きている状態)の家畜の搬入 

家畜搬入者

 きれいな家畜の搬入を呼びかけています。

作業従事者

  • 生体の洗浄(体表に付着したふん便の除去)
    生体の体表の汚れをチェックし、汚れている場合にはきれいに洗浄するよう指導しています。

と殺・解体  

作業従事者

  • 食道及び肛門の結紮(けっさつ)注4)
    消化管(胃や腸)内容物やふん便からの汚染を防ぐため、食道(入口)と肛門(出口)を結紮器で結紮するとともに、胃腸を取り出すときに破れないないよう指導しています。

注4) 開いている部分を閉じること。
【肛門結紮】

肛門結紮  

肛門結紮器 

 ふん便汚染しないように「肛門は袋に包んで結紮」

 検査員・作業従事者  

  • 器具や手指の洗浄消毒の徹底
    1頭ごとに、ナイフなどの器具および手指を洗浄消毒するよう指導しています。特に、器具はふん便などで汚れる場合があるので、温湯で消毒し、付着した腸管出血性大腸菌などを死滅させます。

【温湯消毒槽】

 

 

  温湯消毒槽

  • 汚染部位のトリミング
    枝肉がふん便や消化管内容物などにより汚染されている場合には、各工程でその都度トリミング(きたない部分を取り除く)を実施するよう指導しています。

枝肉の洗浄・冷蔵

と畜場管理者

枝肉を丁寧に洗浄し、また、適切に温度管理された冷蔵庫で保管するよう指導しています。 

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 2.枝肉の拭き取り検査

食肉衛生検査所では、解体処理工程中の枝肉が衛生的に取り扱われているかどうか判断するために、定期的に拭き取り検査を行っています。この検査により、枝肉の細菌汚染状況を把握し、より衛生的な処理を行うための指導に役立てています。

枝肉表面の拭き取り
枝肉の表面を専用の綿棒で拭き取ります。

 

 細菌培養
綿棒で拭き取ったものを培養し、細菌汚染状況を調べます。

 

 

 

一般細菌数の計測
一般細菌数の計測
一般的な汚染の指標

 

大腸菌群の計測
大腸菌群数の計測
ふん便汚染の指標

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 家庭でできる食中毒予防のポイント

簡単な心がけから食中毒は予防できます。以下を参考にしてください。

  • 菌をつけない
    調理する時は、手や調理器具を十分に洗ってください。また、野菜・果物・調理済みの食品を生肉と接触させないようにするとともに、肉汁などがかからないよう注意してください。
  • 菌をふやさない
    調理した食品は早めに食べてください。(低温や酸に強いため冷蔵庫の中でも長期間生存します。)
  • 菌をころす
    調理する時は十分に(75℃で1分間以上)加熱してください。特に、生レバーやユッケなど、生肉を食べることは食中毒を起こす可能性が高いので避けてください。

詳細につきましては「農林水産省ホームページ」を閲覧してください。
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/pdf/shininful.html(別ウィンドウが開きます) 

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浜松市役所健康福祉部保健環境研究所

〒435-8642 浜松市中央区上西町939-2

電話番号:053-411-1311

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