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更新日:2023年4月5日

浜松市保健環境研究所だより(第3号)

浜松市保健環境研究所だより
第3号「食品中の残留農薬について」2011年1月

PDF版(PDF:379KB)

 目次

 はじめに

食料自給率の低い日本では、多くの食料を海外からの輸入に頼っています。そんな中、輸入された農産物から農薬が検出されたり、農薬が意図的に混入されたりする事件があり、食品に対する消費者の不安が大きくなっています。
食べ物を介して私たちの体に入ってくる農薬の量は一体どれくらいなのでしょうか?そんな疑問を解決するために、厚生労働省では「食品残留農薬等一日摂取量実態調査」を行っています。この調査は、日本人一日当たりの食事(飲料水を含む)に含まれる農薬等の残留量を調べるもので、平成3年度(1991年)から毎年調査が行われています。

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 農薬について

農薬とは、農薬取締法で「農作物等を害する菌、ダニ、昆虫、ねずみ、その他の動植物またはウイルスの防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤および農作物等の生理機能の増進または抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう」と定められています。
残留農薬とは、作物等を栽培するときに使用した農薬の一部が食品中に残留したものです。残留農薬は、人体への安全性などを考慮して、食品ごとに基準値が定められています。数年前までは、一部の農薬にのみ基準値が設定されており、新しい農薬が食品に含まれていても、基準値が設定されていなければ、その食品の流通を禁止するなどの法的な規制ができませんでした。しかし、現在は原則全ての農薬について食品ごとに基準値が設定され、規制が可能になりました(ポジティブリスト制)。
基準値は、人が一生涯の間、毎日その農薬を摂取し続けても、健康上なんら悪影響を及ぼさない量(一日摂取許容量:ADI※)を基に設定されています。

※ADI:AcceptableDailyIntakeの略。単位はmg/kg体重/day。
具体的には動物実験によって悪影響が見られなかった最大の量の100分の1の値。
=動物に悪影響を及ぼさない量×0.1(動物と人の差を考慮)×0.1(人の個体差を考慮)

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 食品残留農薬等一日摂取量実態調査

食品残留農薬等一日摂取量実態調査
(1)調査方法

1.国民健康・栄養調査(※)の分類を参考にして、食品を14群(穀類、魚介類、肉類、飲料水など)に分類し、各群の中から主な食品を選び、市内のマーケットなどから購入します。
食材のイラスト

2.食べるまでに調理が必要な食品については、通常の調理法に準じた方法(米は炊いてご飯にする、など)で調理します。
料理のイラスト

3.国民健康・栄養調査の地域ごとの食品群別摂取量を基に、各群ごとに必要量を混合して破砕、均一化し検体とします。

※国民健康・栄養調査
厚生労働省が健康増進法に基づき実施している調査で、国民の身体状況、栄養摂取量及び生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的としています。これにより、特定の地域でたとえばご飯が1日何グラムくらい食べられているか、などのデータを得ることができます。

(2)残留農薬検査
検査法について簡単に説明します。

1.検体をよく混合し、検査に必要な量を精密に量ります。
秤量の様子

2.前処理(検体から農薬だけを取り出し、機器で測定できる状態にします。



【抽出】

食品をさらに細かく粉砕し、専用の溶液に農薬等を溶かし出します。
固形分を取り除き、農薬等が溶け込んだ溶液を採ります。

抽出の様子1
機械で激しく振り混ぜ、溶液に溶け込んだ農薬を抽出します。これにより、不純物を少し除去できます。
抽出の様子2

【精製】

活性炭などが詰めてある専用の容器に、抽出した溶液を通し、葉緑素などを除去します。ここで、多くの不純物を除くことができます。
精製の様子

【濃縮】
エバポレーターという機械で、溶液を濃縮します。濃縮することで、ごく微量に含まれる農薬も測定できるようになります。
濃縮の様子
このようにして作成された試験溶液を、機器により分析します。
3.測定

ガスクロマトグラフ質量分析計
ガスクロマトグラフ質量分析計

液体クロマトグラフ質量分析計

液体クロマトグラフ質量分析計

多くの農薬等を一度でスクリーニング(農薬が有るか無いかを判定)するために、高性能の精密機器を使用しています。

4.解析(測定した結果をデータ処理)
ガスクロマトグラフ質量分析計の測定結果例(農薬標準品)
測定結果例
上の図の尖った山のようなものをピークといいます。
ピークはそれぞれ違う農薬を意味します。これらのピーク1つ1つを確認し、2.の試験溶液に農薬が入っているかどうか判定します。


3、調査結果
食品群ごとに測定された農薬の量を一日に食べる量に換算し、その群における農薬の一日摂取量を求めます。さらに、すべての食品群の合計がその農薬の一日摂取量となります。
平成16年度に実施した調査結果では、推定される農薬の一日摂取量がADIに占める割合は0.027~17.3%でした。調査した全ての農薬について、一日摂取量はADI(農薬によって値が異なります)を大きく下回っていることから、農薬の摂取量については現状で問題ないと判断されています。
今年度は、当研究所もこの調査に参加します。浜松市民が日頃食べ物からどのくらいの量の農薬等を体に摂り入れているのかを国の評価に反映させることができます。

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 残留農薬検査における当研究所の取り組み

当研究所においても、定期的に残留農薬の検査を行っています。保健所の食品衛生監視員が浜松市内で収去(※)した野菜などを対象に、約200項目の農薬について基準値以上残留していないかを検査しており、食の安全の確保を図っています。ポジティブリスト制が導入され、対象とされる検査項目数は大幅に増えました。当研究所では、よく使用される農薬や検出されたことのある農薬などの情報を集め、より多くの農薬について検査できるよう検討を重ねています。浜松の農産物は、浜松市民はもちろん、他市、他県でもたくさん消費されています。安全、安心な農産物をより多くの人に食べてもらうために、正確なデータを迅速に報告するよう日々努力しています。

※収去とは、食品衛生法に基づき、食品営業施設に食品衛生監視員が立ち入り、試験検査のため必要な検体(食品、おもちゃ等)を無償で譲り受けることをいいます。

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お問い合わせ

浜松市役所健康福祉部保健環境研究所

〒435-8642 浜松市中央区上西町939-2

電話番号:053-411-1311

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