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ホーム > 市政 > 市有財産 > 市有財産の利活用 > 浜松市公共施設等総合管理計画 > 第5章 3.実現のための6つの基本的指針

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更新日:2021年3月28日

第5章 これからの資産経営の基本的な考え方

3.実現のための6つの基本的指針

(1)公共施設に関するムリ・ムダ・ムラの是正

 ファシリティマネジメントの考え方に基づき、人口増減などによる利用環境の変化や財政の将来見通し、代替施設の利用可能性などを踏まえ、公共施設を経済的なコストで、市民が快適に利用できる品質で提供することを目指します。

 その際には、資産の総量縮減に加え、ライフサイクルコストやRBM(リスクベース・メンテナンス)をキーワードに、公共施設の企画・建築から解体、処分といった一連の工程においてムリ・ムダ・ムラの是正を徹底します。

(参考:ファシリティマネジメントとは)

 本市におけるファシリティマネジメントは、土木や上下水道分野で使用されている「アセットマネジメント」「ストックマネジメント」に、ハコモノ資産を含め、更に資産活用の側面などを含めた広義の意味で使用します。

ファシリティマネジメントイメージ図

 

(参考:ライフサイクルコストとは)

 ライフサイクルコストは、公共施設の企画・設計から解体・処分までの全期間に必要な費用を指し、建設費などのイニシャルコストと、光熱水費や保全費、改修・更新経費などのランニングコストにより構成されます。企画・計画段階において、初期の建設費だけではなく、ランニングコストを含めた全費用を考慮することが重要です。

ライフサイクルコストイメージ図

 

[1]ハコモノ資産の延床面積縮減

i)ハコモノ資産新設の抑制

  • 行政ニーズの変化への対応として、公共施設としてのハコモノ資産が新たに必要と考える際には、既存施設や土地の有効活用を徹底的に検討し、ハコモノ資産の新設や新規の土地取得は原則として行いません。
  • 既存施設との統廃合・複合化などにより、ハコモノ資産に係る総延床面積の縮減が達成されるなど、ハコモノ資産全体の活用度が向上する場合には、例外的に新設を有力な選択肢として検討します。

ii)既存施設の縮減

  • 毎年度、施設の現状を評価・検証し、短期もしくは中長期的な視点により施設の統廃合、複合化の可能性を不断に検討します。
  • 施設の更新時は、他施設との統廃合、機能の複合化を一層進めることを第一に検討します。
  • 借地上に設置されている施設については、優先的に他施設への統廃合や複合化を進めます。

[2]ハコモノ資産の維持管理コストの最適化

  • ライフサイクルコストの考え方により、新設時だけでなく、改修・更新時の企画、設計段階においても、その後の維持管理コストの最適化を検討します。
  • 施設の経年推移や類似施設比較などによる維持管理コストの現状、先駆的なコスト縮減の取組みを全庁的に共有します。
  • 施設の性質や施設間のバランスを踏まえ、受益者負担の水準について検証し、必要に応じて利用料金などを見直します。
  • ESCO事業やBEMSの導入などにより、省エネルギー化などの環境対策と維持管理コストの低減の両立に取り組みます。
  • 新規借地の原則禁止や長期的使用が確実に見込まれる施設の借地の購入、借地上の施設の優先的な統廃合による借地の返還などにより借地解消を進めます。

[3]インフラ資産の維持管理コストの最適化

  • すべてのインフラ資産を、RBM(リスクベース・メンテナンス)の考え方により維持管理します。

(参考:RBM(リスクベース・メンテナンス)とは)

 RBMは、破損や事故の起きやすさ、当該事故が市民生活に及ぼす影響の大きさ、改修・更新経費の規模などのリスクを基準に、各インフラ資産を分類し、各々の管理水準、耐用年数、保全手法などにより、維持管理、改修・更新を実施する手法です。

 すべてのインフラ資産を、一律の基準で管理する従来手法とは異なり、この手法は、リスクの大きいところへの重点投資とムダの削減の両立による効率的で効果的な維持管理や長寿命化が期待できます。

◆RBM基準のイメージ

区分

内容

管理水準、耐用年数

保全手法

A

破損や事故が生じた場合、市民生活に多大な影響が生じ、当該インフラの改修・更新経費が膨大となるもの

基準どおり

予防保全

B

破損や事故が生じた場合、市民生活への影響、当該インフラの改修・更新経費が相応となるもの

見直し・延長

予防保全

C

A・B以外のもの

見直し・延長

事後保全

  • 上水道、下水道などでは施設の更新時には、将来の人口減少を踏まえ、規模適正化を図ります。 
  • 維持管理に当たっては、民間活力の活用を前提に、点検や改修の方法など新たな技術や手法を絶えず研究します。また、平成26年度から試験的に実施している共同企業体による道路の包括的維持管理業務委託の成果を検証しつつ、維持管理期間の長期化や包括する業務の更なる拡大などに取り組みます。

(2)安全・安心な公共施設の提供

 保有する公共施設を安全・安心な状態で市民サービスに供するには、適正な維持管理と計画的な改修・更新が必要不可欠です。

 一方、財政的な制約を考えると、維持管理経費や改修・更新経費の総額抑制と、今後、一時期への集中が懸念される改修・更新経費の平準化が重要となります。

 解決策の一つとして、劣化や損傷などが生じた後に改修などを行う従来の「事後保全」から異常の兆候を事前に把握・予測して、計画的に改修などする「予防保全」への転換が有効とされており、引き続き本市では予防保全への転換を強化していきます。

(参考:保全の考え方について)

保全の体系図

 

[1]ハコモノ資産の予防保全と長寿命化

  • 平成21年度に実施した公共建築物の「鉄筋コンクリート造建物耐用年数調査」では、天竜川水系における良質なコンクリート骨材(砂・砂利)の利用により、構造躯体自体の寿命が長い施設が多いことが明らかとなっており、これらの施設を有効に活用していくために、予防保全を通じた施設の長寿命化は、非常に重要と言えます。
  • 平成25年4月に改定した「保全ガイドブック」(財務部公共建築課)に基づき、施設所管課が実施する日常点検や建築基準法に基づき定期的に実施する外壁打診調査などの法定点検を通じ、施設の状況を適切に把握します。
  • 予防保全の考え方により、上記で実施した点検結果などに基づき、躯体への影響が大きい屋根や外壁の改修が早期に必要な施設から対策を実施します。具体的には、外壁打診調査や屋上防水調査で、劣化が進んでいると判断された(屋上防水はC、D判定、外壁はD判定)施設について、優先的に長寿命化事業を実施し、平成29年度までに完了します。また、改修に多額の費用と時間を要し、施設運営にも大きな影響を与える大型空調設備についても、現地調査等に基づいて優先順位を決定し、計画的な改修を実施します。
  • 平成30年度以降も、屋根や外壁、空調設備の定期的な改修・更新時期や施設の継続性を踏まえつつ、法定点検の結果などから、優先的に予防保全を施す施設を選定して、計画的な改修を実施します。
  • 屋根や外壁、空調設備以外の給排水設備、電気設備などの大規模な改修については、多額の費用と時間を要することから、施設の統廃合や複合化などの検討をしたうえで、長寿命化に取り組みます。
  • 「浜松市公共建築物ユニバーサルデザイン基本計画」(財務部公共建築課)に基づき、ユニバーサルデザインに配慮した施設整備を進めます。

[2]インフラ資産の予防保全と長寿命化

  • 各インフラ資産の点検・診断結果や修繕履歴などの情報を一元管理し、当該情報に基づき、必要な措置を適切な時期に講じるメンテナンスサイクル(点検⇒診断⇒措置⇒記録)を構築します。
  • 平成27年4月から運用を開始した「浜松市土木スマホ通報システム(いっちゃお!)」を活用し、市民からの通報による道路舗装や側溝などのインフラに関する危険箇所の早期発見と迅速な補修により、日常における安全・安心なインフラ資産の提供を目指します。
  • 予防保全の対象としたインフラ資産は、長寿命化計画の策定によって計画的な修繕を実施し、求められる性能を常に保持し安全に長持ちさせることで、ライフサイクルコストの縮減や経費の平準化に取り組みます。
  • 職員が点検・診断結果に基づき適切な措置の判断を行えるよう、技術力を高めることも必要です。浜松市職員技術研修実施方針などに基づき、技術力の向上確保、継承に努めます。

(3)公共施設の最大限の有効活用

 市民サービスの向上、ムダの排除という観点から、保有資産を「活用しつくす」観点も重要です。

 手法としては、地域活性化などを目的とする施設の全部又は一部の貸付け、広告媒体などの情報発信ツールとしての活用、他公共用途への転用など、様々な分野や目的で幅広い活用が考えられます。

 無計画な活用の拡大は、資産総量の縮減とは相容れない面があることにも留意しつつ、公共施設の有効活用を戦略的に進めます。

[1]ハコモノ資産の有効活用

  • 事務スペースの見直しや施設規模の最適化を進め、発生した余剰部分の活用として、他施設との複合化や民間への貸付・処分を積極的に進めます。
  • 余剰部分のみならず、行政財産すべてを公共空間としてとらえ、コミュニティ活動の充実や賑わいの創出の場としての活用を図ります。
  • 施設及び本市の認知度向上や財源の確保を目的に、広告事業の実施や公共施設へのネーミングライツの導入を進めます。
  • 普通財産を、利用実態や管理実態から「事業財産」「計画財産」「貸付財産」「遊休財産」に区分し、活用手法から今後の見通しまでを一元的に把握し、行政としての有効活用や適正管理、資産活用を進めます。
  • 遊休財産については、情報を公開し、財産活用のニーズを探りつつ、公有財産売却業務委託を継続し、売却を進めます。

[2]インフラ資産の有効活用

  • 中心市街地における道路や公園などの公共空間の活用を今後も積極的に進めるとともに、その他の地域におけるインフラ資産についても、コミュニティ活動や賑わいの創出の場としての活用を可能な限り推進します。
  • 既存の「歩道橋ネーミングライツ事業」など、インフラ資産についても財源確保のためのツールとして活用します。

(4)民間活力の積極的な活用

 資産経営の推進に当たり、保有資産が抱える課題を公共部門がすべて対応するには限界があります。

 このため、官民連携(PPP Public Private Partnership)の考え方(資料3)を取り入れ、民間活力を導入していく必要があります。

 また、同時に民間活力の活用は、地域経済の発展や雇用への貢献も期待できるものです。

 本市はこれまでもPFI事業や指定管理者制度の導入、個別業務委託、ESCO事業、公有財産処分に関する業務委託など、様々な形態で民間活力の導入を進めてきました。

 今後は、この取組みを強化し、官と民の適切な役割分担と密接な協力のもと、地方創生への寄与を視野に、地域経済や雇用を意識しつつ「民でできることは民で」を基本に民間活力の導入を拡大していきます。

 その際には、案件ごとにスケジュールなどの制約条件、リスク分担、コスト、事業効果、地域経済への効果などを総合的に勘案した上で、様々な官民連携の手法の中から最適な手法を決定することが重要です。

 そのため、事前に民間活力導入の可能性について民間との意見交換や情報交換を行うサウンディング調査、PFI法に基づく民間提案制度など、民間事業者からの発案を受け入れる工夫も講じつつ、民間活力の導入を進めます。

(参考:官民連携イメージ図)

官民連携イメージ図

 ※国土交通省総合政策局資料を参考に加工

(5)まちづくりとの連携及び近隣市町等との連携

[1]まちづくりとの連携

 長期的な公共施設のあり方を考えるに当たっては、まちづくりとの連携が重要です。浜松市総合計画基本構想では、まちづくりの基本的な考え方として、「コンパクトでメリハリの効いたまちづくり」を進めることとしています。

 浜松市総合計画の個別計画として位置付けられる「浜松市都市計画マスタープラン」では、本市の将来都市構造として、人口減少・少子高齢化が進む中で市街地の人口密度の維持を目的に、「拠点ネットワーク型都市構造」の実現を目指すこととしています。

 更に、都市再生特別措置法の一部が改正され、居住を誘導する区域及び都市機能を誘導する区域や施設などを内容とする立地適正化計画を市町村が策定できるようになり、本市はその策定作業を進めています。

 こうした長期的なまちづくりの将来像と連携して、公共施設を配置・整備していくことは、効率的かつ効果的な整備や維持管理を図る観点から重要であるとともに、まちづくりの重要な構成要素となる病院や商業施設などの都市機能の誘致にも資すると考えられます。

[2]近隣市町等との連携

 全国で2番目の市域面積や各地域の地理的状況を考えると、全ての施設において市域を越えた広域的な利用を考えることは困難ですが、大規模ホール、総合運動施設、廃棄物処理施設、公立病院などは、市域外の住民も利用可能な施設であり、利用実績もあります。

 近隣市町と施設を共同利用する「広域化」は、保有資産の総量縮減や、施設の有効利用、維持管理費の分担による財政負担軽減など、本市にとっても近隣市町にとっても有効な手段の一つと考えられます。

 また、国や県が保有する庁舎や公営住宅など、市内に存在する公共施設も含めた適正配置の検討も有効です。

 こうした状況を踏まえ、平成25年度から26年度にかけて、県西部8市1町(浜松市・磐田市・掛川市・袋井市・湖西市・御前崎市・菊川市・牧之原市・森町)の首長で構成する静岡県西部地域の「遠州広域行政推進会議」において、「公共施設」をテーマに研究を行いました。

 公共施設に関して抱えている課題は、国、県、市町村、すべて同様であり、他の行政機関の考え方も踏まえつつ、広域的視点で施設の利活用の可能性について研究を進めます。

(6)実効ある進捗管理

 これまで述べた考え方、取組みを踏まえ、目指すべき資産のすがたを実践するためには、市の全組織が統一した意識を持ち、PDCAサイクル(Plan=計画、Do=実行、Check=評価、Action=改善)を通じて、実効ある進捗管理を行うことが不可欠です。資産経営に関わるあらゆる段階で関連組織全てが幅広く検討を行う網羅性と内部コストの上昇をおさえ、迅速な意識決定が可能な効率性のバランスがとれた進捗管理の体制を構築します。

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浜松市役所財務部アセットマネジメント推進課

〒430-8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2533

ファクス番号:050-3730-0119

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