緊急情報
ここから本文です。
更新日:2021年3月28日
ファシリティマネジメントの考え方に基づき、人口増減などによる利用環境の変化や財政の将来見通し、代替施設の利用可能性などを踏まえ、公共施設を経済的なコストで、市民が快適に利用できる品質で提供することを目指します。
その際には、資産の総量縮減に加え、ライフサイクルコストやRBM(リスクベース・メンテナンス)をキーワードに、公共施設の企画・建築から解体、処分といった一連の工程においてムリ・ムダ・ムラの是正を徹底します。
(参考:ファシリティマネジメントとは)
本市におけるファシリティマネジメントは、土木や上下水道分野で使用されている「アセットマネジメント」「ストックマネジメント」に、ハコモノ資産を含め、更に資産活用の側面などを含めた広義の意味で使用します。
(参考:ライフサイクルコストとは)
ライフサイクルコストは、公共施設の企画・設計から解体・処分までの全期間に必要な費用を指し、建設費などのイニシャルコストと、光熱水費や保全費、改修・更新経費などのランニングコストにより構成されます。企画・計画段階において、初期の建設費だけではなく、ランニングコストを含めた全費用を考慮することが重要です。
[1]ハコモノ資産の延床面積縮減
i)ハコモノ資産新設の抑制
ii)既存施設の縮減
[2]ハコモノ資産の維持管理コストの最適化
[3]インフラ資産の維持管理コストの最適化
(参考:RBM(リスクベース・メンテナンス)とは)
RBMは、破損や事故の起きやすさ、当該事故が市民生活に及ぼす影響の大きさ、改修・更新経費の規模などのリスクを基準に、各インフラ資産を分類し、各々の管理水準、耐用年数、保全手法などにより、維持管理、改修・更新を実施する手法です。
すべてのインフラ資産を、一律の基準で管理する従来手法とは異なり、この手法は、リスクの大きいところへの重点投資とムダの削減の両立による効率的で効果的な維持管理や長寿命化が期待できます。
◆RBM基準のイメージ
区分 |
内容 |
管理水準、耐用年数 |
保全手法 |
---|---|---|---|
A |
破損や事故が生じた場合、市民生活に多大な影響が生じ、当該インフラの改修・更新経費が膨大となるもの |
基準どおり |
予防保全 |
B |
破損や事故が生じた場合、市民生活への影響、当該インフラの改修・更新経費が相応となるもの |
見直し・延長 |
予防保全 |
C |
A・B以外のもの |
見直し・延長 |
事後保全 |
保有する公共施設を安全・安心な状態で市民サービスに供するには、適正な維持管理と計画的な改修・更新が必要不可欠です。
一方、財政的な制約を考えると、維持管理経費や改修・更新経費の総額抑制と、今後、一時期への集中が懸念される改修・更新経費の平準化が重要となります。
解決策の一つとして、劣化や損傷などが生じた後に改修などを行う従来の「事後保全」から異常の兆候を事前に把握・予測して、計画的に改修などする「予防保全」への転換が有効とされており、引き続き本市では予防保全への転換を強化していきます。
(参考:保全の考え方について)
[1]ハコモノ資産の予防保全と長寿命化
[2]インフラ資産の予防保全と長寿命化
市民サービスの向上、ムダの排除という観点から、保有資産を「活用しつくす」観点も重要です。
手法としては、地域活性化などを目的とする施設の全部又は一部の貸付け、広告媒体などの情報発信ツールとしての活用、他公共用途への転用など、様々な分野や目的で幅広い活用が考えられます。
無計画な活用の拡大は、資産総量の縮減とは相容れない面があることにも留意しつつ、公共施設の有効活用を戦略的に進めます。
[1]ハコモノ資産の有効活用
[2]インフラ資産の有効活用
資産経営の推進に当たり、保有資産が抱える課題を公共部門がすべて対応するには限界があります。
このため、官民連携(PPP Public Private Partnership)の考え方(資料3)を取り入れ、民間活力を導入していく必要があります。
また、同時に民間活力の活用は、地域経済の発展や雇用への貢献も期待できるものです。
本市はこれまでもPFI事業や指定管理者制度の導入、個別業務委託、ESCO事業、公有財産処分に関する業務委託など、様々な形態で民間活力の導入を進めてきました。
今後は、この取組みを強化し、官と民の適切な役割分担と密接な協力のもと、地方創生への寄与を視野に、地域経済や雇用を意識しつつ「民でできることは民で」を基本に民間活力の導入を拡大していきます。
その際には、案件ごとにスケジュールなどの制約条件、リスク分担、コスト、事業効果、地域経済への効果などを総合的に勘案した上で、様々な官民連携の手法の中から最適な手法を決定することが重要です。
そのため、事前に民間活力導入の可能性について民間との意見交換や情報交換を行うサウンディング調査、PFI法に基づく民間提案制度など、民間事業者からの発案を受け入れる工夫も講じつつ、民間活力の導入を進めます。
(参考:官民連携イメージ図)
※国土交通省総合政策局資料を参考に加工
[1]まちづくりとの連携
長期的な公共施設のあり方を考えるに当たっては、まちづくりとの連携が重要です。浜松市総合計画基本構想では、まちづくりの基本的な考え方として、「コンパクトでメリハリの効いたまちづくり」を進めることとしています。
浜松市総合計画の個別計画として位置付けられる「浜松市都市計画マスタープラン」では、本市の将来都市構造として、人口減少・少子高齢化が進む中で市街地の人口密度の維持を目的に、「拠点ネットワーク型都市構造」の実現を目指すこととしています。
更に、都市再生特別措置法の一部が改正され、居住を誘導する区域及び都市機能を誘導する区域や施設などを内容とする立地適正化計画を市町村が策定できるようになり、本市はその策定作業を進めています。
こうした長期的なまちづくりの将来像と連携して、公共施設を配置・整備していくことは、効率的かつ効果的な整備や維持管理を図る観点から重要であるとともに、まちづくりの重要な構成要素となる病院や商業施設などの都市機能の誘致にも資すると考えられます。
[2]近隣市町等との連携
全国で2番目の市域面積や各地域の地理的状況を考えると、全ての施設において市域を越えた広域的な利用を考えることは困難ですが、大規模ホール、総合運動施設、廃棄物処理施設、公立病院などは、市域外の住民も利用可能な施設であり、利用実績もあります。
近隣市町と施設を共同利用する「広域化」は、保有資産の総量縮減や、施設の有効利用、維持管理費の分担による財政負担軽減など、本市にとっても近隣市町にとっても有効な手段の一つと考えられます。
また、国や県が保有する庁舎や公営住宅など、市内に存在する公共施設も含めた適正配置の検討も有効です。
こうした状況を踏まえ、平成25年度から26年度にかけて、県西部8市1町(浜松市・磐田市・掛川市・袋井市・湖西市・御前崎市・菊川市・牧之原市・森町)の首長で構成する静岡県西部地域の「遠州広域行政推進会議」において、「公共施設」をテーマに研究を行いました。
公共施設に関して抱えている課題は、国、県、市町村、すべて同様であり、他の行政機関の考え方も踏まえつつ、広域的視点で施設の利活用の可能性について研究を進めます。
これまで述べた考え方、取組みを踏まえ、目指すべき資産のすがたを実践するためには、市の全組織が統一した意識を持ち、PDCAサイクル(Plan=計画、Do=実行、Check=評価、Action=改善)を通じて、実効ある進捗管理を行うことが不可欠です。資産経営に関わるあらゆる段階で関連組織全てが幅広く検討を行う網羅性と内部コストの上昇をおさえ、迅速な意識決定が可能な効率性のバランスがとれた進捗管理の体制を構築します。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください