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更新日:2024年1月17日

収穫を待つヘッドライトの光

収穫を待つヘッドライトの光

できることからやっていこう。だって、春野が好きだから(PDF:341KB)

午前2時。長蔵寺地区にある真っ暗闇の畑に
ポツン、ポツンとわずかな灯りがともる。
見えるのはヘッドライトに照らされた手元のみ。
光源に集まってくる虫との格闘の中、
トウモロコシの収穫が始まった。

収穫をしているのは春野耕作隊。生まれも育ちも春野の若手農家3人が中心となり、都市部の大学生と連携・協力し活動している団体だ。
春野が大好きだから、現状をただ傍観しているのではなく、出来ることからやっていこうと耕作放棄地の再生を始めた。
茶木を抜根し、整地、施肥、そしてやっと種をまくことができる。その取り組みも3年目を迎え、これまでに再生された耕作放棄地は、およそ6000立法メートルにもなっている。
春野耕作隊代表の伊澤光興さんは思い返す「農業で春野を元気にしたい。毎日のように仲間とそんな話ばかりしていた」
あるとき偶然にも声が掛かり、静岡文化芸術大学中山間地域支援サークル「LA-VOC(ラボック)」と知り合うことができた。なかなか踏み出せなかった自分たちの想いが、それをきっかけに一歩前に踏み出せることになった。

午前4時。辺りはだんだんと明るくなってくる。
夜明けも近い。
今回販売する分の収穫は、ほぼ終了。
さあ、これから直売を始めるまでに外皮をむき、
袋詰め作業を終えなければいけない。

春野で作られた野菜を春野で消費しよう。今はよそから買っているものを、俺たちが作ろう。それから町外にも出て行って、春野の名前をたくさんの人に知ってもらおう。
農業で春野を元気にしたいという想いを持った仲間が集まって、同じ目的で活動ができる。やりたいと考えていたことが実行に移せるチャンスが来て「待ってました!」という感じだったと伊澤さん。他の2人も「すぐにやりたい、って思った」「仲間ができてうれしかった」と当時を振り返る。
発足当初は、農家と大学生の十数人でスタートしたが、今は高校生や小・中学生、一般ボランティアなどが加わり、地域内外の幅広い世代が参加するようになった。なかでも、春野耕作隊の主力となっている大学生は、地域の想いに共感して、今では様々な場面で活躍している。
軽トラックの荷台に載せられるサイズの直売所は、木のぬくもりが感じられ、なおかつスタイリッシュに。また、販売用ビニール袋に貼るロゴマーク「はるのたべるの」は親しみやすい図案でかわいらしいピンク色に。これらは、大学生がデザインし制作したものだ。

午前9時。直売の開始時刻。
早くも夏の日差しが直売所を照らす。
運び込まれた朝採りトウモロコシが、
学生たちの笑顔と一緒に手渡されていく。
私たちが育てた春野の野菜をぜひ食べてほしい。

大学生が春野耕作隊に参加した理由は、人それぞれ。自然が好きだから、ボランティアがしてみたかったから、中山間地域に興味があったから…。
「俺が学生だったら、絶対こんな活動に参加してない。なんで来てくれるかわからない」と伊澤さんは首をかしげる。
「活動の中で、農家さん、サークルメンバー、地域の方々と関わっているうちに、人っていいなって、人と何かをする楽しさに惹かれて参加しているんだと思う。その楽しさで、なぜか春野に足が向いてしまうというか…」と一人の大学生は話してくれた。
楽しく来てくれているんだろうかと不安に思っていた伊澤さん。少しホッとするが、しかし、不安なことはまだある。春野耕作隊の活動が、春野を盛り上げることに繋がっているのかどうか。

「今年のトウモロコシはいいデキっすよ」
春野の空気と水に育まれた自信の一品。鮮度も味も、どこにも劣らない。そして、春野耕作隊の想いも込められている。
7月に毎週末行った町内直売イベントでは、苦戦を強いられたが、アイデアを出し合って、およそ4000本を売り切ることができた。

もうすぐ正午。さらに強い日差しが降り注ぐ。
直売は終了し、片付けも済んでひと休み。
深夜からの作業で疲労困憊。しかし、
充実感を存分に味わって、皆、満足げな表情だ。

信じてやっていくしかない。伊澤さんはそう言い切る。農業から頑張ることで春野を一つに、大家族のようにつながって、みんなで春野をよくしていこう。

〜春野を耕し春野を育て春野で生きる〜

 

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