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更新日:2019年3月31日
あまごにとって水は大事、でも「楽しさ」はもっと大事。(PDF:202KB)
「だいたい、あまごの養殖ってのは、1年で出荷するんだ。でもね、ここでは2年かけて世に出ていく。だから、おれたちの愛情がたっぷりなんだよね」
そう語るのは、もうここで20年もあまごの養殖をしている、清水さん、鈴木さん。小雨が降る中、長靴を履いた2人は、今日もあまごの様子を心配そうに見に来ます。
4人のメンバーで今年も、およそ4万個の卵をふ化させました。その中で、順調に生育するのは、1万個くらいだとか。「ちょっとしたことで、ダメになっちゃう。それが、汚れなのか、温度なのか。原因はさまざまだね」2年の間には、数々の困難が待ち受けているのです。
今年の夏も、とても暑かった天竜区。ここのあまごたちも、がんばってこの夏を乗り越えてきました。「水温が15度を超えると、伝染病にかかりやすくなるんだよね」。
5つある水槽を、毎日欠かさず見守ってきました。水温が上がると、病気が一気に広がってしまいます。「水温、水の量には神経を使うよね。なんとか、この夏はよかったけど、いつだったかな~、何年か前には全滅してしまってね。かわいそうだったな」。
つらい思い出も語ってくれました。
「何より、ここはきれいな水があるからね。しかも、冷たい。あまごにとっては、いちばんの場所じゃないかな」そう微笑む目線の先には、大きく育ったあまご。
コンコンと湧いている水を利用したこのあまごの養殖。20年前にそこに目をつけ、清水さんたちが資金や資材を持ち寄り、自分たちでこの養殖を始めました。
「まったく、割に合ったもんじゃないよ(笑)。趣味っていうか、楽しみっていうか。まぁ生きていく”張り合い”かな」
自宅の車庫も、いつの間にかあまごのための倉庫に。「これがふ化させる道具で、これが、エサをあたえる道具で…」車は肩身が狭そう。
手間がかかり、気も使い、しかも、儲かりもしない。でも、どうして、皆さんは続けているのでしょう?そんな愚問を投げかけてみました。
「あはは、そうだよな。でもね、みんな楽しそうにやってるんだよ。腰や肩や、みんなどこかしら痛いんだけど。最終的に、出荷するのは9千匹くらいかな。いろいろな所へね。その時に”いいアマゴだね”とか”きれいだね”とか喜んでもらえる。その時は今までの苦労が、一気に吹き飛ぶよね」
この冬、また4万個の卵をふ化させる皆さん。
「腰は痛いし、指先は冷たいし、ほんと割に合わんな…」でも、やっぱり笑顔なんですよね。
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