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特集

2011年11月5日号 表紙へ

森林の新しい使い方あります

私たちの生活に欠かせない水を蓄えたり、酸素をつくりだしたりするだけでなく、家や学校などの建物の材料、彩り豊かな風景などさまざまな形でその恩恵を与えてくれる森林。森林は守るべき地域の宝です。
今回の特集では、森林を持続可能なものとするための、価値ある森林づくりと新しい森林の使い方を紹介します。
森

市域の7割を占める森林

市内の森林面積はおよそ10万3000ha。これは全国の市町村の中で第2位の面積を誇る浜松市のおよそ70%に当たる広さです。また、北遠地域を中心に広がる市内の森林のうち、およそ76%は人工林。本市の天竜地域は、三重県の尾鷲や奈良県の吉野と並んで日本三大人工美林に称される日本有数の木材産地です。
 
しかし、近年、世界中で天然林の違法伐採が行われ、安価な輸入木材などの影響により、地域の林業が衰退し、森林が荒廃の危機に直面しています。それは浜松でも例外ではありません。荒れてしまった森林は、私たちの暮らしを安全で快適にしてくれる多くの役割を果たせなくなってしまいます。

持続可能な森林に必要な循環
育てる→伐る→製品にする→使う→

まちの暮らしを支える森林

森林が荒れることによって困るのは、林業に関わる人や山間部に住む人たちだけではありません。森林は都市部に住む人たちの暮らしをさまざまな形で支えています。
 
たとえば、水。森林に降った雨が、森林の保水力や浄化力により生活に欠かせない水資源になります。そして、川に流れ込む水の量を調節することで洪水などの災害を防いでくれます。この他にも、生物多様性の保全や地球温暖化の防止など地球規模での大切な役割も果たしています。

森林を守るために私たちができること

こうした多くの恵みをもたらしてくれる森林の荒廃を防ぐためには、木を使うことが必要です。木を育てる人、製品にする人、使う人。この3者が結びつき、バランスの取れた需要と供給が保たれ、「育てて、伐って、使って、植える」という循環があることで持続可能な森林になります。  

市では、森林管理に対する意識向上や環境ブランドの確立、また木質資源の新たな活用として、FSC森林認証の取得を進めたり、木質ペレットの生産・使用を促進したりしています。

価値ある森林を創りだすためのFSC森林認証

森林を守るための国際認証

FSCマーク
FSC森林認証とは、「森林が適切に管理されているか」を第三者機関が国際的に統一された基準によって、審査・認証する制度で、持続可能な森林を守るための効果的な仕組みです。
 
認証を得た森林から生産された木材にはFSCの文字やロゴマークが付けられます。このマークがあることによって、消費者はFSC認証林から生産された製品を選んで使用することができ、これが持続可能な森林づくりの支援につながります。
※FSC/Forest Stewardship Council(R)(森林管理協議会)
浜松市産のFSC材 浜松市産のFSC材

日本最大のFSCの森

平成22年3月、天竜区と北区引佐地域にある1万8400haの森林が、FSC認証林として認められました。その後、取得面積は3万6494haに拡大し、市町村別取得面積で日本一になりました(平成23年10月24日現在)。FSC認証林は、日本の森林のおよそ1・5%しかありません。世界基準で管理され、環境に配慮された貴重な森林が浜松市にはあるのです。

FSC材を使うメリット

浜松市産のFSC材を使うメリットは、森林を守ることだけではありません。
 
どこで、どのように育ったのかが分かることにより、「生産者の顔」が見え、安心して使うことができます。また、木材は湿気を吸収したり放出したりする機能を持っています。さらに、車で数十分の所で育った木を使うことと、はるか遠くから運んでくる外国の木材を使うことでは、輸送にかかるエネルギーは比べるまでもありません。
 
地元でできたものを地元で消費する地産地消のメリットは、木材でも同じです。浜松市産の優れた木材を使って、環境にも地域にもやさしい暮らしをしてみませんか。

地元の木に触れ、目で楽しんで、森林を身近に感じてもらいたい

天竜地域は、日本三大人工美林といわれる森林が広がる歴史ある林業地です。昔から続けてきた森林管理の技術があったため、FSC森林認証を取得した後も、私たちの管理の方法はほとんど変わっていません。今までやってきたことが正しかったというお墨付きをもらった感じです。
 
これからは、FSC森林認証を一つのツールとして、これまで守ってきた森林を、次の世代に受け継いでいきたい。地元にたくさんの良質な木があること、それが貴重で環境にもやさしいことを知ってもらい、「地元の木を使いたい」と言ってもらえるようにしたいですね。地元の木を使ってもらえば、森林も元気になり、森林の循環も守られます。
 
私たちにとっても、木を使ってもらうことはうれしいことです。前の世代から受け継いで育てた木を、この先何十年、何百年と使ってもらえるんですから。木を目で見える形で家に使ったり、日曜大工で木を使ったりと使い方は人それぞれ。まずは、木に触れ、目で楽しんで、身近に感じてもらいたいですね。
天竜林業研究会 熊平智司さん 鈴木耕治さん 
天竜林業研究会
熊平智司さん 鈴木耕治さん 

新しい森林の使い方、木質ペレット

再生可能なクリーンエネルギー

市が進めている新しい取り組みが木質ペレットの生産と使用の促進です。木質ペレットとは、木材を圧縮成型した小型の燃料。森林づくりや木材加工の過程で発生する間伐材や木くずなど、これまであまり利用されていなかった資源が原料になります。そのため、「育てて、伐って、使って、植える」という循環を守ることでいつまでも使うことができる、再生可能な新たなエネルギーです。
 
また、燃焼する時に発生する二酸化炭素は、原料の木が成長する時に吸収する二酸化炭素の量と同じであるため、大気中の二酸化炭素の量を増加させません。化石燃料に比べて環境にやさしいクリーンなエネルギーです。

新しい循環が生まれています

今年6月には天竜区龍山町の工場で木質ペレットの生産が始まり、新しい森林の循環が生まれました。浜松の森林の間伐材や木くずを使った木質ペレットを、地元に住む私たちが使うことで浜松の森林が育っていきます。
地域で作られた木質ペレットを使って、皆さんも新しい森林の使い方を始めてみませんか。

木質ペレット
木質ペレットの特長
木質ペレット
●効率的なエネルギー
薪などに比べて発熱量が大きい
●再生可能なエネルギー
原料が再生可能な間伐材や木くず
●取り扱いが簡単
薪ストーブに比べて火がつきやすい
●環境にやさしいエネルギー
石油ストーブに比べて余計な二酸化炭素を排出しない

こんな所で使われています
●ペレットストーブ
木質ペレットを燃焼した熱で室内を暖めます。点火や温度調整を自動でしてくれるものが多く、薪ストーブより手軽に使えます。
春野地域自治センターに設置しているペレットストーブ
春野地域自治センターに設置しているペレットストーブ

●冷暖房用・農業用などのボイラー
企業などでは建物内の空調に、農家ではビニールハウス内の温度調整に使用されています。
天竜区役所に設置している冷暖房機
天竜区役所に設置している冷暖房機

豊かな森林を最大限に生かした天竜区役所

全国初!!公共建築物の一部にFSC材を使用
天竜区役所は、平成23年3月に完成。入口から一歩中に進むと木特有のすがすがしい香りと落ち着いた雰囲気を感じることができます。庁舎内には天竜区内で生産された木材をふんだんに使用しており、天井の小屋組を露出させたり、柱やはりなどをできる限り見せたりすることで、木を感じることができる造りになっています。
 
この他にも、腰壁や受水槽、家具類にはFSC認証林から産出された木材を使用しています。公共建築物の一部にFSC材が使用されたのは、全国初のことです。

森林を生かすエコ庁舎
地元の木を利用した庁舎内の空調には、電気の他、木質ペレットを燃料にするエアコンも利用します。この設備に浜松の森林から作られたペレットを使うことで、浜松の森林を有効に使うことができます。
天竜区役所1階市民ホール
天竜区役所1階市民ホール

地元で作った木質ペレットを、森林と環境のために使ってほしい

龍山森林組合 組合長 片桐滋人さん
木を燃やすことは、悪いことというイメージがあるかもしれません。しかし、木質ペレットを燃やすことは森林のためにも、環境のためにもいいことなのです。
 
木質ペレットの原料になる間伐材や端材は、材料としての使い道があまりなく、森林に残されるか、捨てられてしまっていることが多いのです。それを少しでも減らして、資源を使い切り、付加価値のあるものにすることで森林の循環を助けるものになります。また、木質ペレットは化石燃料に比べて環境にやさしいエネルギーです。地元のものを使うことが環境への配慮にもつながるということは、とても良いことだと思います。
 
木質ペレットは、寒冷地では普及が進んでいますが、浜松ではまだまだ進んでいません。ストーブだけでなく、冷暖房や発電などいろいろな使い方ができますし、石油に比べて環境にやさしく、薪に比べて、使いやすいものです。家庭でも企業でも、どんどん木質ペレットを使ってもらい普及が進んでほしいですね。

浜松の森林を使うための補助制度

天竜材の家/百年住居る事業
市内で生産・加工された地域材を一定量使用した木造住宅を建築する人に、費用の一部を助成します。
〈補助率〉
1m2当たり3000円・上限30万円
※FSC森林認証材を使用した場合、追加助成(10万円)があります。
※詳しくは農林業振興課(TEL 457-2159)へお問い合わせいただくか、市ホームページ(トップ→暮らす→浜松の農・林・水産→市民のみなさまへ)をご覧ください。

ペレットストーブの購入・設置補助
木質ペレットを使用するストーブを、購入・設置する個人、法人、団体などに設置費を含む購入費用の一部を助成します。
〈補助率〉
購入および設置費用の3分の1以内(上限5万円)
〈対象〉
市内の住居または店舗などに木質ペレットストーブを設置する個人、法人、団体などで、市内で生産された木質ペレットを使用するもの
※詳しくは農林水産政策課(TEL 457-2334)へお問い合わせいただくか、市ホームページ(トップ→暮らす→浜松の農・林・水産→市民のみなさまへ)をご覧ください。

●今回の特集に対するご意見、ご要望は農林水産政策課(TEL 457-2334)へお寄せください。

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浜松市役所広聴広報課

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