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全市版 広報はままつ

2009年1月5日号 表紙へ
特集 世界に羽ばたけ 浜松のひと・もの・未来
 時を超えて、現在もその姿をとどめている浜松城の石垣。そして、同じように時を超えて引き継がれていく、浜松の気質と風土。
 新たな年を迎えて、未来の夢に思いをはせてみませんか…。

世界に羽ばたけ 浜松のひと・もの・未来

 浜松市は、繊維、楽器、輸送用機器の三大産業が発展の原動力となり、今では世界を舞台に活躍する大企業や、高度なオンリーワン、ナンバーワン技術を有する中小・ベンチャー企業が集積する産業都市へと成長してきました。また近年、光・電子関連産業も急速に成長を遂げつつあり、航空宇宙産業への参入や医療、農業、工業とが連携した新事業も展開されてきています。
 その歴史は、江戸時代までさかのぼり、浜松藩主が繊維業を持ち込んだことをきっかけに、そこから続く綿織物業と製材業がルーツとなっています。そして、産業の発展には、わたしたちが住む浜松の気質や風土も大きく関係しているのです。
 その一つが、「やらまいか精神」。この言葉には、「何かをしよう」「とにかくやってみよう」という二つの意味が込められています。
 浜松地域の企業は、難易度の高い技術や部品の生産などに積極的に取り組んできました。その技術が発展・高度化した結果、さらに新たな産業技術の開発が展開されてきたのです。
 そしてもう一つは、「開放的で新しいもの(ひと、もの)を受け入れる土地柄」。これは浜松城が出世城と呼ばれる藩主の出世コースとなっていて、頻繁に藩主が交代したことも影響しているようです。
 新たな文化や風習が入り込み融合したことに加え、藩主だった人物が出世した後に浜松へ恩返しをしたことで、たとえ新参者であっても、見込みのある人物には地元を挙げて応援するという地域性が生まれたといわれています。
 このような気質と風土の中から、創り出された「世界初」「日本初」の技術や製品は数多く、挙げれば切りがありません。そして今、ものづくりのまちとして歩んできた、浜松市の産業を取り巻く状況は、どのようになっているのでしょうか。これから浜松市がさらに成長していくためのポイントを、「人」をキーワードに考えてみます。

人は財 ものづくりDNAを継承する“人財”育成
 情報技術社会(IT社会)の進展や、生産拠点の海外移転などを受け、製造業の就業者数は減少傾向にあると言われています。そして、団塊世代の一斉定年退職や少子高齢化の急速な進展。近年の経済や産業構造、社会環境の変化が長年にわたり蓄積してきた知識や技能の伝承を、より難しくしています。
 地域活性化のためにも、『ものづくり産業』を担う『人財』育成の必要性は、一層高まってきています。では、浜松市での『人財』育成支援はどうなっているのでしょうか。
 ここでは、市が行っている子どもから社会人までの人財育成プログラムの一部を紹介します。
 例えば、主に小・中学生を対象にした「起業家精神啓発事業」では、早い時期から職業意識や起業・創業意欲を高めるために、自ら企業を経営する人が学校を訪れ、授業をします。また、主に社会人を対象とした「事業開発マネジメント専攻」では、次世代の経営者を育成するため、技術と感性を磨く企業経営のための講座を行っています。
 このように、学校教育を通しての取り組みや企業、大学による支援・強化など、産学官が連携をしながら、段階的かつ戦略的に取り組みを進めています。

※ものづくり産業…
 ハードウェアだけでなく、設計、品質、顧客管理などに携わるデジタルや情報技術、さらにはデザイン、販売、アフターサービスにかかわるソフトウェアなども含め、創造的で知的な「ものづくり」に関連する産業と定義しています。
※人財…
 「人」は、産業活動の根幹をなす宝、財産であるとの思いから『人財』と表現しています。

小学生
●理科支援員等配置事業
●親子ものづくり教室、天文教室
●起業家精神啓発事業(小学生〜高校生)
●ものづくり・理科地域支援ネットワーク 
 「浜松RAIN房」(小学生〜社会人)
●科学館サイエンスショー(小・中学生)
●不思議な科学講座(小・中学生)
小学生

中学生
●サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト
 (小・中学生)
●ロボット組み立て教室
●宇宙へのチャレンジ教室(小・中学生)
●ものづくり教育はままつ10年構想
 (小学生〜社会人)
中学生

高校生
●工業高校専門実習
●ひらめき☆ときめきサイエンス
 (小学生〜高校生)
●ロボット・機械クラブ
●高大連携出張授業、公開講座
●産学官連携による企業人財育成事業
高校生

大学生
●知の拠点活用による浜松ものづくり産業再生計画
●はままつビジネスコンテスト(大学生・社会人)
●県西部高等教育ネットワーク会議
●21世紀COEプログラム
●技術者の実践対応力育成カリキュラム
●若手グローバル研究リーダー育成プログラム
大学生

社会人
●実践活動
 (静岡大学事業開発マネジメント専攻、技術経営講座など)
●浜松市工業専門学院
●製造中核人財育成講座
●はままつデジタル・マイスター養成プログラム
●制御系組込みシステムアーキテクト養成プログラム
●メディカルホトニクス・コース
●ものづくり社会人育成セミナー
●新素材・新成形技術講座
●パワーエレクトロニクス技術講座
●光技術や宇宙航空技術などの研究会活動
社会人

社会人

地域産業の活性化を自らの力で実現 次世代の産業基盤を創る
はままつ産業創造センター
 浜松地域のものづくり産業の成長と発展に必要な人財育成、知的財産活用、創業・新事業創出などをワンストップ・一貫型で支援する総合窓口が、はままつ産業創造センターです。
 平成19年7月、浜松市創業都市構想(18年度策定)の実践拠点として、浜松商工会議所会館内に市が設置し、技術や経営、創業、知的財産関連の相談などにも応じています。
 また、技術動向なども踏まえた「21世紀の浜松を支える人財育成体系」を作り、新時代の技術者に必要な専門スキルや、次世代経営者のためのマネジメント力を習得できる事業などを展開しています。

わたしの夢 はままつものづくり未来予想図
“不思議”は、調べて分かればおもしろい
富田胡桃さん
県学生科学賞県教育長賞受賞
東小学校3年
富田胡桃さん(9歳)

 お茶碗など瀬戸物でできている器に熱い物を入れると、手で持てないくらい熱いのですが、お椀やプラスチックの器はそれほど熱く感じません。ご飯を食べているとき、それはどうしてだろうと思い、夏休みの自由研究で調べてみることにしました。
 わたしは、理科の実験が大好きです。調べてみないと答えが分からない。でも、調べてみて答えが分かればおもしろいからです。お湯の冷め方の実験では、分かったこと、驚いたことがたくさんあったけど、熱や空気についてはまだまだ分からないことばかり。だから今度は、空気の暖まり方も調べたいな。


世界レベルの産業開発に貢献できる技術者に
米山哲平さん
ものづくりコンテスト全国大会電子回路組立部門準優勝
浜松城北工業高校電子科3年
米山哲平さん( 17歳)

 小さいころから、ブロックで何かを作りあげる遊びが好きでした。そして、ゲームをやるようになってからは、もっとこうしたら面白い、自分だったら…と思い、自ら開発することにも興味を持ち始めました。
 高校生活では、友人から刺激を受けたり、先輩や後輩とのつながりを深めたりすることも、知識や技能の習得に役立ちました。でも、さらに幅広い知識を吸収するためには、一度は地元を離れて自分を磨く必要があると思っています。将来は浜松に戻ってきて、みんなをアッと驚かせるものが開発できるような技術者になりたいです。


ネットワークを広げ、一歩踏み出す勇気を持とう
池田貴裕さん
光関連ベンチャー企業経営者
光産業創成大学院大学博士課程
池田貴裕さん( 33歳)

 法人を設立し代表者となったことで、多くの人たちと交流するようになり、社会とのネットワークが広がりました。夢に向かって苦しい思いをして頑張り、お互いに支援し合い成長することによって、自信が持てるようになり、未知の世界に踏み込む勇気が生まれてきました。そうした人との出会いを大事にしていきたいと思っています。
 次に続く人たちの勇気となるように、自分が苦難の末に行った起業実践の数々をまとめて、論文として残したいと思います。今後は、子どもを育てることと同様に、責任を持って会社を育て、成長させていきたいですね。


自分自身の枠を作らないそれが秘訣
中村健二さん
食品加工・卸・販売会社経営者
中村健二さん( 48歳)


 傷やへこみなどで出荷できないミカンや柿、捨てられるようなニンジンやタマネギの葉の部分を、何とか使える道はないか、どうしたら余すことなく使い切れるか。それを考えることから、わたしの「ものづくり」は始まりました。
 医学的に、商業的に、工業的になど違う分野から見ることで、農産物にも付加価値が付いてくるんです。それらのノウハウを得ることができたのは、営業マン時代のネットワークのおかげですね。
 もちろん、失敗もたくさんしました。でもそこで、自分自身の枠を作らない。それが秘訣です。多種多様な農産物から即、動力を得られるエンジンを作り出したい。それが夢です。


浜松の人、モノ大好き!だから、からだ全体で表現
木村玲美さん
ITコーディネータ・企業経営者
木村玲美さん( 46歳)

 この着物は、浜松産の素材を使って作ったもの。これを着ることによって、浜松を愛していることをわたし自身で表現しています。少しずつでも、こうして行動することが、地域の活性化につながると思っています。浜松はものづくりが得意なのだから、市内外にもっと、情報発信していかないといけないですね。
 新しい人を受け入れる。外に出た人は新しいものを持ち帰る。それをみんなでアレンジする。わたしは、「受け入れられた」側ですが、そんなオープンさが浜松の素晴らしいところです。
 今、不況のときこそが、チャンス。浜松人の心意気、感性の高さでそれも必ず乗り越えられると思います。


「きっとできるはず」その気持ちで新しい光技術を
川人祥二さん
静岡大学電子工学研究所教授
光関連ベンチャー企業最高技術責任者
川人祥二さん( 47歳)

 「逆光でもきれいな写真が撮りたい」、「防犯カメラももっと鮮明に写れば、いざというときに役立つのに」そう思ったことはありませんか。それが可能となるイメージセンサの開発を、産学官連携で進める知的クラスター創成事業で研究開発しています。
 究極は人間の目を超えるイメージセンサの実現ですね。人間の目は大変性能が良く、暗いところでものを見ても、光の揺らぎも見えないし、ノイズも発生しない。簡単ではないかもしれませんが、今後研究していけばきっとできるはずです。近い将来、皆さんの生活の中にも、この技術は生かされていくと思います。

輝く未来… “ものづくり”は“ひとづくり”
起業家の巣立ちを応援
 次世代を担う起業家を支援する施設が、市内にあることをご存じですか。静岡大学浜松キャンパスの北西すぐに、浜松イノベーションキューブ(以下、ハイ・キューブ)はあります。
 ハイ・キューブは、ベンチャー企業の創出や中小企業の新事業展開を促進し、地域産業の振興を目指して平成18年8月にオープンした、起業家支援施設です。県と市、中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)とが協力し、運営しています。
超小型自動車
ハイ・キューブ入居企業が中心となって試作した
電気自動車などの超小型自動車


浜松の技術力とポテンシャル
 ハイ・キューブの※インキュベーションマネージャー(以下、IM)松浦浩規さんにお話を伺いました。
 「ここには、光電子や電気・機械・設計制御・IT関連企業などに至るまで、30社もの新進気鋭のものづくりベンチャー企業や中小企業が入居しています」と、松浦さん。技術や経営、マッチングなどの面から、計5人のIMが入居企業の研究開発や事業展開を、ほかの産業支援機関と連携して支援しているそうです。
 松浦さんは、浜松の企業の前向きさ、革新的な姿勢に日々、感心させられているとのこと。ハイ・キューブの入居企業の技術力とポテンシャル(潜在能力)は、中小機構が運営に携わる全国33カ所の施設の中でもトップクラスに評価されています。
 「支援した企業が浜松、ひいては日本を代表する企業に成長するのを見届けたい」と夢を語ってくれました。
※インキュベーション … 孵化の意味から転じた経済用語で、新規起業を支援すること

世界は思っているより近い。夢は実現できるはず
 アメリカのカリフォルニア州北部にあるシリコンバレーは、ハイテク企業の集積地として名高い地域です。そこでは、世界標準となり得る技術が、次から次へと生み出されています。そのシリコンバレーが大きく発展を遂げた要因は、多様な文化や人を受け入れ、新しい考え方に対しても開放的であることなどが挙げられています。
 そして、わたしたちのまち浜松。その気質と風土は、シリコンバレーとよく似ています。わたしたちが受け継いできたDNA(遺伝子)は、世界を驚かすものを続々と生み出す可能性を十分に持っているのです。
 世界からその技術が注目される技術者や研究者の存在。夢を実現しようという起業家の存在。そして、未来に向けて瞳を輝かせる子どもたち。「人」は『人財』となって、次世代のものづくりを目指し続けています。
 浜松商工会議所、テクノポリス推進機構、はままつ産業創造センターなどはもちろん、金融機関、静岡大学などの研究機関、行政の産学官も密接にかかわりあって、強固で密着した産業支援を行っています。
 常に顔の見えるネットワークを構築し、さまざまな取り組みをし続けている浜松のものづくり産業は、世界という大空に向かって、これからもさらに羽ばたいていくのです。

取材を終えて
 大工などの職人は、親方が弟子を鍛え、育て上げる。まさに、その師弟関係という人と人とのつながりが「ひとづくり」を実現し、「ものづくり」を支え継承させてきました。
 『人財』は、人と人とのつながりから生まれる。そして、そのつながりを数多く形成できる環境でこそ、新しいものが作り出されるのではないだろうか。ふと、そう思いました。
 ハイ・キューブでは、入居企業の月例交流会に地元企業が飛び入り参加することも多いと聞きました。また、子どもたちは親兄弟、指導者、友人から刺激を受けながら成長し続けるものだということも、お話を伺っていて改めて認識し直すことにもなりました。そして、一つの共通点を見つけました。それは全員が「根気強く貫き通す信念」を持っていたということです。
 人は、周囲の人の支援によって『人財』になり得るのかもしれません。しかし、それだけでなくその人自身も「財」となるものを持ち合わせていた、あるいは自ら培ってきたのだということではないでしょうか。

第19回「はままつメッセ2009」で浜松のイノベーションに触れよう!
 企業や大学などの研究機関による技術の融合、取引、提携などの促進を目的とした、地域最大の展示商談会です。
 新たに開発されたIT、情報関連、電気、電子部品などの先端技術から環境問題に対応した製品が一堂に集まります。
日時 2月5日(木) 午前10時〜午後5時
   2月6日(金) 午前9時30分〜午後4時
場所 グランドホテル浜松2階鳳の間
※当日、直接会場へお越しください。

●今回の特集に関するご意見・ご感想は産業政策課(TEL457-2044)までお寄せください。

お問い合わせ先

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