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更新日:2022年12月26日

浜松市ユニバーサル農業研究会インタビュー「まるたか農園・鈴木崇司」

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まるたか農園 鈴木崇司

プロフィール

 浜松市浜浜名区都田町で、中玉トマト、ミニトマト、梨の生産を行う「まるたか農園」を経営。自身のアレルギー体質による経験から、健康へ配慮した有機肥料を中心とした土耕栽培を行う。平成27年度静岡県ふじのくに未来をひらく農林漁業奨励賞を受賞。(平成29年1月)

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(PDF版:2,553KB)

 

近年、規模拡大を果たしてきたまるたか農園

 当園は、浜名区都田町でトマト・ミニトマト・梨を生産している農園です。健康な食材を通じて食生活を豊かにすることや身体の健康に貢献すること、また食育を通じて未来を担う子供たちが豊かな人生を作るお手伝いをすることを経営理念としています。

 農園では私のほか従業員1名、パートさん5名と両親が働いていますが、そのほか作業委託として主に特例子会社の(株)ひなりさんへ収穫作業をお願いしています。ひなりさん以外にも作業を請け負ってくれる福祉施設に除草作業をお願いしたり、果実ジュースの加工販売している施設にトマトを卸すなど、地域内の福祉分野の方々と何かと連携をさせていただいています。

 ひなりさんにお願いしている農作業は、ミニトマトの収穫です。以前は家族経営でしかなかった当園ですが、ここ4年間で圃場の規模は2倍となりました。このように規模拡大を進めてこれたのは、ひなりさんとの出会いがきっかけにあります。

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ハートのマークが入ったオリジナル商品「ハピフルトマト」の開発など新しい取組みも積極的に行っている

 

ひなりとの連携のはじまり

 ひなりさんに農作業をお願いするようになったのは、ちょうど4年ほど前からになります。

 もともと当園ではパートさん2人を雇って中玉トマトの生産を行っていましたが、そんな頃、新たに畑を借りてミニトマト生産で規模拡大をしないかという話がありました。せっかくのお話ではあるものの当時のうちの労働力では難しいと思い、お断りする方向で検討していたのですが、ちょうどその時に農作業受託をしているというひなりさんを紹介してくれる方がいて、試しにミニトマトの収穫をやらせてみてくれませんか?という提案もあり、試験的に圃場の一部で栽培と収穫を行うことになりました。正直、最初は障がいのある方に収穫の作業ができるかな?という気持ちがありました。それまで障がい者さんと関わることはほとんどありませんでしたし、どの程度の作業ができるのかが全く分からなかったのです。

 実際にお願いしてみて、本当に助かったというのが率直な感想です。当初は、収穫適期の実とそうでないものの判断が難しいところもありましたが、サポートマネージャー(障がい者スタッフと共に来て作業の管理をしてくれる健常者)とともに客観的に識別しやすい方法を検討するなど色々と工夫をしていく中で、だんだんと慣れてきました。作業の内容や計画などについては、全てサポートマネージャーと話をしています。計画した作業量をきっちりとしてくれますし、その日にあったことや数値的なことなど、細かな部分も報告してくれるのでとても助かっています。

 ひなりさんの障がい者スタッフは、みんなまじめでまっすぐです。てきぱきと仕事をしてくれますし、夏場など季節によってはどうしても大変な時期もありますが、一生懸命作業してくれるので頼りになっています。僕は、なるべく一人一人に声を掛けて趣味の話をするなどコミュニケーションをとるようにしているのですが、スタッフのみんなも大きな声で明るく挨拶してくれるんですよね。圃場規模の拡大に伴って、パートさんも含め働く人がここ数年で増えてきましたが、農園の雰囲気もとても明るくなりました。

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農作業を委託する農業者としては、作業の管理を全てお願いできるサポートマネージャーの存在が大きい。

 

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元気なあいさつや趣味の話など、日々のコミュニケーションが農園の明るい雰囲気づくりにつながっている。

 

農園の中で起こった変化

 ひなりさんの提案から、農園に変化のあったこともあります。ひとつは、作業している人の名前を書いた看板を列の入り口につけるようになりました。この人がここまでやっていると誰もが分かるようになり収穫作業が効率的になったのですが、こうしたことは簡単なことのようでなかなか自分たちでは気付かなかったことです。今はパートさんにも同じように看板をつけてもらっていて、農園全体で実施しています。

 また、通路を広くとるようになりました。これまでは自分だけが作業することを考えて圃場を作ってきましたが、誰もが作業のしやすい環境整備を意識するようになったことで、障がいのある方にも、パートさんにも、また自分にとっても良い環境の農園になってきていると思います。

 また、ひなりさんにお願いするようになった頃から、新たに作った販路もあります。通常、ミニトマトはへたがついた状態で出荷するためへたを残して収穫をするのですが、少し技術を要するので収穫作業のネックになっていました。これは、障がいのある方の作業に限った話ではなく、パートさんが作業する場合でも同じように神経を使う部分でした。そこで、へたを取った状態で出荷できる販売先も新たに確保しました。今は作業者や販路によって収穫物をコントロールできるようにもなり、良いきっかけになったと思います。

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サインの設置や通路が広くなるなど、誰もが働きやすい圃場へと変化してきている。

 

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4年間でトマトを生産するハウスは2倍となり、新たな販路の開拓にもつながった。

 

農業経営者としてのこれから

 安全性とおいしさにこだわった農産物を作りたいという想いで就農した当時、僕はトマトを作ること全てを自分でやらなきゃいけないと思っていました。それが、ひなりさんとの連携をひとつのきっかけとして、誰かにお願いできる、助けてもらうことができるんだということが分かってきました。

 やはり、人それぞれで得意なこと不得意なことがあります。それは障がい者の方に限ったことではなく、パートさんや、自分自身のことについてもそう。僕よりも、障がい者スタッフさんやパートさんのほうが上手にこなす作業もあります。だから、今はそういう皆さんが働くこの農園をどううまく回るようにするか、ということに意識が向くようになってきました。作物作りに関しても、以前はとにかくおいしいトマトを作るという事だけを考えていましたが、今はお願いする仕事を作りだすことや、より良い職場環境を作るといった、広い視点で農園のことを考えるようになっていると思います。

 4年前、5反(約5,000平方メートル)だった栽培面積も、現在2倍となり、今も規模拡大を計画しています。当園にとっては、ひなりさんがいてくれたからこその今があります。農園で障がいのある方の受け入れをしていると、時には社会貢献のような視点で反響をいただくこともあるのですが、正直、僕自身は福祉のために何かをしているという意識は全然なくて、ただただ皆さんのおかげで今の仕事ができているのが率直な気持ちです。こうしたことにお返しするためには、なるべく一年を通してお願いできる仕事を作らなければいけない。今は助けてもらっている一方ですが、今後も規模を拡大し作業を作り出していくことが、お返しに繋がるのかなと思っています。

 これからも、この農園で働いてくれるみんながそれぞれの力を発揮してくれること、そうした力を借りていくことで、地域の農園としての価値が高まっていけば嬉しいですね。

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地域の農園として役割を果たしていくことも経営意欲のひとつとなっている

 

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ファクス番号:050-3606-6171

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