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更新日:2023年4月5日
2013年8月
平成23年3月11日に三陸沖から茨城県沖までを震源とするマグニチュード9.0の大規模地震が発生しました。この地震と地震に伴って発生した大津波により、東京電力福島第一原子力発電所が被害を受け、放射性物質が放出されるという重大な事故が発生しました。
事故後、当研究所では浜松市内に流通する食品や、学校給食に使われる食材について、市民の皆様の食の安全、安心を確保するために、検査をおこなっています。今回はその概要を紹介します。
食品中の放射性物質の基準値は平成24年4月から新基準値(表1)となりました。放射性物質を含んだ食品からの被ばく線量の上限を、年間5ミリシーベルトから年間1ミリシーベルトに引き下げ、これをもとに放射性セシウムの基準値が設定されました。
この基準値は、セシウム以外の影響も考慮されています。被ばく線量は、セシウムからの影響が大半であること、また、セシウム以外は測定に極めて時間がかかることから、他の放射性物質の影響を計算に含めたうえで、セシウムが指標として用いられています。
一般食品の基準値はすべての年齢の方の安全を考慮して決められています。牛乳・乳幼児用食品は、お子さんの摂取量が多いこと、国産の割合が高いことなどからお子さんへの一層の配慮として、より厳しい基準値が設定されています。
表1 放射性セシウムの基準値(単位:ベクレル/kg) |
||||
---|---|---|---|---|
食品群 |
一般食品 |
乳幼児食品 |
牛乳 |
飲料水 |
基準値 |
100 |
50 |
50 |
10 |
当研究所では、浜松市内に流通している食品、学校給食で使用予定の食材(農水産物及び加工品など)について、それぞれ週1回4検体を検査しています。検査は平成23年11月から実施しており、放射性ヨウ素(I-131)、放射性セシウム(Cs-134、Cs-137)を測定しています。平成24年度は321件、すべて基準値以内でした。(表2)
表2 放射性物質の検査食品数(平成24年度) |
||||
---|---|---|---|---|
食品群 |
一般食品 |
乳幼児食品 |
牛乳 |
飲料水 |
流通食品 |
136 |
2 |
16 |
8 |
給食用食材 |
155 |
- |
- |
1 |
ベクレル |
放射性物質が放射線を出す能力の強さを表す単位 |
---|---|
シーベルト |
放射線による人体への影響の大きさを表す単位 |
◆ お金に例えてみると…
硬貨の枚数が放射能量(ベクレル)に相当し、合計金額が人体への影響度合い(シーベルト)に
相当します。
同じ放射能量(ベクレル)でも、人体への影響度合い(シーベルト)が違う場合があります。
当研究所では、平成23年11月に放射能を測定するために、ゲルマニウム半導体検出器(図1)を導入し、国が示しているマニュアルに沿って、次ページの方法で放射能検査をおこなっています。図2は試料を入れるための専用の容器です。
図1 ゲルマニウム半導体検出器
(キャンベラ社製GC2020)
図2 左:U8容器(固体試料) 右:2Lマリネリ容器(液体試料)
放射性物質は、放射線を出しながら、最終的に安定した物質へ変化し、放射線を出さなくなります。
つまり、放射線を出す能力(放射能)は時間がたつと減っていくのです。この減る割合は放射性物質の種類によって異なります。この放射能が半分になる時間を半減期といいます。
放射性物質の半減期 |
|
---|---|
放射性物質 |
半減期 |
セシウム134 |
2.1年 |
セシウム137 |
30.2年 |
ヨウ素131 |
8日 |
ヨウ素131では8日でもともとの能力の半分になり、16日で4分の1になります。
[1]検体の搬入
計画に基づき、保健所の生活衛生課や教育委員会が食材を搬入します。
[2]前処理
国のマニュアルに沿って前処理をおこないます。通常食べる部分のみを細かく切って試料とします。
[3]測定容器への充填
放射能測定専用の容器にすきまなく充填します。
[4]ゲルマニウム半導体検出器による測定
通常1時間程度測定をおこないます。測定後、解析をし、結果を確定します。
毎週の検査結果は浜松市及び浜松市教育委員会保健給食課のホームページにそれぞれ公表されています。
当研究所で検査した食品のなかで基準を超えたものはありませんが、今後も全国的な動向を踏まえ、食の安全・安心を確保するため関係機関と連携し、検査を続けていきます。
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