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更新日:2023年3月24日

文化財情報vol.30

はままつの文化財

浜松市文化財情報

Vol.30 平成22年9月15日

無形民俗文化財を次代へ・・・~横尾歌舞伎の取り組み~

9月も半ばを過ぎました。
これから浜松市内は民俗芸能のシーズンを迎えます。
そこで今回は、10月9日(土曜日)、10日(日曜日)の両日定期公演が行われる県指定無形民俗文化財「横尾歌舞伎」の伝承活動を紹介したいと思います。

横尾歌舞伎とは・・・?

横尾歌舞伎

横尾歌舞伎は、江戸時代後期から200年余の伝統があり、農村舞台「開明座」で地元神社の祭礼余興として伝承されてきました。
役者だけでなく、三味線・義太夫・下座音楽・衣裳・鬘・大道具・小道具から勘亭流書体のチラシにいたるまで全てを地元の人たちが賄っています。
かつては青年層が主な担い手で、歌舞伎に関わることが半ば義務付けられており、この義務を怠ると風呂焚きの制裁があったといわれていますが、現在は保存会が結成され、性別を問わず幅広い年齢層の方が伝承活動に取り組んでいます。

後継者を育てるために

後継者育成には、特に力を入れて取り組んでいます。
小中学生を対象にした文化財少年団や少年少女三味線教室は年間を通じて活動しています。
民俗芸能は全国的に後継者不足がいわれていますが、保存会では毎年新人役者を起用することで経験者を増やし、より一層横尾歌舞伎のすそ野を広げることで後継者(理解者・協力者)を増やしています。

三味線教室の稽古

少年少女三味線教室の稽古

文化財少年団の稽古の様子

文化財少年団の稽古

影の立役者~床山衣裳部と化粧部~

横尾歌舞伎では、役者の育成のみならず、所有する膨大な用具の維持管理事業が伝承活動の大きな比重を占めています。
保存会では、用具等を適正に管理するための専門部を設置し、常日頃から入な管理を行っています。
例えば、役者の芸を際立たせ歌舞伎の芸術性を高めている衣裳や鬘の管理は「床山衣裳部」がその役割をっています。
現在6名の方が所属しており、定期公演の直前期だけでなく年間を通じて管理にあたっています。
傷んでいるものの修繕だけでなく、「ぶっかえり」と呼ばれる早替り演出に用いる衣裳も自分たちで作製しているのです。
近年、青壮年層の役者の体格向上により既存の衣裳や鬘が着用できないケースが増えています。
その場合、修繕では対応できず新調することとなるため、多額の経費がかかってしまうことが保存会の大きな悩みとなっています。

所蔵する台本

所蔵する台本

衣裳の繕いの様子

床山衣裳部による衣裳の繕い

化粧の練習中!

化粧の練習中!

また、歌舞伎独特の隈取を描く化粧については「化粧部」が指導を行っています。
現在3名の方が所属しており、役者の化粧のお手伝いをしています。
定期的に化粧の講習を行い、役者自らが化粧できるよう厳しく指導を行っています。
このように、江戸時代以来伝えられている台本・道具類の維持管理を含めて、何から何まで自分たちの手で行われていることが横尾歌舞伎の特色となっています。

定期公演にお越しください!

横尾歌舞伎定期公演プログラム表紙

定期公演の際は、歌舞伎鑑賞とあわせて舞台から客席まで会場全体を覆う“歌舞伎熱”だけでなく、幕間の小腹を満たす団子やおでんなどの“あたたかさ”をも体感していただければ幸いです。
地域社会の基盤であるコミュニティの弱体化や地域活動の低迷がいわれている昨今、文化財保護活動(民俗芸能伝承活動)が地域の活性化につながっている様子をぜひご覧ください。
※定期公演の詳細は、下記「文化財イベント」をご参照ください。

文化財日記抄

8月には、こんな調査活動などを行いました。

2日(月曜日)

北区細江町

市指定有形文化財「白柳家住宅」現状確認調査

5日(木曜日)

本庁

第1回文化財保護審議会

5日(木曜日)

南区増楽町

増楽遺跡試掘調査

10日(火曜日)

市民協働推進センター

景観と文化財建造物に関する研修会

16日(月曜日)

東区和田町

木船廃寺跡発掘調査開始(~30日)

16日(月曜日)

北区引佐町

天白遺跡工事立会

21日(土曜日)

北区引佐町

横尾歌舞伎映像記録作成立会い

23日(月曜日)

西区神原町

神久呂公民館浜松市埋蔵文化財調査事務所見学(参加21名)

23日(月曜日)

南区東若林町

東若林遺跡工事立会

24日(火曜日)

北区引佐町

北神宮寺遺跡発掘調査開始(~9月1日)

25日(水曜日)

天竜区春野町

市指定有形文化財「瑞雲院山門」調査結果報告

27日(金曜日)

天竜区春野町

勝坂南遺跡工事立会

文化財イベント

10月2日(土曜日)・3日(日曜日)

県指定有形文化財「龍潭寺本堂」

保存修理現場特別公開
午前10時~午後3時/龍潭寺(北区引佐町井伊谷)

10月9日(土曜日)・10日(日曜日)

県指定無形民俗文化財「横尾歌舞伎」
横尾歌舞伎定期公演
午後4時~午後10時/開明座(北区引佐町横尾)
※今年は上演演目が1幕多いため、両日とも午後4時開演です。

10月24日(日曜日)

市指定無形民俗文化財「勝坂神楽」

勝坂神楽奉納
正午~/八幡神社・清水神社(天竜区春野町豊岡)

遠江歴史文化ネットワーク共催テーマ展「遠江のやきもの」を開催します

古墳時代から平安時代にかけて一大窯業地帯を築いた湖西古窯跡群。
古代末期から中世にかけ、遠江一円に分布の広がりを見せる山茶碗窯跡。
中世以来近世を経て、現代に続く志戸呂焼き。

全域に窯業遺跡が分布する遠江は、日本の焼き物のふるさとと言っても過言ではありません。
今日もなお各地に、現代の窯元が窯を開いています。
このテーマ展では、遠江を代表するやきものや窯跡のいくつかをご紹介します。

実施する遠江歴史文化ネットワークとは、島田市、川根本町、吉田町、御前崎市、牧之原市、菊川市、森町、掛川市、袋井市、磐田市、湖西市、浜松市の、博物館と文化財の担当者によるネットワークです。
わが町の、遠江の、身近なやきものを知っていただき、見て歩いていただけたらと願っています。

日時

9月25日(土曜日)~11月7日(日曜日)

会場

浜松市博物館特別展示室

講演1:「概観 遠江のやきもの」

10月17日(日曜日) 14時~15時30分

講演2:「歴史を超えたやきものネットワーク―初山焼きと志戸呂焼と森山焼き―」

10月31日(日曜日) 13時30分~16時

吉名古窯の花柄を刻んだ陶器
浜北区宮口
吉名古窯の花柄を刻んだ陶器

上志戸呂窯の灰釉天目茶碗
島田市金谷
上志戸呂窯の灰釉天目茶碗

<編集後記>

先日テレビで、ドイツの村オーバーアマガウのキリスト受難劇についての番組を見ました。10年に1度開催されるこの受難劇、役者もオーケストラも衣裳も道具もすべて村人総出で担当し、プロ並の技術を誇る歴史あるもので、毎回世界中から観客が訪れるとのこと。日本(浜松)の横尾歌舞伎も負けません!こちらは毎年公演が見られます。ぜひご覧ください!

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お問い合わせ

浜松市役所市民部文化財課

〒430-8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2466

ファクス番号:053-457-2563

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