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更新日:2017年3月16日

浜松市文化財情報vol.110

平成29年3月15日発行

今年度の建造物文化財保護の動向

今年度の文化財建造物の動きとして、国登録建造物の答申、保存修理事業、建造物にかかる防災施設事業、文化財防火デー訓練についてお伝えします。
◆ 浜北区 明治屋醤油3棟が新登録となります
 昨年の11月18日に国の文化審議会が開かれ、文化財分科会の審議・議決により明治屋醤油店舗兼主屋、同離れ、同醸造所の計3棟を登録有形文化財(建造物)に登録するよう文部科学大臣に答申されました。近日中の官報告示を経て正式に登録される予定です。浜松市内の国登録有形文化財(建造物)は51件となります。
明治屋醤油は昭和初期の創業で、現在は醤油やソースを中心に製造しています。製造を行う醸造所は、醸造業発展の歴史を今に伝え、増築を繰り返し複雑な構成となっています。店舗兼主屋は木造平屋建を2棟並べた構成ですが、間取りは3間が並ぶ構成であることが建築的にも特徴的です。離れは、社交の場として用いられたもので、建ちの高い外観が特徴的な近代和風住宅です。店舗や醸造所の外観は常時道路側から見学できますし、店舗や離れは営業時間内の利用で見学することができます。(明治屋醤油 浜松市浜北区小松2276 TEL.053-586-2053)
◆ 保存修理事業
 今年度の建造物関係文化財の事業としては、方広寺の防災施設工事や、宝林寺山門の保存修理が実施されています。方広寺には重要文化財の七尊菩薩堂があります。消火設備の老朽化・傷みが進んだため、万が一の火災に備え更新するもので、平成28年度末に完了する見込みです。宝林寺の山門は屋根の腐朽が進んだことや、耐震性に問題があることから、耐震対応を含めた保存修理を次年度にかけて実施しています。
◆ 文化財防火デーの実施
 法隆寺金堂が焼損した(昭和24年)、1月26日は、「文化財防火デー」に定められています。全国的に文化財防火運動が展開され、市内各区の文化財所有者や所管消防署、関係者により設備点検や消火訓練などが行われ、防災意識を高めました。

明治屋醤油 店舗・醸造所<明治屋醤油(手前 店舗/奥 醸造所)>

宝林寺山門 素屋根<素屋根を掛けた現場(宝林寺山門)>

H28年度文化財防火デーの様子<文化財防火デーの様子>

文化財ボランティア養成講座第6期を開催しました!

地域で予想される災害に際して文化財の被災の可能性と防災や減災、そして救済の必要性をご案内する講座、「文化財防災ボランティア養成講座 第6期」を、全3回で開催しました。文化財の被災というと、熊本地震での熊本城被災が記憶に新しいかと思います。
 この講座は静岡県文化財等救済支援員制度と連携しながら行っています。3回すべて受講された方で、希望者には、静岡県教育委員会から文化財等救済支援員登録証が送られます。
 毎年座学の他に、文化財の取扱いに関する実技も行っています。今年度は文化財の梱包の仕方について、日本通運さんを講師にお招きして実施しました。文化財の梱包には、緩衝剤として薄様(美濃紙の一種)と真綿で作成した「お布団」を使用します。この「お布団」を使用した梱包の仕方はもちろん、この「お布団」を身の周りで代用するとしたら何が使えそうかという応用編まで教えていただきました。こういった身近なもので代用を考え、被災に備えるということも、防災・減災につながることですね。
 今後も養成講座開催の際には皆様にご案内していきますので、ご注目ください。

防災講座の様子<文化財の梱包実習の様子>

文化財日記抄 2月

4日 (土曜日) 北区引佐町井伊谷 奥浜名湖観光ガイド育成講座(参加60人)
6日 (月曜日) 東区笠井町 笠井上組遺跡予備調査/北区三ヶ日町三ヶ日 殿畑遺跡工事立会
7日 (火曜日) 東区有玉南町 西畑屋遺跡予備調査/西区馬郡町 殿道東遺跡工事立会
8日 (水曜日) 北区三ヶ日町宇志 堂崎居館跡予備調査
11日 (土曜日) 中区元城町 安城歴史博物館講座(浜松城)参加100人
12日 (日曜日) ホテルクラウンパレス 出前講座(浜松の指定文化財)参加25人
15日 (水曜日) 北区引佐町井伊谷 井伊谷城跡ほか可児市教育委員会視察
18日 (土曜日) 引佐協働センター 第6期文化財防災ボランティア養成講座(1)(参加4人)
19日 (日曜日) 北区引佐町井伊谷 へりさんぽ(1)(井伊谷城跡、井伊氏居館跡)参加30人
24日 (金曜日) 南区若林町 若林町村西遺跡工事立会/浜北区芝本 芝本遺跡工事立会
25日 (土曜日) 引佐協働センター 第6期文化財防災ボランティア養成講座(2)(参加6人)/北区細江町気賀 細江図書館講座(参加30人)/東区中郡町 万斛西遺跡展示 ~2月26日
26日 (日曜日) 中区鴨江二丁目 出前講座(浜松の指定文化財)参加28人

井伊谷周辺のオススメ文化財スポット 金指街道

 井伊谷は井伊谷川と神宮寺川により形成された盆地に所在し、金指と井伊谷を往来するためには峠を越える必要があります。今回は、引佐町の金指から井伊谷へ至る経路の変遷について紹介します。
 現在の金指から井伊谷へ向かう国道257号(通称:金指街道)を用いた経路は明治時代以降、徐々に整備がすすめられた新しいものです。かつての「金指街道」は、現在の国道257号の東側にあり、鳳来寺道や信州街道、三信街道など様々な名称で呼ばれていました。金指にある実相寺の東脇を北へと進み、延享2年(1745)「右三嶽道 左鳳来寺道」と刻まれた道標がある三叉路を左に曲がると「待った坂」呼ばれる下り坂があります。「待った坂」を下ると上野地区を経て井伊谷へと至ります。この経路が最も古い金指と引佐を結ぶ街道と言われています。また、実相寺の北東隅角で西に曲がると「耳切り坂」と呼ばれる坂があります。「耳切り坂」を下ると谷津を通り、井伊谷に至ります。「耳切り坂」を利用して金指の峠を越え、井伊谷に至る経路は、江戸時代に、「待った坂」を通る経路に代わり主要な経路として用いられていました。金指街道の変遷を廻ったり、旧道を利用して文化財を訪れたりすると、かつての距離感や雰囲気を感じることができ、おすすめです。

道標(金指街道)<待った坂」を経由する金指街道と三嶽道に建つ道標※道標の左側に進むと「待った坂」へと至る。>

編集後記

もうすぐ桜の季節ですね。屋外にある文化財は、季節により雰囲気が変わります。季節ごとに装いを変える地域の文化財を訪ねると新しい発見があるかも知れません。 (W)

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浜松市役所市民部文化財課

〒430-8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2466

ファクス番号:053-457-2563

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