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「浜松市上水道事業基本計画」の概要

1.計画の趣旨
 平成17年7月1日には、『環境と共生するクラスター型政令指定都市』の実現を目指して、天竜川・浜名湖地域の12市町村が合併し、人口81万人を擁する新浜松市が誕生いたしました。
 この合併に伴い、6つの上水道事業(浜松、浜北、天竜、細江、引佐、三ヶ日)が統合されたことにより、合併の効果を最大限に発揮するため、今まで以上に合理的かつ効率的な施設運営と事業経営が求められております。このようなことから、これまでに培われてきた各地域の特徴を最大限に活用するとともに、気象状況や生活様式など、水道事業を取り巻く環境の変化に対応した、新市にふさわしい新たな水道事業を推進するため、「水で潤い笑顔あふれる未来(あした)」を基本理念とする「浜松市上水道事業基本計画」を策定したものです。


2.現状評価と主な課題
(1)給水区域と水道の普及状況
 本市全体の水道については、人口密集地である南部を上水道事業にて給水し、森林豊かな中山間地である北部は、居住地域に合わせた39の簡易水道事業と、184の飲料水供給施設にて給水しており、浜松市全体の水道普及率は、95.0%(平成16年度末現在)となっています。
 上水道事業区域に隣接する簡易水道事業及び飲料水供給施設の統合、並びに未普及地域の解消を図るため、上水道事業への編入の検討が必要です。 また、上水道事業区域内においても、普及率の向上を図ることが必要です。

図 浜松市の水道
上水道事業・・・・・・・給水人口が5,000人超の水道事業
簡易水道事業・・・・・給水人口が100人超、5,000人未満の水道事業
飲料水供給施設・・・給水人口が100人未満で、人の飲用に使用する水を供給する施設
(2)水需要と水源
 給水人口は、浜松・浜北・細江地区で増加傾向を示していますが、その他の天竜・引佐・三ヶ日地区については減少する傾向にあります。
 給水量については、節水思想や節水型機器の普及、生活様式の変化、工場等の水の循環利用などにより、横ばいの状況となっています。

図 給水人口と給水量の実績
 本市の水源は、天竜川の表流水と伏流水及び地下水(自己水源)、並びに遠州広域水道(県水)からの受水に大別され、現在、自己水源では1日当たり20.6万m3、受水で13.7万m3合わせて34.3万m3を確保し、安定給水に努めています。
 しかし、近年は気象条件の変化が激しく、渇水時にはその影響で表流水、伏流水等で取水制限が生じています。こうしたことから、災害や渇水時にも対応できるよう水源水量の確保についての検討が必要です。
(3)浄水処理と浄水水質
 水道施設は、取水施設、浄水施設、配水施設(配水池、配水管)に大別されます。
浄水施設は、ろ過方式で処理する施設が9箇所、塩素滅菌で処理する施設が14箇所あり、全体で23施設です。
 表流水・伏流水を水源とする施設では、荒天時や上流での生活排水の混入等による水質悪化が懸念されることから、より安心できる水を供給するため浄水方法の検討が必要です。
(4)配水施設
 本市の配水池は、56施設で、その容量が17.3万m3となっています。また、送・配水管の延長は合併により統合された結果、導水管も含めて4,180Kmに達しています。
 配水施設は、需要にあわせて適切に配置していますが、震災時の被害の軽減や、復旧の迅速化、また、適正水圧、水質の確保を図るため、配水ブロック化の検討が必要です。
(5)水道施設の状況
 水道施設の大半は、昭和30年代後半より産業経済の発展と給水人口の増加に合わせて建設され、約40年を経過し、老朽化による施設機能の低下が懸念されることから、震災時においても対応出来るよう、緊急度の高い施設から耐震化や更新に向けて取組んでいます。
 今後においても耐震性の確保に向けて、計画的な施設・管路の更新及び耐震化が必要です。また、施設事故のバックアップとしての相互融通管の整備や老朽管の更新が必要です。
(6)維持管理
 浄水施設では、日常点検や定期的な詳細点検を行う中、取水や配水の状況の把握及び水質監視に努めています。また、管路施設では、常に水道管網台帳の修正や更新を行い、管路の埋設状況の把握をしています。 夜間や休日についても職員や業者委託の対応で24時間体制をとり非常時に備えています。
 今後さらに、監視体制の強化を図るため、地区ごとに分散している取水、配水、水圧、水質などの施設情報の集約化を図る必要があります。
(7)お客様サービス
 浜松市のホームページへの掲載、上下水道フェスタの開催、水道だよりの発行により水道事業の広報を実施しています。また、上下水道受付センターの設置や、コンビニ納付制度の導入によりお客様の利便性の向上にも努めています。さらに貯水槽水道に対しては、衛生問題の解消を図るため、設置者への指導や直結給水の推進を図っています。
 今後もお客様の満足度の向上、また、お客様に役立つ情報の提供、パブリック・コメントの実施、各種イベントの開催等を継続する必要があります。
(8)事業経営
 水道料金収入は、使用水量の伸びの鈍化により横ばい状況にありますが、企業債(建設投資のための借入金)残高は減少傾向にあり、収支の状況もおおむね良好であることから、健全な経営状況となっています。技術職員は、年齢が若くなるにつれて構成比率が少なくなる傾向にあり、高齢化が進んでいます。
 今後も、健全な事業を運営するため、限られた収益の中での計画的な事業の実施と、技術の継承の強化を図る必要があります。
(9)環境対策
 浜松市は、ISO14001を全事業で展開し、環境負荷を低減するための活動を行っています。
 今後は水源地保全の一環として涵養林の保全や省エネルギー対策の実施について検討することが必要です。

3.基本事項
(1)目標年度
 本計画の目標年度は、概ね20年後の平成36年度とします。
(2)給水区域
 本計画における給水区域は現況上水道給水区域(青色)と、将来上水道統合給水区域(赤色)となります。
(3)給水人口と給水量
 計画給水人口は、浜松地区、細江地区における行政区域内人口の増加や、引佐地区の中部簡易水道の統合により、平成31年度に最大811,920人と予測されます。
 また、計画給水量は給水区域の拡大、給水人口や生活用水の動向、産業経済活動の変化などにより推移し、平成31年度に最大328,760m3/日と見込まれます。

図  本市の給水区域

表 計画給水人口と計画給水量
項目 単位 平成11年度 平成16年度 平成21年度 平成26年度 平成31年度 平成36年度
行政区域内人口 774,021 795,934 809,790 817,780 818,920 814,120
計画給水人口 753,325 781,701 797,690 810,280 811,920 807,620
給水人口 707,134 743,917 778,550 810,280 811,920 807,620
1日平均給水量 m3 239,189 251,577 262,782 271,985 272,681 271,521
1人1日平均給水量 338 338 338 336 336 336
1日最大給水量 m3 279,817 304,113 316,880 328,070 328,760 327,180
1人1日最大給水量 396 409 407 405 405 405
普及率 93.9 95.2 97.6 100 100 100
※ 行政区域内人口:上水道事業にて給水していない佐久間、春野、水窪、龍山地区を除く


4.浜松市上水道事業の目指す方向
(1)基本理念
 水道は、サービスの基本である「清浄にして豊富、低廉」を推進することにより、生活環境の向上に貢献してきました。このため、市民生活や、都市活動に必要不可欠な存在である一方で、気象状況、生活様式などの水道を取り巻く環境の変化により、新たな課題が生じてきています。
想定される課題は、大規模渇水の可能性や化学物質などによる水質汚染等があり、基本サービスの維持に影響するため、「清浄、豊富な水を確保して、水道水で潤う社会の形成」をキーワードとしました。
 さらに、給水収益に伸びが期待できない中で、水道サービスの多様化、環境への配慮等、求められるサービスが複雑化してきていることから、限られた財源でニーズに応じた多様なサービスを提供することで、「市民の皆様が水道に満足し、笑顔あふれる社会」を達成できると考え、「水で潤い笑顔あふれる未来(あした)」を基本理念としました。
(2)5つの目標
 基本理念を達成するための目標として、現況の把握と問題点の整理から浜松市独自の課題や、社会的要請(水質、渇水、震災対策の強化等)を踏まえて、5つの目標を設定しました。
○安心でおいしい水道
水源から蛇口までの水質管理を徹底し、水質保全を続けることで、安心して、おいしく飲める水の供給を目指します。
○いつでも安定した水道
将来の水需要や渇水に対応した水源の確保に努め、事故や震災等に対しても被害を最小限にできる水道を確立し、いつでも安定した水の供給を目指します。
○市民とともにつくる水道
市民への情報提供と、市民の意見を事業に反映することで、市民参加型の水道事業を構築し、市民のニーズに応えた水道サービスの実現を目指します。
○信頼され続ける水道
事業経営の健全化、透明性を図るとともに、確かな技術を継承して安定した水道事業を持続することで、水道事業に対する信頼性の向上を目指します。
○環境に配慮した水道
水源の保全、省エネルギー対策、資源リサイクル化を推進することで、地球環境や周辺環境にやさしい水道事業の展開を目指します。

5.施策の方向と具体施策
 7つの基本方針における具体的な施策は次のとおりです。
(1)より安心できる水道
1)水質監視体制の充実(自動化・集約化)
安全な水を供給し続けるために水源から蛇口までの水質監視体制を充実します。
【具体施策】
ア 水質管理体制の統一
イ 水質自動監視装置の導入による給水栓末端の常時監視
ウ 水道GLP(水道水質検査優良試験所規範)の認定取得
2)施設監視体制の強化
非常事態に対する備えとして、事故を未然に防ぐことが最も有効であると考え、施設監視体制の強化に取組みます。
【具体施策】
ア 遠方監視装置の整備
イ 遠方監視データの大原浄水場への集約化
ウ 水質事故、施設事故、停電、テロ等の対応マニュアルの充実
3)水質状況の変化に対応可能な浄水方法の検討
原水水質の変化に備え、浄水場における浄水処理方法の検討をします。

【具体施策】
ア 濁度管理の強化
イ 高度な浄水処理方法の検討
4)鉛製給水管更新事業の推進
鉛製給水管は、長期間水道を使用しない場合、ごくわずかの鉛が溶け出すことがあるため、安全性を考慮して早期に布設替えの完了を目指します。
【具体施策】
ア 鉛製給水管の早期布設替え 完了目標:平成21年度
5)貯水槽水道への指導等の充実
貯水槽水道の利用者が、安心して水道が使用できるように貯水槽設置者への指導強化や直結給水の拡大に向けて取り組みます。
【具体施策】
ア 貯水槽水道の設置者への指導強化
イ 直結給水の拡大
(2)いつでも供給できる水道
1)渇水時に対応できる水量の確保
今後の水需要の伸びや渇水時においても安定した供給を図るため、水源の多元化を目指します。
【具体施策】
ア 遠州広域水道の受水の再編
イ 新規水源(深井戸)の確保
2)非常時に対応した配水システムの構築
配水の効率性の考慮と事故時等においても安定供給が図られるよう、水源及び配水における水量のバックアップを図ります。
【具体施策】
ア 配水区域の再編成と配水ブロック化の構築
イ 配水ブロック間の相互融通管の整備
ウ 配水コントロールシステムの導入
エ 複数水源の確保
3)簡易水道、飲料水供給施設との統合
施設管理の効率化や安定供給を図るため、隣接する簡易水道、飲料水供給施設の上水道への統合を検討します。
【具体施策】
ア 簡易水道及び飲料水供給施設との統合
イ 未普及地域の解消等給水区域の見直し
4)老朽管の更新事業の推進
衝撃に弱く、管破損や赤さび、出水不良の原因となる老朽管の更新を計画的に進めます。
【具体施策】
ア 石綿セメント管の更新・完了目標:平成22年度
イ 老朽鋳鉄管の更新・完了目標:平成22年度
(3)災害に強い水道
1)水道施設の更新及び耐震化
震災時において老朽施設は、水道施設としての機能停止や低下が懸念されることから、今後も事業を計画的に進め、施設の更新、または耐震補強を実施します。
【具体施策】
ア 取水、浄水、配水施設の更新及び耐震補強
イ 管路施設の耐震化
2)応急復旧の迅速化
予想される東海地震等の震災時における管路復旧や各施設の早期復旧のできる体制の充実を図ります。
【具体施策】
ア 早期復旧体制の強化
イ 資機材の備蓄
3)応急給水体制の整備
震災により、浄水場などの機能が停止した場合においても、生活に必要な最低限の水を確保するために、全地域における応急給水体制を見直すとともに必要な施設整備に努めます。
【具体施策】
ア 応急給水体制の強化
イ 耐震性貯水槽の整備
ウ 応急水源の確保
4)震災時行動マニュアルの見直しと定期訓練の実施
震災発生時の業務を円滑かつ効率化するために、震災時行動マニュアルを見直し、このマニュアルに基づいた訓練を実施します。
【具体施策】
ア 地区別の危機管理マニュアルの見直し
イ 震災時対応の定期的な訓練
(4)市民とともにつくる水道
1)情報提供の充実
今後も市民の皆様に信頼され、より親しみのある水道を目指すため、情報提供等の充実を図ります。
【具体施策】
ア 広報の充実
イ 水道展等のイベントの開催
2)市民の意見の収集と反映
水道事業の事業方針や活動に満足していただける水道を目指すため、市民アンケートや顧客モニター制度、パブリック・コメントによる水道への意見を収集し、ニーズに応じた上水道事業の改善に反映させます。
【具体施策】
ア 市民アンケート及び顧客モニター制度による意見収集
イ パブリック・コメントの実施
3)より質の高いサービスの提供
市民の生活スタイルが多様化していることを受け、市民のニーズに対応して、多くの皆様が満足していただけるよう快適なサービスの提供に努めます。
【具体施策】
ア 上下水道受付センター及び総合案内窓口の充実
イ 迅速な給水サービスの提供
ウ 料金納付の利便性の向上
(5)健全な上水道事業の経営
1)中期経営計画の策定
経営の健全化・効率化などの経営基盤の強化に努め、計画的な設備投資による安全な水の安定供給を目指して、中期経営計画を策定します。
【具体施策】
ア 中期財政計画の策定
イ 効率的な事業の推進
ウ 定員管理及び給与の適正化
エ 企業債残高の削減
2)水道料金体系の一元化
中期財政計画を踏まえた収入支出のバランスの取れた適正な料金を設定するとともに、料金の統一を図ります。
【具体施策】
ア 水道料金の一元化と料金改定
3)上水道事業の指標による評価の実施
今後の必要となる事業の優先順位や、実施理由を明確にするため、業務指標(水道事業ガイドライン)を用いた事業評価を実施します。
【具体施策】
ア 水道事業ガイドラインを活用した事業評価
イ 水道事業ガイドラインの情報提供
(6)水道技術の確保
1)技術継承の確立
様々な知識や経験を習得し、個々の資質を向上させるため、部内研修会の実施、外部研修会への積極的な参加と民間との技術交流等を図っていきます。
【具体施策】
ア 技術研修会の実施と継続
イ 外部の研修などへの参加の促進
ウ 民間との技術交流
エ 技術情報の共有化
2)情報通信技術(IT)を活用した業務の効率化
水道業務のサービスの向上を図るため、より高度なIT技術の活用を進めます。
【具体施策】
ア 各種ITシステムの導入による業務の高度化
(7)環境に配慮した水道
1)ISO14001の推進
「水道工事の環境配慮指針及び手順書」に基づいた施工管理を実施し、環境にやさしい水道の構築を目指します。
【具体施策】
ア 地球環境、周辺環境を考慮した水道工事の実施
イ 建設廃棄物の削減と再利用の促進
ウ 浄水汚泥の有効利用
2)水源保全への取組
安全で安定的な水の供給には良好な水源が必要です。水源となる森林の保全等が重要であることから水源保全に関する取組を実施します。
【具体施策】
ア 森林環境基金制度の活用
3)省エネルギー対策の実施
CO2排出の削減等の環境対策が重要視されている中、上水道事業においても省エネルギー対策を検討します。
【具体施策】
ア 新エネルギー等の導入に向けての調査研究
イ 低公害車の導入の継続

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